安くて扱いやすい! Panchroma CoPEレビュー ポリエステル系ミニマムサポートフィラメント PET系との相性は良好
さて、今回は購入したサンステラ福袋には入っていましたPolymaker社の新製品、Panchroma CoPEについてのレビューです。安定のPolymakerなのに値段が安く、耐熱温度以外はほぼ弱点がない扱いやすいフィラメントだと感じましたのでご紹介させていただきます。・・・PETGってポリエステルだったのか。
Polymakerから新顔登場 Panchromaは製品群の総称
Polymakerは言わずと知れたフィラメントメーカーでご存じの方が多いと思います。当ブログでも記事が結構ありますのでよかったらぜひ。基本的に割高感はあるものの非常に優秀なフィラメントたちです。
今回はCoPEの紹介になりますが、Panchromaシリーズは、Polymakerが新たに展開するフィラメントの総称になります。Polylite PLAはメジャーな製品なのでこの枠から外れますが、上のリンクにもあるつや消しPLAの代表格Polyterra PLAやシルクPLAなど、英語サイトをみるとほとんどのPolylite PLAはPanchromaシリーズにリブランドされています。日本ではまだのようですが今後は変わってくるかもしれませんね。本国のページはこちらになります。多くのものが含まれることがわかりますが、ちょっとなじむのに時間がかかりそう。
このフィラメントはつい先日販売が始まったばかりですが、私は今回たまたまサンステラ福袋購入抽選に当選したためフライングゲット出来たのです。新し物好き、物欲の権化としてこれは見逃せません(笑)。いつも通りがっちり使ってからのレビューですので、このタイミングになりました。
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ちなみに、段ボールスプールですが表面処理がかなりしっかりしており、ひと昔前の段ボールスプール(画像上段)と比較してこのスプール(下段)はつるつるです。Bambu筆頭にAMS等マルチカラー機でも問題なく運用できると思います。
ポリエステル系フィラメントについて PETGが代表
さて、今回のCoPEはポリエステル系のフィラメントになります。ところで、ポリエステルって、なんだかご存じですか??私は全く知りませんでした!ということでちょっと調べてみました。
ポリエステルは化学繊維としてもおなじみですが、エステル結合を持つポリマー全体を指します。その代表的なものがPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂です。ペットボトルでもおなじみですね。フィラメント材料としてもPETGは非常にポピュラーですが私は恥ずかしながら最初「ポリエチレンテレフタレート」という名前からPETGがポリエチレンの仲間なのかな?と漠然と思っていました。・・・実は全く関係ありません!!ポリエステルについてはWikipediaをどうぞ。
ポリエチレンは文字通りエチレンの重合によって得られるポリマーであり、炭素と水素から構成されてる物質でPETとは全く別物です。PETはエチレングリコールとテレフタル酸のエステル結合によって形成されるポリマーの総称になります。エチレングリコールの名前が残っているため、名前だけ見るとポリエチレンと関係があるような気がしてしまいますね・・・。そもそもエチレングリコールって名前がダメなのでは??エチオールとか別の名前じゃダメだったのでしょうかね(笑)
ちなみにフィラメント材料としておなじみのPETGはPETにグリコール修飾を加えたものであり、非晶化され改良されているモノになりますがもちろんポリエステルの仲間です。今回のPanchroma CoPEの親戚と考えてよいと思います。なおPETとPETGの違いについてはNature3Dさんの記事が非常にためになりますので是非。
Panchroma CoPE 特性と使い道
ということで今回のCoPEです。新しいものとのことでサンステラのページもamazonのページも売り切れになっています(笑)値段等確認してから買いましょう。
なお、商品名称としてややわかりにくいですが、Panchroma CoPEと記載されている場合と、Panchroma Regular (non-PLA)と記載されている場合があります。後者は過去の表現らしい。
皆さん既に調べていらっしゃるかとは思いますが新顔なので一応表を作りました。本家TDSに準じています。英語の情報の方が日本語webサイトより多いですね・・・。メーカーのうたい文句として、このCoPEは完全新規材料でブリッジやオーバーハングにも強くサポートが少なくて済むうえカラーの個体差がなく安定しているとのことです。
日本では現時点でカラーは10色ですが、本国のページみると27色もある・・・スゴ。。
特性 | 詳細 |
原料 | ポリエステル系新規材料 |
ノズル温度 | 190-230°C |
ベッド温度 | 25-60°C |
印刷速度 | 最大400mm/s ファン:ON |
乾燥設定 | 55度、6時間(吸水時のみで可とのこと) |
密度 | 約1.3g/㎣ (室温23度) 比重は重めだと思います |
ビカット軟化温度 | 66度 (PLAより数度高め程度) |
特徴 | 安い!、ベッド密着性が高い、ブリッジやオーバーハングに強い、色が安定 |
パッと見てわかりますが、基本的な印刷温度がPLAと同様です。通常のPETGだノズルもベッドももう少し高めの温度になります。また、PETGは一般的には高速印刷しにくい素材だと思いますが、コレは400mm/sまでOKとのことです。比重は高めでBambuの高速PETGっぽいところもありますね。
なお、少ないサンプルですが削り具合はPLAよりは良くてABSよりも下。PETGと同じような印象です。塗装はアクリルガッシュで試した範囲では塗膜が弱くてこするとはがれやすい印象。ただ我が家でいつも使っているミルクペイントのマルチプライマーを下地にすることで耐久性が向上する印象でした。下の画像3枚目がお試しです。右半分にマルチプライマーを塗っています。積層滲み予防に使いやすくて私はこれを塗ってます。アクリルガッシュ塗装は今年色々勧めていきたい分野ですね!ミルクペイントについてはこちらもよかったらぜひ。
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利用にあたっての注意点 特にベッドにはご注意を!
総合点が高く個人的にはかなり推せるこのCoPEフィラメントですが、使用する上での注意点もあります。具体的にはこの4点かなと思います。
- ベッドとの相性:密着性が高いため、メーカー情報ではテクスチャーPEIが非推奨です。何か塗るか平滑なベッドが推奨かなと思います。Snapmakerのエポキシガラスベッドでは問題なく使用できます。Bambuユーザーの方、ご注意ください!私は怖くてPEIでは試していません。
- PLAとはくっつかない:マルチカラー印刷の場合、PETGかCoPEの選択になります。ただ、値段が安いためPLAのサポートフィラメントとしても利用できるので利点とも言えます。試した限りはPETGとは全く問題なくくっつきました。
- 耐熱性:耐熱性はPLAと大差ありません。高温下の使用には耐えられないため、直射日光下や社内など高温になりうる環境では使わないように!
- サポートの設定:PETGとも似ていますがシビアなサポートが必要な場合は、z距離を0.1mm程度と狭くするのが私のおすすめです。隙間があると分離がしやすい特性のため、0.2mmだと破綻しやすいです。安定性が良い場所では、ABSのようにぽろっとはがれるので利点ともなります。
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実際使ってみた感じは・・・良い!
まずスライサー設定についてですが、CoPEはPETGより糸引きも少なそうで、基本的にPLAの設定で問題ありません。においも気になりません。高速印刷にも対応しており、汎用性が高いフィラメントなことは疑いようがないですね。当方であれば温度設定は印刷200度程度、エポキシガラスベッドは60-65度とやや高めの温度にしています。現状PEIではないSnapmakerでの使用になりますが、非常にきれいに印刷できます。
色々試していますが、まずはコレから。最近あまり見ないのですが、もともとはプリンターの性能チェックモデル、FDMtestです。だいぶ昔になりますがこれは日本が誇るポポポ師匠の記事で私も知りました。こちらのnoteもぜひ。あ、そうそう、私のAnkermake関連にもマットPLAのテスト結果があります。
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印刷に時間はかかりますが、一般的なところからオーバーハング、ブリッジ、リンギング(糸引き)などおおよそすべてのチェックが行える素晴らしいモデルです。最後のこの裏面なんか見るとブリッジやオーバーハングの状況がよくわかります。このオーバーハングテストの結果はかなり優秀だと思います。印刷温度は上げすぎないのがコツかな・・・。ちょっとこの時Snapmakerの問題でフィラメント引き出し抵抗が大きく、積層が乱れてしまっていますが、フィラメントとしてはPETGで課題の糸引きも最小限で素晴らしいです。
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これは萩原亮さんの彫刻3Dモデル、Templateシリーズの牛さん。比較的安定したサポートの場合は0.2mmくらいにするととてもきれいにはがせます。オーバーハングもかなりきつい条件で印刷していますがこの通りかなり優秀だと思います。Templateシリーズに興味がある方はぜひ萩原さんのこちらもどうぞ。
最後は最近購入したエアブラシの持ち運び用ケース一式です。これはまたレビュー予定ですが使いこなすスキルがないのでいつになることやら・・・大昔の吸い上げ式のエアブラシもあるのでこちらも使えるように、専用のグッズを作りました。やはりこちらも非常に安定した造形でクオリティも全く問題ありません。オーバーハングもきれいに仕上がっています。本当にネガティブ要素がない、よいフィラメントです。安定のポリメーカー製でこれが約2000円で買えるのは素晴らしい。
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噂にたがわぬ実力でした!おすすめです。
以上、使ってみて納得の良いフィラメントでした。ほめまくっているんですが、私はポリメーカーからもサンステラからも一銭ももらってませんし、フィラメントも当選とはいえ購入したものです。まあPolymakerのフィラメントで外れたことはないので良いものなのはわかっていましたが、2000円台前半のインパクトは強いです。これが高かったらまあ、普通なんですが、色も安定して何回かっても同じ色、同じ性能でコレ出されると、通常のPLAの出番が間違いなく減ります。もうマット以外はPLAじゃなくてこれでいいんじゃないかな・・・(笑)
PLAと混ぜられないので注意は必要ですが、現状コスパ大王と考えられる、このPanchroma CoPE。何方にもお勧めできる鉄板フィラメントになる気がします。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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