FMV LOOX をeGPUに接続、モバイルデスクトップ仕様にしてみる 3Dプリンターで専用ホルダーを作成

2022年11月25日

単体でも実用性が高いFMV LOOXをAkitio node TITAN(取っ手がついているeGPUボックス)に接続してモバイルデスクトップ仕様にしてみました。当然AC電源も必要ですが、eGPUのおかげでゲームもできるグラフィック性能を実現できます。ドックも接続して拡張性もばっちりです。

FMV LOOXはUSB4対応

最近購入したWindowsタブレット、FMV LOOXは超省電力版CPUではありますが10コア12スレッドを活かしたi5-1035G7を超える能力を持っており、かなり実用的な性能を有しています。タブレットPCの限界で拡張性には難があるのですが、2ポートのUSB端子のうち、上部はUSB4、すぐ下にあるものはUSB3.2となっていて上部はeGPUの接続ができます。通常LOOXに期待される役割ではなく、グラフィックパフォーマンスを劇的に向上させるために今回はeGPUを接続してみることにしました。

LOOXや接続したAkitio Node Titanについてはこちらもぜひご一読ください。今回はeGPU内にRTX2080を導入しており、レイトレーシングまで対応が可能となっていますが、eGPUは現在のところPCIexpress4x相当の接続になってしまうという限界があります・・・。

eGPU接続時のグラフィックパフォーマンス

ということでeGPU接続時の3DMARKです。やはりRTXのわりには振るいません。これはディスプレイがLOOX側にあるのも一因で、Thunderboltケーブルに上り線(データ処理)と下り線(ディスプレイ出力)が両方存在する形になるため速度が低下しやすいです。自験上はGPU側にディスプレイを表示させたほうがスコアが上がります。(TIMESPYで200くらい)

どちらもCPUが足を引っ張っているのは否めませんね。グラフィックスコアはまあまあ良いのですが・・・

とはいえGPUがない時との差は歴然で、FIRE STRIKE、TIME SPYなどフルHD環境で多くのゲームが快適に動作するレベルになっていると思います。もともと13.3インチ有機ELとはいえ、ゲーミング用途を想定していないためリフレッシュレートは60Hzですしね。CPUの能力を考えても不満は出ないのではないでしょうか。

Cyberpunk2077も余裕で動きますし、超重量級のMicrosoft flight Simulatorでもなんとか動く(かなり重いですが)のだから大したものです。画像処理系のアプリや3D関連ソフトなんかも極めて快適に動作します。

専用ホルダーをFusion360で設計

せっかくのeGPU、色々なシーンで使いたくないですか?都合の良いことにAkitio Node Titanには取っ手がついています。利用しない手はない、ということで全く需要はない、eGPU一体型ポータブルデスクトップ?PCを作ってみることにしました。設計はいつもおなじみFusion360です。

まずはLOOX本体を採寸してスケッチで作成します。2つのUSBポートと、4つのスピーカー部分にはブーリアンで穴が開くように、長方形の形状を作っておきました。枠はこの形状をもとに作って、背面に支え部分を作ります。背面カメラに干渉しない位置にしました。

次にeGPUボックスに引っ掛ける部分を製作します。これについては採寸だけ行いホルダー部分のみ造形しました。当初はチルト等を考慮しない単純な形状を考えていたのでホルダーに直付けする形状だったので、これで完成!となる予定でした。

ただ、実際に試作したところ、画面がチルトしないと非常に見にくいです。eGPUボックスはそこまで高さがなく、見下ろし気味になるため「チルト機構はやはり必要だ」という結論になりました。幸い3Dプリンターの造形サイズ制限があることから分割、組み立てする設計でしたので接続部を設計しなおし、ヒンジ構造を挿入することにしました。チルトを支えるためのヒンジも設計し下部に取り付けています。
このヒンジ構造は少し前にご紹介したものになります。サポート不要で一発造形する3Dプリンターならではの構造で上手く出来ました。宜しければこちらの記事も参照ください。

拡張用ドックとxbox360コントローラーホルダーも追加

後から拡張できるようにいくつかの部分にはM3インサートナットを挿入できるようにしたので、他の部品も作ることにしました。とりあえず拡張性の確保は必要なので拡張用ドッグを支える部品と、最近購入したXbox360コントローラーのホルダーを取り付けました。拡張用ドックは寸法ぴったりの形状を作って、eGPUボックス開閉時に使うネジ部分に引っ掛けることにしました。ケーブル長の制限があってこの位置が限界だったんですよね・・・。このドックのおかげでUSB-Ax3、各種メモリーカード、有線LANも問題なく使用できます。使わないけどアナログRGBだって搭載してます(笑)。

xbox360コントローラーは3Dスキャナーでスキャンしたデータをもとにホルダーを作成しました。3Dスキャナーについてはまた別の機会にレビューさせていただこうと思いますが、値段が安い分、使い勝手がイマイチなんですよね・・・。ソフトウエア含めまだまだかなと思っています。

楽しいポータブルデスクトップが完成!

出来上がったのがこちらになります。一番重量がかかる上部の部分はポリカーボネートを使用しました。この大きさだと若干反ってしまうのですがなんとか問題ない範囲で造形できています。ポリカーボネートは値段が高いですが、本当に硬いです。壊れてほしくないところにはぴったりだと思います。また、グレーのメインパーツはSK本舗のマットグレーを使用しています。メカっぽいものには非常に相性がいいダークグレーのフィラメントで、なかなか良いフィラメントだと思います。

ただ、ドックのホルダーだけはpolyMAX PLAを使っています。ちょっと余っていたというのもありますが、ほかのパーツより強度が落ちやすいのでこういう細いものには向いていると思うんですよね。破損リスクが少ないと思います。もしよかったらamazonリンクもよかったらご利用いただければ嬉しいです。

幸いLOOXのUSB端子は向かって左側なので、ちょうどGPUボックスの通気口で空気の対流もよい感じです。LOOXはそれなりに背面が熱くなりますが問題なく放熱できています。

各部品はインサートナットとM3ネジで固定しています。しばらく使ってみたりしていますが強度的な不安はありません。コントローラーホルダーもサイズ感良好です。

なかなかカッコいい出来だと思いませんか?(完全なるひいき目ですが・・・)ケーブル類はeGPU接続兼LOOX電源供給用のThunderbolt3ケーブル、ドック接続のケーブル、ACケーブルの3つで最小限だと思います。steamが入っているので、ゲームも問題なく遊べます。必要に応じて以前ご紹介したキーボードやマウスをBluetoothで接続すれば万能感が強くなりますね。

チルトもばっちり

最後に追加したチルト機構ですが、ヒンジが滑らかなため2段階の調整になります。左からチルトなし、1段階チルト、2段階チルトの順になります。机に置いて使う場合はチルトがないとかなり不便でしたのでこの機構を作って正解でした。チルト角はこれが限界で、これ以上はドックのケーブルが足りません。

いかがでしたでしょうか。LOOXの良さをスポイルする?モバイルデスクトップ計画でしたが、趣味の世界ですよね・・・。でもこういうのもロマンがあっていいかなと個人的には思っています。実用性もちゃんとありますし。3Dプリンターがあると「作ってみるか」のハードルが非常に低くなります。3Dプリンターの世界、本当に面白くておススメですよ。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!