3Dプリンターのみでフィラメントホルダーを作成 工具も不要で小径スプールにもフィット ドライボックスでも利用可能

2022年3月24日

FDM方式の3Dプリンターを使用していると必ずお世話になるフィラメントですが、スプールサイズは容量やメーカーでそれぞれ微妙に異なります。また、保管にドライボックスを利用されている方も多く、自作されている方も多いです。今回サイズが異なっても使い勝手が良いフィラメントホルダーを作ってみましたのでご紹介させていただきます。IKEAの10.6Lボックス用ですがSTLもあるのでよかったら造形してみてくださいね。

小径のスプールでも安定するフィラメントホルダーが欲しい

残りが少なくなったフィラメントを別ナスプールに巻き直す方もいらっしゃるのではないかと思いますが、私も小径のスプールを利用することが結構あります。当方ではNature3Dさんの公開しているフィラメントスプールを造形して利用しています。Nature3Dさんはちょっと他と違う魅力あるフィラメントを個人で制作、販売されている方です。興味がある方はぜひ下記をどうぞ。

この小径スプールは少なくなったフィラメントを効率良く収納するのに優れているのですが、私が普段使っているフィラメントホルダーだと幅と重さがないため倒れてしまいやすいという問題がありました。なお、このホルダーはまだ3Dプリンターを使い始めた頃にWebで公開されているものを造形したもので、単純な構造で非常に優れています。王道だと思いますので下記も注目ください。また、スプールの穴を利用したホルダーも王道なんですが、ボックスに穴を開けたり、ネジで止めたりする工程が入るので今回は避けました。

個人的には出し入れがしやすく、スプール系や幅が変わっても容易にセッティング出来、かつフィラメント残量が少なくなっても安定するホルダーが欲しいと考えていましたが、同じようなものを設計しても面白くない・・・。そこで、たまたま家にあった1kgスプールを2個収納できる、IKEAの10.6L保存容器に合わせてドライボックスを自作してみることにしました。なお、現時点ではホルダー部分は全て3Dプリンターで作成しています。ベアリングやネジ等も使用していませんが、積層で割れる可能性があり、耐久性は不明です。逆にいえば、3Dプリンターが手元にあればすぐ作れます。簡単ですが特徴は下記の通りです。何も要らない、というコンセプトがうまくできたと思っています。

  1. 工具不要、スナップオンで取付と調整が可能
  2. 8つのローラーが自動的にフィットする高い安定性
  3. スプールのサイズを問わない高い汎用性

フィラメントホルダーの設計

当方の使用する最小サイズのスプール径は直径15cmで約250g用です。一方1kgのスプールだと直径20cm前後が多いようです。同じもので5cmの外径差を埋められるように、毎度お馴染みFusion360で設計しました。

色々考えましたが、ベースを交換せずに小径スプールに対応できるように、外径にあわせてローラー部分が動く仕組みにしました。工具を使わず固定できるように、ベースプレート部分は円形をもとに作成し、そこにパーツをはめ込む構造にしています。この部分に適度に遊びを作ることで支えの部分が15度ほど回転し、径が異なるフィラメントに対応できる構造です。2個ローラーを置くことで荷重を分散しつつ、径が変わっても2点で常に支えられます。また、軽くなりやすい小径スプールではスプールが沈んでローラーが深く噛み合うので外れにくいはず。

また、IKEAの容器の高さに合わせるため、スプールを乗せた際の高さが容器を超えない程度にローラー部分の長さを整えます。こういう容器野中に入れることを想定した設計の場合は、あらかじめ容器自体をモデリングしておくとイメージがつきやすいですね。

出来たホルダーはこちら

ということでできたホルダーが下記になります。材料はPolylite ABSを使用しました。ローラーが多い分、スプール重量は分散しますが、軸部分で折損するリスクがあり、ある程度の積層強度と柔軟性がある素材が望ましいかなと思った結果になります。ホルダーのベース部分は容器に合わせてカットが斜めになっていますが、立ててもサポートが不要な角度で造形できます。試していませんが平たくおいた方が造形難易度は低いと思います。

ローラーアタッチメントは平置きで造形し、ローラー部は別パーツにして、ふた部分は接着剤を用いています。積層方向の溝がある方が滑りがいいんですよね。一番確実なのはベアリングと金属だと思いますが、手元に何もなくても作れる、という点を考えてこの設計になっています。なお、最近下にご紹介するフィラメントレビューキャンペーンでPC(ポリカーボネート)フィラメントを入手したため試しにアタッチメント部分を作ったところ、とても滑りが良く強度も高かったので、当方では順次PC製に変更する予定です。

写真のようにスナップオンでどこでもローラー部分ははめることが出来、フィラメント径によってちゃんと角度が変彫られます。試しにフィラメントを載せてみましたが動きには問題ありませんでした。

動きはこんな感じです

IKEA製10.6L保存容器に入れて運用

紹介するにあたって紹介するにあたって問題なく運用できるかどうかしばらく家で使用してみています。現在の使い方は一般的な1kgスプールを2本使用しよくある運用ですが、今のところ重さに負けて折損するようなこともなく、安定して使用できています。当方では家にあった素材と、フィラメント送り出し用の内径2mmのPTFEチューブを別途用意して気密を保ちつつフィラメントを送れるようにしました。使わない時はこれまた3Dプリント製のキャップを被せています。

当初容器には元々持っているシリカゲルを入れていましたが、現在はフィラメントレビューキャンペーンでいただいたOZOーZという乾燥剤を、ダイソーのアバウトなアナログ温湿度計と共に入れています。

この乾燥剤、小さいのに15L容器で約6ヶ月除湿できるという優れもののようです。シリカゲルと比較して7倍の吸湿ができると謳われています。当方では1個入れただけですが、一晩で湿度はしっかり低下していました。持続性については今後経過観察してそのうち報告させていただきますね。

→開け閉めをしなければ本当に6か月程度持続しました!

再利用できないので割高にはなりますが、一つがかなり小さくこのサイズで6ヶ月持つのはかなりすごいと思います。湿気に弱いフィラメントにはとても効果的と思いますので、材料によってはかなり助かるのではないでしょうか?

右にAmazonリンクを貼らせていただくのでよかったらご利用ください。5個入りなので1個当たり半年持つならコスパは高いと思います。

STLはこちら 興味のある方はぜひ作って見てください

ローラー部分全体が可動するのが特徴のフィラメントスプール、いかがだったでしょうか?サイズを問わず、倒れにくく使えるのでそれなりに他のスプールと差別化はできたかなと考えています。ベアリング等を使用しませんので、もしよかったら作ってみていただければ嬉しいです。ベース部分はシンプルな形状なのでブーリアンしたりサイズ変更して好みのサイズにしてくださいね。

STLファイル:Holder.zip
※Shaft.STLは左右非対称なので対側に利用する時は反転してコピーしてください

※著作権は放棄しませんが、利用、編集ともフリーです。これで商売は出来ないと考えますが商用利用でなければ基本的に自由にご利用くださいね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!