Xiaomi Mi ハンディ クリーナー用の隙間ノズルを製作 Fusion360でサーフェスモデリング

CADを使っていらっしゃる方には当たり前?のサーフェスモデリング。私も3Dプリンターを使用するようになってからFusion 360を使用していますが、あまりサーフェスモデリングは行っていませんでした。今回我が家のハンディクリーナー用に窓サッシ用隙間ノズルを作る際、サーフェスモデリングを使ってみたのでご紹介させていただきます。

サーフェイスモデリングとは

サーフェイスモデリングはCADの基本的なモデリング方法で、歴史的にはソリッドモデリングより以前からある手法です。平面で構成される機械的なモデルではなく、曲面を主体としたモデルを作るのにも適しており、元となる線(スケッチ)から面を作成していくモデリング方法になります。逆に、ソリッドモデリングは基本的には面(閉じたスケッチ)から体積があるものを直接作るモデリングになります。・・・ちょっと解らないですよね。

簡単に考えると、サーフェスモデリングはお裁縫です。ペラペラの布を組み合わせて、最後にパッチワークのように面を接合することで質量を持った塊を作ります。ソリッドモデルと異なり曲面を空間に引かれた線を繋ぐことで表現できるので、自由度が高く、後からの微調整も楽になる傾向があります。因みにサーフェスは、正確にはsurface(サーフェイス=表面)ですね。一方でパッチワークしない限りは物体として扱えないため、平面を作って、それを切り貼り、分割して、最後に厚みを付けたりつないでソリッドボディに変換するという手順が必要になります。例えば立方体を作ろうとすると六面全部作ってからパッチワークしないいけないので時間がかかります。

その点、ソリッドモデリングは平面を押し出して直接立体を作るのでサイコロを作るのは簡単で早いです。かっちりした物体を作るのであれば確実にこの方法が速いと思います。実際に3Dプリンターで出力することを考えるとソリッドモデリング中心になるのも道理ですね。一方で面に対する自由度は低くなります。ソリッドモデルの作り方(押し出し、回転、ロフト、)連続的に曲率が変わるような物体はどうしても苦手になります。

フォームモデリングもよく利用しますが、変更履歴が記録できないなど勝手が良くない部分もあります。直感的に有機的な形状が作れるのですごいのですが、数字を直接入れて行うような作業には個人的にはやや使いにくい印象です。

また、サーフェスモデリングは一つ一つは面なので処理が軽いのも美点です。古くからCADで使用されているのは面単位だと動作が軽くてリソースを取らない、という点もあるのでしょう。

今回作るもの ハンディクリーナー用 隙間ノズル

今回作るのは非常に単純ながらも形状としては自由局面で構成されたMi ハンディクリーナー用の隙間ノズルです。元々メルカリやBoothでこのクリーナーのスタンド等を販売していますが、そちらのほうからリクエストいただき、使い勝手がよさそうでしたので製作することにしました。クリーナーやスタンドの詳細は、良かったら下記もご覧ください。

隙間ノズルは形状が単純なので、ソリッドモデリングを行って外側と内側のボディを製作し内筒を引き算すれば作ることが出来ます。でもせっかくの機会なのでサーフェスモデリングを使ってみよう、というのがこの記事になります。私自身のスキルがないため、サーフェスモデリングの基礎中の基礎になっており、作っているもの自体は簡単なので参考にならなかったらすいません。

Fusion360でのサーフェスモデリング

今回は割愛しますが、ノズル形状の最初の部分は普段通りソリッドモデリングを行いました。そこから隙間ノズルとして90度方向が変わりながらノズルが伸びていくようにします。スケッチをあらたな平面に起こして細くなったノズル形状を書いておきます。ここに向かって面をきれいに伸ばすためにサーフェスモデリングを使ってみています。

上段タブでサーフェスモデリングモードに切り替えますが、スケッチについては変わりありません。面に直接厚みを付けることも出来ますが、今回は連続した曲面を2つ作りました。連続した曲面をロフトで作成します。面のロフトと基本は同様ですが、線同士をつなぐ方向を変更することでかなり形状が変わります

今回はなるべくなだらかな形状変化になるように方向を指定して製作しました。また、上下の面が開いたままになっているので、パッチを当てておきます。これですべての面が出来上がったので、修正タブにあるステッチを使ってソリッドボディに変換します。また、ノズルの先端部分はそこからさらに形状を伸ばして、やや孤を描くようなカットでボディを分割して作成しました。

必要に応じて微調整を行い完成!

設計が出来たので造形。とはいえ、寸法と3Dプリンターの造形誤差がありますので、嵌めあいについては実際に作るしかありません。最初に作ったソリッド部分のボディのみを造形し、嵌めあいの確認と調整が必要になります。

Snapmakerだと、寸法としっくりくる嵌めあいにするには0.2mm程度のゆとりが必要な印象を持っており、今回も概ね同じ結果でした。挿入部の段差のところが直角でサポートをしていましたが、サポートレスにするために段差部分を面取りしてサポート不要の形状にしました。3Dプリンターが作りやすい形状を意識してモデリングは行う必要がありますね。

最終的に出来あがったのがこちらです。本体にもぴったり嵌りますし、元々ある延長ノズルとも併用が可能です。どうしても積層方向が割れやすくなりますが、普通に使う分には問題なさそうでした。積層方向を変更して強度を増す方法もあるのですが、今回の場合は意匠をある程度意識する必要がありますので一般的な縦方向の造形としました。

同じ材質で出来ているクリーナースタンドにも入るようにしたので統一感もあっていいんじゃないかなと考えています。試しに嫁さんに渡してみたところ、結構好評です。隙間ノズルって昔からあるのですが使い勝手がいいんですよね。植毛されているオリジナルのものは平面はいいのですが凹凸があったり細いとちょっと入りにくいところがあるので、そこを補えればうれしいですね。

STLファイルはこちら Boothやメルカリで購入も出来ます

3Dプリンターをお持ちのMi ハンディクリーナーユーザーさんがいらっしゃったら、こちらのSTLファイルをご利用ください。サーバーの仕様上、zip形式になっています。簡単なモデリングではありますが、一応著作権は管理人にあります。商用利用不可ですがほかは基本自由にお使いいただいてOKです。よろしくお願いいたします。

隙間ノズルはこちら

また、Boothやメルカリでも購入ができます。売り切れの時はしばらくお待ちいただければ追加で作製して追加します。また、コメント等頂ければ早めに対応することもできると思いますのでよかったらコメントくださいね。

Boothの商品ページへのリンクはこちらです。

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!