Ankermake M5のメンテナンス Y軸のPOMホイールを交換 整備はankermake英語版ページを参考に

2023年7月29日

我が家で使用しているAnkermake M5。初心者でも扱いやすい3Dプリンターとして我が家でも利用されていますが、たくさん使っているうちにY軸のローラーが摩耗してきました。というか初期から微妙に歪んでいた疑いもあります。分解整備について確認すると英語アカウントのYoutube動画が参考になることが多そうです。お持ちの皆さんのお役に立てば幸いです。 

はじめに

Kickstarterで購入した後、比較的高頻度に使用しているAnkermake M5。必要なものの造形は早いと楽ですし、試作を試行錯誤するにも時間がかからないのはうれしいところです。これまでも使用方法やスライサーについて等、当ブログでもいくつか記事がありますのでよかったらぜひこちらもご覧ください。3Dプリンター関連記事はたくさんあります(笑)。

いやー、3Dプリンターは本当に面白くて私のように何のスキルもない素人でも「一生遊べる」道具じゃないかと思っています。小さいブログですが、皆さんの参考になれば幸いです。

3Dプリンターの直動機構について

最初に余談です。FFF(FDM)方式の3Dプリンターではプリントヘッドを駆動して樹脂を積み上げていくわけですが、その機構は様々です。圧倒的に採用が多いのはベルトを介した駆動です。モーターの回転力でベルトを動かすわけですが、この動きを直線上(直動機構)にするためにいくつかの方法が採用されています。

比較的安価な機種ではV-Slotと呼ばれ、溝にベアリングがついたホイールを押さえながら駆動する方式が多いです。Amazonで販売されている多くの3Dプリンターはこれが多いと思います。支えるための構造物をレールとしても使用することで設計が容易かつ比較的安価で安定した性能を出すことが出来るのが特徴で、Ankermake M5もこの方式です。写真を見るとX軸を支えるフレームそのものがガイドになっているのがよくわかります。

Ankermake M5のX軸 3つのホイールで固定されています

他に採用例が多いものの1つが3Dプリンターの老舗、Prusaも採用しているボールブッシュです。これは円筒状の軸と円環状のナットの間にボールが挟み込まれることで直線運動を可能にしています。1本だとくるくる回ってしまうので2本で駆動しますが、重いとねじれの力が大きくなります。2本がちゃんと平行でないとうまく動作しないので調整が必要ですが、がたつきがなく非常に正確で安定した直線運動が行えるのが特徴です。

他の有名どころがリニアガイドレール。これはボールブッシュの流れをくむ機構で、電車のレールのような部品を挟み込む形でボールを挟み込んだキャリッジが取り付けられ直線運動を行います。加重に強く、たわみが少ないことが特徴で比較的コストがかかりますが、精度を出しやすい機構です。当方のVoronでも採用されており、特徴的なベルト機構を組み合わせたCoreXY機構は先日ブログでご紹介させていただきました。

一方ベルトを使わないものもあります。写真はSnapmaker 2.0が採用している送りねじです。これはリニアガイド等他のものと組み合わせになるのですが、駆動にベルトを用いず、ねじ(モーターに付けられたネジが回ることでガイドに支えられたナットが動く感じ)を用います。多くの3Dプリンターではz軸の駆動にのみ利用されています(前項Prusa参照)が、Snapmakerでは全軸に使用されています。重量と速度では劣ります正確でトルクを出すことが出来るのが特徴かなと思います。3Dプリンターでは送りネジの中でも台形ネジが利用されています。
(恥ずかしながら、自分は送りネジ、ボールねじ等の区別がついていませんでした。・・・全部ボールねじかと思っていたんですよね。。まあぼさんにご指摘いただきました。ありがとうございます!)皆さんも私の間違い、指摘してくださいね!!

なお、他の方式として、直動ではない駆動方式としてはデルタ型の3Dプリンターがあります。これは実は私は見たことがないのですが、円形に近い形のベッドに対して3本のZ軸があり、それぞれが上下動することで振り子のようにヘッドが動いて造形していきます。このタイプのプリンターはAmazonでも売られていますが、数は多くありません。

なお、Twitterでいつもお世話になっているちゃーはんさんが製作されているかわいいデルタ型3Dプリンター、「けるべろす でるた」がこちらです。いかがでしょうか?予備知識がないと、3Dプリンターなのかぱっと見でわからない方も多いかもしれませんね。出で立ちが大きく異なるのがお分かりいただけるかと思います。

かわいい色合いのデルタ型プリンター Prusaのようなz軸が3つで駆動します

それにしても自作されるってすごいですよね・・・・そのうち触ってみたい!

Y軸のV-Slot POMプーリーが摩耗した

閑話休題・・・トラブルなく順調に使用できているAnkermake、最近少し気になる症状が出現しました。それはベッドを前後した時に感じる抵抗です。通常動いていない状態ではベッドはフリーに動くのですが、自分で前後に動かした際抵抗が一定じゃないんですよね。

本来は同じ抵抗で最初から最後まで動くはずなのですが、周期的に抵抗が変わる感じです。Ankermake M5のY軸はデュアルベルト使用になっており、ベッドは4つのガイドローラーで支えられています。観察するとローラーが1回転するごとに抵抗が周期的に変わっていました。また、Y軸の溝の底には黒っぽい粉が沢山落ちていて汚くなっています。ベッドを上から押さえつけるとちょっとガタツキがあり、ホイール部分の摩耗とそれに伴う軽度のゆるみで正解と思われました。

ただ、あとから考えると偏心ナットがややきつめだったのも原因かもしれません。プーリー調整後にベッドの動きが軽くなったんですよね。個人的にはがたつかない程度の軽さのほうが機械的ストレスは少ないのではないかと思っているので、今回の組み立て時には気を付けました。(どの程度が最適なのかはまだ私も手探りです。)

CR10/Ender3用の標準的な部品を購入すればOK

なお、Ankermake M5で使用されているPOMホイールは3Dプリンター用にAmazonで市販されている汎用のものでOKです。サイズも問題ありませんでした。一応amazonリンク貼らせていただきます。ちなみにPOMはポリアセタール樹脂のことで、結晶化度が高く、また摩耗に強いためこういった摺動面に使用されます。

重要部品なので奮発しても良いのだと思いますが、良し悪しの区別は購入してみないとわからないので私は右にある安物を買いました。とりあえず使用には問題なさそうですが、10個中1つだけベアリングがちょっと渋め?なものがありました(笑)

がたついたら早めに取り換える、という意味ではコストが安いもので良いかな、と個人的には思います。

ここのPOMホイールがいいよ!という情報もお待ちしていますのでよかったら教えて下さい!

メンテナンスには英語動画が役立つ

ちなみに日本語のAnkermake M5のウェブサイトではメンテナンスの動画が限定的です。(2023年7月現在、当ブログ調べ)Vホイールの調整についてはX軸の増し締め方法が紹介されている動画しか発見できませんでした。どうも日本公式ではあまりプリンターを分解して欲しくなさそう・・・。

でもUSの公式サイトには多くの情報があり、メンテナンスの動画へもウェブサイトから直接見ることもできるなど、非常に親切にできています。メンテナンスについてはこちらの英語版動画を見るのが役立つと思いますので是非一度ご覧ください。今回のメンテナンスについては以下の動画が該当します。英語わからなくても全然大丈夫だと思いますので参考にしてくださいね!

部品交換、清掃してすっきりキレイ、幅は偏心スペーサーで調整

手順は上記動画を見ていただくとして、分解して掃除してみるとやはりゴミが多くたまっています。当ブログでも紹介しているXiaomiの掃除機と自作ノズルでお掃除(宣伝です)しました。なおY軸のベースはSnapmakerほどの剛性感はありませんが、強度は十分ですし、ベルトの処理もちゃんとしている印象です。動画を見ながらやればそう迷うことは無いと思います。ホイールも問題なく交換できました。

ベースにはLRの印がついていますが、コレはプリンターと正面を向いた際は逆になります。個人的にはどっちでも良さそうですが共振予防?のゴムが後ろ側です。また、ホイールを固定するナットは偏心スペーサーになっており、ねじ止めした後に回すことでホイール同士の間隔を調整することが出来ます。ベースプレートががたつかない範囲で強くしすぎないようにしましょう。おそらく自分の個体はこれがやや渋めで、摩耗が比較的早かったのではないかと思います。

交換後試しに色々造形してみていますが、調子は良好です。また何かあればご報告させていただきますね!

メンテナンスや仕組みを覚えて快適な3Dプリンターライフを!

私もまだ(もう?)3Dプリンターを使い始めて2.5年が経過したところですが、3Dプリンターは機械です。仕組みや機構がわかっているとトラブルを未然に防いだり、不調を早期発見できたりします。雑多な当ブログではありますが少しでも皆さんのお役に立てればうれしいです。では、これからも愉しい3Dプリンターライフを!

最後までお読みいただきありがとうございました!