DIYする3Dプリンター VORON 0を作ろう! SIBOOR製キットは自作初心者向き -筐体組み立て編-
オープンソースで開発され、組み立てマニュアルまで用意されているDIY型CoreXYプリンター、VORONシリーズ。今回SIBOOR製キットを購入し組み立てました。とても楽しくて、かつ難しすぎないので私のような自作初心者にぴったりだと思います。
VORONって? 名前の由来はロシア語のカラス
VORONプロジェクトの始まりは2015年、米国のエンジニアであるMaks Zolin氏がおひとりで始められたそうです。そして現在、サイズにより色々異なりますがモーションシステムはCoreXYやXZが採用された、高速、高加速度での造形が可能なプリンタープロジェクトが完成しています。各種パーツも非常に考えられていて、樹脂パーツは3Dプリンターを使って、最小限のサポート(それもSTLで既についている)で造形できるようになっています。詳細はぜひ下記公式ページをどうぞ!
VORON プロジェクトはオープンソース3Dプリンターの一大勢力で、すべての情報が公開されています。今回色々作るのにあたり色々見ましたが、マニュアルやFAQ、Tipsやピットフォール等ものすごく詳細に記されており、正直どうやって運営しているのか謎でした。どうやら運営資金は主に寄付や協賛によって賄われているようです。海外ってそういうのホントすごいと思います。ということでぜひ寄付したいのですが、現在はPayPalで弾かれてしまいます・・・どうしてでしょうか?
そうそう、VORONの由来、ご存じですか?VORONプロジェクトの沿革について、興味深い記事がありましたので下記に共有させていただきます。VORONの由来は、元々はロシア語の「ворона(ヴァローナ)」から来ていて、その意味はカラスだそうです。VORONのメインカラーが黒いのはそこに由来するみたいです。知らなかった・・・・。
記事を読むと、Prusaにオマージュを受けていたり、先行してLulzbotのオープンソース化がなかったらVORONはなかったとおっしゃっています。流行りのKickstarterは好きではない、等色々面白い話があるので是非読んでみてください。子育てしながらプロジェクト作るの、ホントすごいなぁ・・。
VORONが採用しているcoreXY機構についてはちょっと前当ブログでもお伝えした通りなのでこちらもぜひご一読いただけると嬉しいです。
X(Twitter)の皆さんに唆され? SIBOOR製キットを購入
このブログ開設と同時に始まった私の3Dプリンター歴、「3Dプリンターは買うものでDIYするものじゃないでしょ。」そう思っていた時もありました。が、当ブログにある通り色々作ったり、電子工作するうちにゼロからじゃなくてキット作るくらいなら出来るかも?色々仕組みがわかって面白いかも?と思い始めました。
そんな私にTwitterでお世話になっている方々(caesarさん、貴志産業さん、YouTR0nさん、etc)が囁きます、「VORONはいいぞ」と・・・。費用的には完成品を買うのよりむしろ割高になるのですが、高性能かつ比較的お求めやすく、かつ小型軽量でcoreXYを採用したVORON0を購入することになりました。
購入したのはVORONキットの定番、安価で品質が安定しているSIBOOR製のキットです。YouTR0nさんがお付き合いある企業とのことで色々良くしていただきました!この場を借りて改めてお礼申し上げます!そして確かに良いものだったので購入検討される際はYouTR0nさんにDMするといいんじゃないかな・・・と申し添えておきます(笑)
必要物品、あると便利な道具
SIBOORのキットには組み立てに必要なほとんどのものが附属していました。具体的には1.5mmと2mmの六角レンチ&ドライバーとプラスドライバーです。
また、使用説明がないのでわかりにくいところはありますが、リニアガイドをアルミフレーム等と並行に設置するためのガイドなんかも付属しており、至れり尽くせりなキットになっています。それでいて価格も抑えめとは、うれしい限りですよね。
そのため必要物品はあまりなく、私の場合はリニアレールとの固定に必要になる1.27mmの六角レンチやリニアレール用のグリスくらいでした。
グリスは以前Snapmakerに使用したものを流用しています。
あ、忘れてはいけないのがインサートナットを挿入するための道具です。半田ごてで代用できます。インサートナットってなんじゃい?という方はこちらもぜひどうぞ。3Dプリンターとはとても相性がいいので初めて知ったときは私も感動しました。
ほかにもあると便利な道具はあります。SIBOORのアルミ押し出しフレームは精度十分ではありますが、井形にフレームを組む際などは平面性の高い机や90度直角を測るためのスコヤがあるといいと思います。当然のことながらフレームがちょっとでも歪むと精度が落ちたりします。私は当然知識がなかったのでこの辺の知識はやはりcaesarさんに教えてもらいました。
また、キット内の多くは配線も行われており必要な場面は限られますが、やはり端子類の作成にワイヤーストリッパーや圧着工具があると非常に有用ですし今後も役立ちます。私は色々そろえてしまいました(笑)
しっかりとしたマニュアルがスゴイ
さて、このVORONですが、DIYのキットにもかかわらずマニュアルがめちゃくちゃ充実しています。SIBOOR製の場合は一部異なる部分もあるのですが(相違点等はwebで差分の確認ができます)、私は公式の組み立てガイドの素晴らしさに感動しました!
公式の組み立てマニュアルは下記にあります。GitrHub上で古いバージョンのものも保持されているため、今後バージョンアップがあっても安心ですが、自分のバージョンのものは最初にダウンロードしておくとよいでしょう。
下記から最新版のマニュアルはダウンロードできるのですが、2023年8月時点で最新のR1キットの組み立てマニュアルは250ページを超えています。また、イラストや注意点などが詳細に書かれており、英語というハードルはありますがものすごく親切です。・・・すごいでしょ?これ、無料なんですよ!!
こんなマニュアルが販売していないとは、正直信じられません。自分だったらモノはオープンソースにしてもマニュアルは料金とる気がする(笑)。
SIBOORの電気的な部分の相違点など差分マニュアルはGithubにあります。下記からどうぞ。ただ、アカウントの画像、どうしてクレヨンしんちゃんなんだ・・・。この部分は版権的にアウトですね。
個人的な組み立て時の注意点
さて、組み立ての実際ですが本当にマニュアルが良くできていますので詳細は不要と思います。一般的なところとしては溝に入れるプリロードナットの数とかかな・・・。ここでは個人的に気を付けたほうがよさそうなところや失敗したところ等をご紹介させていただきますので、皆さんは気を付けてくださいね。
①プリント部品を造形する前に条件を確認
マニュアルの4Pくらいにプリント品の造形条件が書かれています。スライサーで条件をプリセットしておくと良いと思います。目的とする強度を得るための条件(壁4層、インフィル40%等)や積層0.2mm、また線幅は0.4mmで固定、となっていてサイズに影響を与える可能性があります。線幅の見直しと、厳密にやるならアラクネモードの解除(Prusaslicerの場合)をしておきましょう。プリント部品はついているのですが、ツールヘッド回りなど黄色くしたくて部品作りました。
特にツールヘッドなどはちゃんと寸法が出ていないと上手に組み立てられないと思います。上記を守りつつ今までの技術を総動員してプリントパーツは作りましょう!我が家ではおなじみSnapmakerで造形しましたが、ばっちりの寸法でした。さすがうちの子!
➁柱の種類は要チェック
SIBOOR製の場合柱の穴あけ等すべて完了しており、A柱とB柱、またC柱とH柱は共通になっています。そのほか細かい違いがありますのであらかじめSIBOORの補足マニュアルを入手してこちらも読み込んでおいてください。また、2方向から穴が開いているD柱や、片側の違う位置に穴が開いているE柱等柱の種類を間違えて使用すると後で大変なことになります。あらかじめしっかり仕訳けておきましょう。
③リニアガイドレールのガイドはとても便利
リニアレールが曲がって装着されるとスムーズに動きません。SIBOORキットにはいくつかガイドが入っているので、ぜひ有効利用してください。複数個所、なるべく多くのポイントでガイドを入れておくとゆがみを最小限に抑えられると思います。また、絶対にキャリッジをレールから外さないように注意しましょう。
④垂直、水平、フレームのゆがみがないように!
先ほど紹介したスコヤや平らな床、机面等の平面を利用してフレームにゆがみが出ないように注意してください。一度フレームを組んだら方向を変えて平面において「カタカタ」しないかチェックしてくださいね!フレームが組みあがってからも平面と垂直が出ているかチェックを入念にしてください
⑤デッキパネルの方向に注意
58Pくらいで下部にパネルを入れます。私はここでこのパネルの方向を間違えました(笑)そんな人、いないと思うのですが、このパネル、私はすっかり左右対称だと思い込んでいたんですよ・・・ということはほかにも同様の方がいるかも?と思って注意喚起させていただきます!私はあとから本体向かって右側に、ドリルでアクリルパネルの追加穴あけすることになりました!
⑥間違いなくここが肝、ベルトの長さはぴったり一緒に!
先日のブログでも紹介した、このCoreXY機構の肝となるのはやはり特徴的なベルトです。2つのモーターとベルトが協調運動する仕組みなのでベルトの長さを厳密に同じにしないとうまく動きません。マニュアルにも書いてありますが、ベルトを切る際に1m程度で溝と溝が嚙み合うように厳密に同じにします。
実際に山と溝の数が同じになるように、キャリッジにベルトを固定する際にも余ったベルトの山が同じか確認しましょう。ベルトは最後ツールヘッドをつける段階まで切らずに、動きをしっかり確認してから切りましょう。自分が真剣すぎて、写真がなくてすいません・・・。
なお、この段階での正常な動作については前述のCoreXYのブログを参照いただければ嬉しいです!
⑦他の細かい点
他に私がちょっと戸惑ったのは、ベッドのヒーターはスペースがなく設置が斜めになったこと、ヒーターの端子をケーブルチェーンに入れる際にサイズ的には要らなかったので少し削ったことなどでしょうか。
また、先にも触れましたが、リニアガイドとの接続用のネジは付属の1.5の六角はハマらず、1.27mmの六角レンチが必要でした。この点については自分はすっかり忘れていましたが、緋村修さんの指摘で問題を再認識しました。ありがとうございます。
組み立てできましたか? 電装編につづく
今回はとりあえずハードを組み立てるところまでにしました。たぶんこれくらいでおおむね躓かずに完成できると思います。誰かのためになれば幸いです!電装編も追加しましたのでよかったらこちらからどうぞ!
ということで、SIBOOR VORON 0 DIYキット、初めてのDIY3Dプリンターにはピッタリじゃないかと思います。興味持っていただける方、ぜひご検討ください。今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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