Snapmaker 2.0 空気清浄機 レビュー 抜群の威力でABSも無臭に! ただし 温度変化と音に注意
これで子供がいる我が家でも安心してABS造形に挑戦できます。全然試せていませんが、おそらくレーザー使う方には必須の装備になるのではないでしょうか?価格も高いですが、圧倒的な造りと、フィルター質量に物を言わせた性能は期待を裏切らない性能を発揮していると思います。
3Dプリンターの問題の一つ、臭い
使っている方はもちろんご存知だと思いますが、知らないで3Dプリンターを購入するとトラブルの元になる可能性があるのが、臭いの問題です。方式にもよりますが、3Dプリンターは色々ニオイを出します。私が使用しているSnapmaker 2.0 はFDM方式の3Dプリンターであり、樹脂を溶かしながら造形しますので、原理上「樹脂が溶ける臭い」は避けられません。
多くの方が最初に使うPLA(ポリ乳酸、植物由来の広義でいえば生分解性プラスチック)は多くの場合甘い感じの匂いがします。PETGは匂いはほとんどありませんが、温度変化に比較的強く一般的な材料であるABSは、「プラが溶ける変な臭い」がします。我が家には小さい子供もおり、かと言って常に換気する訳にも行きませんし、何よりABSそのものが温度が高くないとうまく造形できない樹脂であるため、臭い問題対策は私の環境では困難でした。
今のところ明らかな健康被害のエビデンスがある訳ではないですが、UFPやVOCと呼ばれる物質が空気中に出て来るのは事実ですし、3Dプリンター自体が比較的新しい分野ですので「安全だ!」とも言いきれません。この事に関しては下記記事もぜひご覧ください。
Snapmakerから純正空気清浄機 Air Purifier が発売
そんなこともあり、ABSの造形は諦めていた私ですが、Snapmakerから空気清浄機が発売されました。日本のホームページには概要が載っていますが、本家のページの方が性能が詳細に書かれています。ざらっとみてみると、なかなかスゴイ性能のようです。・・・ですが大きさも価格もすごい(笑)。通常の粒子状物質から、レーザーの消臭にまで配慮したエンクロージャー容積を考えると物凄いサイズのフィルターが搭載されています。
日本の一般空気清浄器くらいのサイズ、フルメタルの9kg弱の重量級筐体でフィルター重量もなんと2.4kgもあります。おそらく活性炭の量がすごいのだと思いますが、PM0.3まではフィルターで回収しVOCは分厚い活性炭で濾し取る物量作戦ですね。古典的ですが効果的な方法です。ただ、当然それだけやればかかるのが費用。
日本購入で約7.5万円。かなりの高級品です。しかも最近交換フィルターが海外で売られ始めましたが、それも1つで1万円します。まあレーザー利用でも3ヶ月持つとのことなので3Dプリント用途ならかなり保つとは思いますが、ちょっと導入は躊躇われますよね・・・。なお日本公式サイトのリンクはこちらです。
我が家に Air Purifier がやってきた!
と思っていたら、何とSnapmaker Japan主催のスナコンにてご縁があり、賞品としてこのAir purifier、空気清浄機が当たってしまったのです!この場をお借りして改めてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。これからもSnapmakerガシガシ使わせていただきます!
右のTwitterがその時のものになります。届いた箱もめちゃくちゃ大きく、わかっていましたもののびっくりしました。持つための取手もないので運ぶのが結構大変でした。
ご存知かもしれませんが、日本の空気清浄機って基盤とシロッコファンのモーターと軸部分以外、ほとんどプラスチックでできてると思うんですよね。だからサイズが大きくても取っ手が付いてて、片手でも簡単に持ち運べるわけですが、この商品はダクト取り付け部分以外ほぼ完全な四角柱で、持ち運ぶことなんか全く想定されていないことがよく分かります。蓋部分も含めがっちりしたアルミ合金製で、Snapmaker製品全てに言える事ですが、まさに「質実剛健」でした。
Snapmaker 空気清浄機 外観
我が家に到着した空気清浄機ですが、置き場所が限られる我が家では3Dプリンター用の机の下段に収納されることになりました。幸いエンクロージャー付属のダクトと空気清浄機に付属のダクトは十分なサイズで距離の問題は生じませんでした。接続方法は本当にシンプルで、この空気清浄機本体には電源ボタンすらありません。あらかじめ吸排気ダクトをつないでCAN通信用のケーブルをエンクロージャーのポートに接続するだけです。
本体との接続状況は底部で光っているLEDが示し、待機中の時は流れるような表示、接続中はゆっくりと明滅します。写真は3枚とも光っている最中のものになります。また検知方法は分かりませんが、フィルター寿命や故障時は色そのものが変化するようです(幸い確認したことはありません)。LEDの動作だけなら特に消費電力は気にしなくていいのかもしれませんが、私は使用しないときはコンセントを抜いてしまってます。なお、排気も我が家の場合はそのまま室内に出すことになります。写真上は分かりませんが、後面には旧排気ダクトをそれぞれつなぐポートがあります。
中身はこんな感じ 使い方はシンプル
先ほどの上面の分厚い蓋を開けると中蓋があります。中蓋は嵌め込まれているだけで、これが浮かないように上の蓋が重石を兼ねている感じでしょうか。後方の上段から吸い込まれた空気はまず写真上面のダクトを通って最上部荷持ち上げられ、そこからフィルターで濾過されることになります。風路を考えても風切り音がしそう・・と思いますよね。
重いフィルタを持ち上げると最低面にシロッコファンが見えます。みてわかる通り、ただ空気が通るだけなのに過剰なまでのSnapmaker品質がお分かりいただける内部です。アルミの厚み、四隅の補強、開閉するヒンジ部分など見ても強固さがわかると思います。
3枚目が持ち上げたフィルタですがずっしり重いです。さすが2.4kg、そのうち使い終わったら中身を見てみたいですが、フィルターの重さは限られることからやはり相当量の活性炭が入っているのではないかと思いますね。金属はありませんので使い終わったフィルターは燃えるゴミとして処分できます。バラバラにならないので捨てやすいとは思います。日本での交換フィルター代金が2022年2月時点では明らかではないですが、海外と同様1個1万円以上になるとは思いますのでどのくらい効果の持続があるのか、今後興味深く見守りたいと思います。
全ての接続と電源供給をしたところで本体の電源を入れてみます。当方のSnapmakerではすでに空気清浄機対応のファームウエアが入っていたため、電源を入れるとすぐ認識され使用できる状態になりました。先に触れた通り空気清浄機側にはスイッチ類はなく、設定やファンのオンオフはSnapmakerから行います。UIが整っていて良いです。1枚目が起動直後ですが、CAN通信で空気清浄機が接続され使える状態になっていることがわかります。もちろん、3Dプリンタのヘッド、ヒートベッド、エンクロージャーも接続されています。
2枚目の写真は設定部分ですが、接続して起動しただけで空気清浄機が表示されています。ここから3枚目の空気清浄機設定に入れます。あるのは電源ボタンと、ファンの風量、フィルター検知機能、寿命表示とシンプルです。
効果はスゴイ、が音もすごいので工夫が必要かも
実際この2ヶ月ほどこの空気清浄機を使用していますが、実際効果は素晴らしいです。ABS、ABS+の臭いは完全に消失します。PLAなんかの甘い匂いも感じ取れません。正直すごいです。無臭の化学物質はわかりませんが、少なくとも鼻が感じ取れる物質はほぼ全て除去出来ることになります。家族からの臭いクレームも全くゼロです。
ただ、すごいのは効果だけじゃないのです・・・音が、めちゃくちゃうるさいです。我が家だとダクトが曲がっているせいもあるのでしょうが、電源オンで「ゴー」っという音が響きます。Highパワーにでもしようものなら騒々しいはずのSnapmakerの音が掻き消えるくらいの音がします。まあこの音の原因ははっきりしていて、ダクト径に比べて吸引力がものすごく強いせいなんですよね。そのまま使うと、Low設定でもABS造形ではエンクロージャー内温度が下がります。
消臭と温度の両立の対策として、私の場合ABS造形時は専用エンクロージャーのファンのみを回すことで対処しています。この方法だとエンクロージャーのファンで排気する程度の風圧でパッシブに空気清浄機を運転するのでうるさくならず、温度の低下も個人的には許容内になりました。気になる場合は造形終了後に数分間ONにすれば事足ります。この方法なら空気清浄機のコンセントが抜けてても問題ありませんし、この空気清浄機のスペックを考えるとABS程度ならこれで十分なのではないかと思います。本気出すのはレーザーの時だけで良いのかな、と感じました。正直コスパとしてはオーバースペックが災いしている印象です。もちろん、レーザーを多用する方には非常に良いと思います。
いかがでしたでしょうか?お値段のことがあるので他人におすすめするかと言えば微妙ですが、ABSを使いたくてニオイの問題で諦めている方の選択肢として魅力的ではあると思います。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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