バッファロー スティック型SSD レビュー 発熱はあるものの実用的 windows環境ならBitlockerの利用がおすすめ

2022年2月25日

超小型スティックタイプのSSD、SSD-PUTVB1.0U3-Bを買ってみました。値段は張りますが大容量USBメモリと比較しかなり高速ですし実用性は十分です。Windows環境で使うため、このレビューはBitlockerで暗号化した状態になります。持ち運べる大容量ストレージは暗号化が必須と思っていますが、Bitlockerは作成にWindows proが必要なもののアクセスは制限なく可能で、かつ十分に速いです。なおアクセスを繰り返す用途では発熱しやすいものの、100GBくらいのサイズのやり取りなら速度低下はありませんでした。

大容量データ移動目的のストレージ スティック型SSDという選択

今はGoogle driveやOnedriveなどクラウドストレージが普及していますが、GB単位の動画やまとまった写真のやりとり、本体容量を圧迫してしまうSteamのゲームファイルなどローカルストレージはやはり必要です。バックアップ系はHDDの独壇場ですが、持ち運びできる小型ストレージは便利です。MB単位のファイルならUSBフラッシュメモリでもいいですが、速度が出にくかったりランダムアクセスが遅いなど問題点もあります。
一方ポータブルSSDは速度面では優れているものの接続にケーブルが必要だったり、HDDほどではないにせよサイズ面や価格から普及は限定的と感じます。

スティック型SSDは速度や温度などをある程度割り切ることで小型化を追求したストレージであり、両者のいいとこ取りを狙った商品ですが値段はそこそこしますし、評判を見ても発熱の問題が指摘されるなど完璧ではないようです。今回、実用性を試すためにBaffaloから販売されているスティック型SSD、SSD-PUTVB1.0U3-Bを購入してみました。

今はGen2のread最高600MB/sの商品が出ていますが、今回購入したのはGen1の最高400MB/sのものになります。こちらを選んだ理由としては単純に価格面が大きいです。また、Gen2に対応しているUSBーAって、実は多くないんですよね。端子がUSBーCに統一されれば状況は変わると思うのですが、USB-Cって便利なので別デバイスが既にあったり、デスクトップでは数が少ないです。むしろUSB-Aが空いていることが多いので、ポータブルストレージとしては現状悪くない選択と考えています。

また私が購入したものは抗菌、抗ウイルス使用というものですが、そうじゃないもののほうが安いのでおススメはそっちです。(抗菌、抗ウイルスなんてあてになるものではないと個人的に思っています。)
スペック等メーカーホームページも参照くださいね。

大容量なので暗号化必須 WindowsならBitlockerがおススメ

SSDに入れるデータにもよりますが、1TB容量があるので色々なデータが混在する可能性が高いです。個人的にWindows環境、使えるPCに一つでもProエディションがある場合、最もお勧めなのはBitlockerです。Windows標準の機能として提供されているためMacなどでは利用できませんが、初期設定をすませばHomeエディションで問題なく使えますし、ドライブ丸ごと暗号化出来て、かつドライブ接続時に認証するだけで暗号化を意識せず利用できます。またファイル内容に制限がないため、後述するSteamのゲームデータ保存にも問題なく利用できます。転送速度についてですが、現在のようにPCの速度が十分に早い場合、Bitlocker利用でのパフォーマンス低下は限定的で個人的には10%以下の印象です。

Bitlockerドライブの作成はPro以上のWindowsのエディションでしかできない制限があり、ここがネックですが、作成してしまえばメンテナンスフリーでどのwindowsでも使えます。一応Windows11環境でのBitlockerドライブの作成について下にスクリーンショットを貼っておきます。全く難しくはないです。

暗号化されたドライブをPCに挿すとパスワード入力画面が自動で出てきますので、パスワードを入れれば後は通のドライブと全く同様に使えます。

ということで今回はBitlockerで暗号化してこのポータブルSSDを利用し、実際どの程度の速度で動作が出来るのか検証しました。購入後、即暗号化を行い、その状態でベンチマーク等を行っています。

転送速度と温度の検証

転送速度と温度は定番のCrystaldiskmark ならびにCrystaldiskinfoで確認してみます。
まずはCrystaldiskmark。1GBデータで転送速度を確認してみました。1枚目がそれですがBitlocker利用による速度低下はやはりごく軽度だと考えられるデータです。温度は最初データを作成するときにグッと上がりますが、許容内と考えます。またアクセスがなくなればすぐに落ち着きます。ランダムアクセスも十分速く、フラッシュメモリとは較べるのが失礼です。最近はNVMe SSDがメインなので忘れがちですが、Gen1でも一昔前のSATA接続のSSDとそう大差ない転送速度なんですよね。2枚目では連続して測定しましたが明らかな速度低下はありませんでした。
3枚目では最大の16GBに設定し大容量データの転送を前提としてみましたが、有意な速度低下は生じませんでした。夏の炎天下ではパフォーマンスが低下する可能性があります。

温度のデータは1枚目がベンチマーク後です。アクセスが入ると60度くらいには上がります。一連の流れの中で確認できた範囲で最高66度まで上昇しました。アクセスが終わるとすぐ50度台まで下降します。

Steamのゲームデータ保存先に使ってみる

当方では色々なデータの一時保存先として利用する予定ですが、1TBも容量があるのでSteamのゲームデータ保存先として利用してみましょう。ご存知の通り、Steamではデータ保存先に外部ドライブを設定することで、他のマシンでもそのまま利用できる利点があります。我が家ではデスクトップとGPD WIN MAX 2021で共用できることになります。まあMicrosoft Flight Simulatorみたいな大物は高速のSSDに入れたいですが、ストレージの柔軟な運用ができるのはSteamの強みで、素晴らしいと思います。GPD WIN MAX2021についてはもしよかったらこちらも見ていただければ嬉しいです。

Bitlockerで暗号化していても、OS単位でサポートされているためSteamのゲームデータ保存先としても全く問題なく機能します。試しに数個のゲーム130GB分くらいのデータをこのスティックSSDに移し、複数のPCで確認してみましたが起動、データロード、セーブなど全て問題なく行えました。超弩級ゲームでなければ速度面でもあまり気にならないと思います。なお、100GBくらいのデータ移動では温度も許容内(60度前後)でサーマルスロットリングも生じませんでした。

マルチに使えて便利 用途次第ですがおすすめです

懸念事項であった発熱が許容内であったため、個人的な印象は非常に良いです。ただ値段のこともあるのでパッケージにあるような据え置きゲーム機や、データ量が多くアクセスし続けるため発熱しやすそうなTVの録画用にわざわざこのSSDを選ぶ理由はない気がします。やはり高解像度、高ビットレートの動画(我が家でいえばInsta360のデータなど)や写真を気軽に持ち運んだり、今回のように比較的軽めのゲームデータを本体から移すことでPC全体のストレージやパフォーマンスを管理するのに適していると思います。もちろん、USBメモリのような使い方もできるので保管場所として持ち運ぶ可能性のあるデータを突っ込んでおいても良いです。(暗号化前提ですが)

長期間の利用をしていないので耐久性は分かりませんが、実用的な速度で懐の深いマルチな使い方ができるため、このタイプのSSDの使い道は色々ありそうです。Bitlocker前提でなければパーティション区切ってLinuxの起動ドライブも作成し環境丸ごと持ち運ぶのにも良さそうですね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!