SK本舗 3Dプリンター用フィラメント(PLA) マット色 レビュー 硬いマットフィラメントできれいな造形が可能です

2021年12月4日

剛性が高いマットPLAのスタンダードになれそうな新しいフィラメントがSK本舗さんから発売されました。高級感のあるマットな質感でPLAの剛性の高さそのままに上品なマット感が出ます。ちょっと特徴的なにおいがしますが造形もしやすくPolyterra PLAだとちょっと強度がたりないな、という方にピッタリではないかと思います。使い倒したのでレビューさせていただきます。

SK本舗さんからFDM用フィラメントが新発売

まず初めに、今回紹介するこの「3Dプリンター用フィラメント(PLA) マット色」は当ブログ始まって以来初のタイアップであり、フィラメントはSK本舗から提供いただいたものになります。商品詳細は公式サイトをご覧ください。当ブログでは私が使ったもの、よかったものしか紹介しないというコンセプトで運営しており、正直「もし使いづらかったらどうしよう。。。」と思っていたのですが、杞憂に終わりよかったです。

この記事はきっかけはタイアップではありますが、自腹でこのフィラメントを購入していたとしても同じ記事になったと思いますのでその点はご安心?ください。

紹介するのはマットのフィラメントです。世の中つやのあるPLAフィラメントはものすごく沢山ありますが、使いやすく手ごろなマットPLAといえば、個人的には今まではPolyterra PLA一択でした。このSK本舗フィラメントは「剛性が高い」マットPLAの選択として非常に有効だと思います。

私自身はSK本舗さんというと、光造形方式の3Dプリンターを扱っているお店というイメージがあって、FDMはあまり扱っていないのではないかと思っていましたが、最近はFDM方式も積極的にラインナップされているようです。今回はたまたま左のTwitterを目にしてタイアップ希望させていただいた次第です。ありがとうございます!

フィラメントの特徴は?

色々使い込んでみましたが、総じて扱いやすいフィラメントです。積層がきれいに出て、マット感もよく、上品な感じの造形が出来ます。子供のおもちゃを結構出力していますが、かっちりした造形でかつ、PLAならではの硬さがあるので剛性が必要なところに適していると思います。これはPolyterraとは逆の特性です。
下記に私が感じる特徴を箇条書きしてみます。上のほうが好ましいところ、下のほうがいまいちなところです。

  • マットな質感
  • 剛性が高い
  • サポートが気持ちよく外れる
  • 吐出しやすく安定、焦げがでない
  • Polyterra PLAの設定でほとんど対応可能
  • ベッドへの定着はそこそこだが油断すると反る
  • 若干の糸引きがある
  • 特徴的なにおいがある

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いかがでしょうか?今まで強度がしっかりあるマットPLAは少なかったので非常に価値のあるフィラメントだと個人的には思います。どうしても比較対象となるPolyterraは、PLAとしては例外的と言っていいほど柔らかく粘りがあり、削りやすい等も含め、良くも悪くもPLAらしくないんですよね。力学的特性がかなり違うので競合することはないと思います。ただ、データシートがないのはちょっと残念です。

造形前の状態でも特徴は明らかで、フィラメントの段階でぐいぐい曲げ伸ばしすると違いがよくわかります。また、薄く造形すると、本フィラメントが変形せず耐えた後閾値を超えるとぱきっと割れるのに対して、Polyterra PLAはちょっとの力で曲がり始めますが粘り強く、割れません。今回のフィラメントは弾性変形、polyterrraは塑性変形という感じです。良し悪しではなく、性質が全く異なるので使い分けができると思います。

ネガティブな点ですが、ちょっと反ることがあります。オーバーハングなんかでは注意が必要かもしれません。あと、においがちょっとあります。個人的にはあまり好きではない匂いですが、こればかりはブログで伝えられません。でもじゃあ使うのやめるかと言われれば使う、くらいの軽い程度だと思ってください。また、PLAではありますが糸引きが少し出ます。PETGほどではありませんが、ご注意ください。

造形設定

造形設定についてはおおむねPolyterra PLAのものが流用できます。ベッドへの定着はあまり強くないので、initial layerの吐出は多めにしています。ノズルの温度は低めのほうがパキッとしてきれいだと思います。当方の代表的な印刷条件は下記の通りです。3Dプリンターはsnapmaker2.0、Kaikaノズル、ダイレクトエクストルーダーでの条件です。

  • ノズル190-200度 リトラクション1mm 積層0.2mm
  • イニシャルレイヤーフロー 115% 
  • ベッド 50度
  • 印刷速度 60mm/s 外壁40mm/s
  • インフィル15%

また、ほぼ対極の特性を持つマットPLAの王道、Polyterraについては下記もご参照いただけると嬉しいです。

実際の造形物

出来上がったものも非常にかっちりしていて剛性があります。角もしっかりとがった感じできれいに出ますね。一番すごいと思ったのは子供のおもちゃ用に作成したタイヤと軸の部分で、かっちりしているのでこのサイズにもかかわらずちゃんとネジが締まるんですよ。出来上がりを見ても非常にきれいです。

オーバーハングについては反りやすさが悪影響を及ぼすことがあるのでノズル温度の調整は個々で必要です。糸引きはノズル温度を下げることで改善できます。また、特にダイレクトエクストルーダーの場合はリトラクションは少なくしたほうが気泡発生による吐出不良が起こらずきれいに仕上がります。

剛性の高いマットPLAの決定版 通称が欲しいかも?

いかがでしょうか?色も意外に色々ありますし、発売直後のサービス価格は2021年12月ころに終了とのことですが、通常価格でもPolyterra PLAとほぼ同等です。個人的にはマットなもののほうが私の造形用途には向いているので、今後も粘りが欲しいところにはpolyterrra、強度が欲しいところにはSKと使い分けていきたいと思います。ただ、個人的にはSKフィラメントには通称がないのが気になります。呼び方、SKマットフィラメントでいいのかな・・?公式に愛称があるといい気がしますが、SKさんどうでしょうか?

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!今後ともよろしくお願いいたします。