REVOPOINT RANGE 3D スキャナー レビュー その1 ハンドスキャンとソフトウエア 扱いやすい製品です

今回はメーカータイアップ記事で、ただ今クラウドファンディング中のREVOPOINT RANGEを使用しレビューさせていただきます。内容については特に忖度する必要はないことを確認していますが、実際使うとよくできていますので自信を持って紹介出来ます。スキャン範囲が広いためハンドスキャンが実用的に行え、ソフトウエアも優秀でお値段分の価値は十分あると感じました。まずは本体、室内でのハンドスキャン、ソフトウエアについて書かせていただきます。

REVOPOINT RANGEとは

まず初めに。REVOPOINT RANGE は現在クラウドファンディング中(日本においてはほぼ事前予約と同義)の3Dスキャナです。公式には5cm以上くらいの大きなサイズのもの向けに作られている2023年時点で最新の3Dスキャナになります。スペックなどを含めた情報の詳細は一度以下の公式ページをご覧ください。概要がわかった後にこの記事を見ていただいた方がわかりやすいと思います。

この3Dスキャナの最大の特徴はやはりある程度大きなものに特化していることだと思います。一般の3Dスキャナは小さいもの向きなことが多く、スキャン範囲が狭いため、大きめのものをハンドスキャンするのはかなり大変です。私の場合、3Dプリンターではそこそこのサイズのものを作ることが多く、また現実世界に合うよう採寸してCADを作ることもあるため、その工程にこういったスキャナが入ると楽が出来るかも?という期待もあります。カラーのテクスチャがつくため、小物としてメタバースに持ち込むのも面白いかもしれません。

なお、REVOPOINT社は3Dスキャナでは定評のあるメーカーで、2014年に設立の新しい会社です。しかし、2022年には同社の3Dスキャナがworld best selling 3D scannerになり、REVOPOINT MINIが発売されました。今回のRANGEはクラウドファンディングで3台目になります。

今回はREVOPOINT社より、クラウドファンディングに先行してこの商品を使用させていただきレビューを書かせていただくことになりました。この場を借りて御礼申し上げます。なお当ブログは実際にある程度商品を使い倒して、良い点のみならず忖度せずに改善点や課題も含めて正直にレビューすることを条件にさせていただいています。他の記事と同様、安心して読んでいただければ嬉しいです。

本体と外観

今回のクラウドファンディングには人が乗れるターンテーブル付きのものと、スキャナ本体のみのものがあります。私はすっかりスキャナ本体だけが送られてくるのかと考えていましたが、実際はターンテーブル付のものを送っていただきました。写真の通り、ものすごい大きさです。送料も相当かかるんじゃないかな・・。ターンテーブルを用いたスキャンは後編でご紹介しますが、ターンテーブルの耐荷重はなんと200kg!!お相撲さんも乗れるサイズで、そりゃでかくもなりますよね・・・。コレはまた後編で使うので置いておきます(笑)

このターンテーブルはリモコンも付属しており応用が利きますし、何よりスキャンが楽なので余裕がある方にはぜひおすすめしたいですが、置き場所は必要になると思います。一方、スキャナ本体は小型です。過去のREVOPOINTスキャナと同様、3脚用のネジつきモバイルバッテリーやスマホ固定のステーがコンパクトな3脚とセットで付属しています。まさにオールインワン。なによりモバイル電源で動作するのが利点だと思います。

ダンボールも箱も丈夫で、衝撃に耐える梱包です。購入したものが壊れて届くリスクは少ないと感じます。個人的には大事なところです。一方で本体の質感はいかにもプラスチックで、高級感はありません(笑)がその分軽いです。3Dスキャナを使ったことがある方は分かると思いますが、ハンドスキャンにおいて軽さは正義です。グラグラするとブレて失敗の確率が跳ね上がります。(後述)また、技適マークも装備されており国内で安心して使用できるようになっています。端子はレアなUSB3.0 microB。端子の破損予防に取り付けねじがついています。

ボタンはスキャンのスタートストップのみ。電源が接続されると起動してWiFi接続のモードになります。

古いスマホでもスキャン可 M1 iPadは快適動作だが編集はPC

PCと直接繋がず、RANGEとスマホやiPadの組み合わせでスキャンが行える当機種は非常に機動性が高いです。スキャンだけならPCレスで行えるのはハンドスキャンにおいては非常に大きな強みだと思います。接続はAndroidならUSBとWiFi両方とも可、iOSではWiFiのみになっています。

まずは当方でパッと使えるスマホが2016年頃のSD821,RAM3GBの古い機種(ただしAndroid13のROM焼き済)しかなかったのでUSB接続してスキャンしてみました。アプリの推奨を見るとメモリ6GBとかなり要求されますが、実際やってみるとどうということなく動きました。遅延も許容範囲ですしちょっとしたスキャンには十分利用できると感じます。一方でスキャン後の後処理はかなりの時間を要すため、キャンセルした元データをPCに転送したほうがいいと思います。

iPadはWiFiで接続。我が家のipadはM1 iPad pro 12.9インチで重いのが難点ですが、処理も高速でスキャン向きではあります。両手持ちを安定して行うために3Dプリンターで簡単なステーを作りました。こういうものがあると両手で支えてスキャンできるのでとても便利になると思います。必要なものをすぐ作れるって便利ですよね。この場合重量を減らすためモバイルバッテリーはポケットに入れています。

iPadでのスキャンはさすがに高速です。後処理も高速で素晴らしい。ただ、こちらのソフトウエアは改善してほしい点もありました。一番大きいのは1スキャンごとに転送が必要な点です。複数回のスキャンをまとめて1つのプロジェクトでエクスポートできません。ある程度回数をこなした後に転送するのが非常に面倒でした。ぜひ改善をお願いしたいです・・・。

他にも詳細なオプションは選べないのと、メッシュ化してもply形式で、objでの出力がスマホアプリでは行えず、基本的にPCへ転送する必要があるのは残念です。M1以降の iPadならobj変換までお任せできそうですが・・・個人的には今後に期待したいところです。

Wifi接続で接続不可(WiFiで見えない)のトラブルあり 設定変更を

当方ではPC接続は問題なかったのですが、スマホやiOS端末からWiFi経由でREVOPOINT RANGEに接続できないトラブルが発生しました。具体的にはWiFiの接続候補としてRANGEが出てこないんですよね・・・。何度再検索しても出てこないので一瞬故障を疑いましたがWindows PCからは問題なく見えるので原因がわかりません。初期設定で暗号化されていないためのモバイルOS側の安全対策の可能性もあります。

幸い、PC接続した状態でREVOPOINT RANGEのSSIDとパスワードの設定が出来るので変更しパスワードの設定をしたところその次からは何の問題もなくみられるようになりました。もしお困りの方がいたら試してみてください。ちょっとわかりにくいですが、下の部分から設定の変更ができます。

コツはあるけどハンドスキャンが実用的

やられたことがある方は分かると思うのですが、ハンドスキャン、結構大変なんですよね。ブレないよう、ジンバルのような安定感を目標にスキャナをすすーっと動かす必要があります。対象物の周りを回るなら一定の距離を保ちつつ、中腰で縦にブレないようにリンゴの皮向きみたいに一方通行に回るのがベストだと思います。なんとなく上手にスキャンできるようになるのに数時間は要します。

なお、スキャナにはジャイロがあるわけではなく、スキャン面の特徴をとらえて位置あわせしトラッキングするので、特徴がないと位置をロストし失敗します。視野の一部に特徴をとらえつつ全体をスキャンするのは結構大変です。失敗を繰り返すことで、失敗する感覚はなんとなくつかめました。まだまだですが、習熟が必要なのは3Dプリンターと同じですね。iPhone, iPad Pro のLiDARスキャンと比較するとだいぶ難しいです。

3Dスキャナーは基本測距した点の集合体を最終的にメッシュに変換するので、十分な点があれば同じ場所は何回もスキャンしないほうが誤差が少ないです。複数回スキャンして後から合成することもできるので有効なスキャンを数回以上しておくとよい結果が得やすいはずです。慣れが必要なので最初はひたすらやってみることになると思います。いくつか試した結果はこんな感じ。手やソファなど特徴が多いものはハンドスキャンでも結構使える印象です。赤外線なので黒いものは苦手ですが、こういう感じのものなら角度を工夫すれば大丈夫でした。どうしてもダメな場合は付属のマーカーシールを使うのも手だと思います。(まだ試していません)

ある程度出来る様になったところで、家にあったそこそこのサイズのオブジェクトとして、ロディをスキャンしました。ロディくらいのサイズは小さいスキャナだとかなり大変ですし、一方でiPadやiPhoneのLIDERスキャンだと精度が出にくいサイズのオブジェクトです。何回か失敗しましたが最終的にかなり良い結果が得られました。いかがでしょうか?ハンドスキャンでもコレだけキレイに取り込めるのは素晴らしいですよね・・・。

3Dプリンターを使用している方は、スキャンしたものを加工したりそれを元にCADデータを作る方が多いと思うので、ある程度の範囲をハンドスキャンできるこのスキャナは便利だと思います。また、3Dプリンターでは有効でないですが、カラーのテクスチャが標準で貼れるのもいいところです。メタバース用途にも使えるのではないでしょうか?

なお、スキャンの際には床面(平面)を除去するオプションがあります。最初は床があったほうが後処理が楽なのかと思ったのですが、試してみると位置合わせの際にスキャンされた平面の形状が影響を与えてしまうことがわかりました。複数のスキャンをマージする場合はきちんと除去しておいてください。

純正ソフト REVOSCAN5 メッシュの穴埋めなど機能十分

少なくとも2023年時点で、3Dスキャナを上手に使うには後処理が非常に重要です。ただの点の塊であるスキャン結果を必要に応じてマージして、要らないものを削除して、時には穴埋めしてメッシュとして成立させる機能ですね。これを主に担当するのがPCの作業になります。まだベータ版ですがREVOSCAN 5というソフトがWindows,Macで利用できたのでこれを使用しました。

PCでのスキャンはこれで直接行うのですが、スマホやiPadからWiFi経由でデータを取り込む際にもこのソフトを使います。データ転送には都度表示される数字4桁をスマホアプリに入力すると行えます。このソフトでスキャンしたデータを解析して最終的なメッシュにします。オートでも処理できるのですが、マニュアルに多くの機能があることに気づきました。ブレ補正もある程度行えますし、無駄な点群の除去を行ってクリーンなモデルを作る機能などが満載です。

特に素晴らしいと感じたのがこれ。メッシュ関連の穴埋め機能です。スキャンしていると必ず生じる穴を単なる面ではなくて周囲のメッシュから類推される局面でなんとなく覆ってくれます。これは個人的には重要で、メッシュを塊として認識するためには不可欠な機能なんですよね・・・。非常に簡単な操作で出来て、テクスチャも適当に補完されるので非常に便利だと思います。動作の様子は下の動画をぜひご覧ください。

この動画を見ていただければ穴埋め機能の魅力がおわかりいただけると思います

次に小さいものをスキャンしてみました。本来このRANGEの範疇ではないかもしれませんが、このおもちゃの穴や突起部分の直径は12mmです。末っ子長男の自信作とのことでスキャンしてみましたが、中々思った様にスキャンできませんでした。特に黒い色はやはり鬼門です。黒っぽいだけであれば赤外線の出力を上げてある程度対応できますが、白が同時に存在していると途端に難易度が上がります。コントラストが強い被写体は留意が必要だと感じました。

サイズが小さいとブレでの失敗が多いため別な角度から複数回スキャンした結果をまとめたものが下の画像です。5スキャンをマージしました。前述の通り、当初は床を消さなかったため(1枚目)マージがうまくできませんでした。次に床を四角く除去してやるとマージがきちんと行えました(2、3枚目)ので、いらない部分を除去したキレイな点群データにしておくのがポイントになると思います。

一応やってみた、3Dスキャン結果の3Dプリント

正直、あまりやる人は多くないと思うのが3Dスキャン結果をそのまま3Dプリントする行為です。劣化した複製をそのままコピーしたい方が多いとは思えませんし、基本的に色がないですからね・・・。とはいえロディはかわいいのでお約束として1/10ロディがどれくらいちゃんと作れるか確認してみました。

なお3DCGソフトは一切使用していません。REVOSCAN 5のみで造形する手前まで持ってこれるのは素晴らしいと思います。スライサーはPrusaslicer、Polyterra PLAを材料にAnkermake M5を利用して0.1mm積層で約1時間。サポートを外せばロディマスコットの完成です。想像以上に可愛い。Polyterra PLAの質感と色味も含め良い感じでしたので一瞬で子供に持っていかれました(笑)。もろに商標に引っかかるので表には出せませんが(笑)

この記事をご覧になる皆さんの中には3Dプリンターをお持ちでない方も多いと思いますが、3Dプリンターもとても面白い世界です。3Dプリントについては当ブログ内に豊富にコンテンツがありますのでよかったらぜひご覧いただければうれしいです。宜しくお願いいたします。

大物は? 100均ターンテーブルも使える? 課題は? その2へ

ハンドスキャン編、いかがでしたでしょうか?ターンテーブルと比較して難易度が高く、情報も少ないので皆さんの参考になればと思います。このスキャナのポテンシャルの高さはロディで十分お伝え出来たのではないかと考えますが、個人的にはとても好印象です。

数時間以上は失敗しながらコツを掴む必要がありましたが、ハンドスキャンが実用に耐えうるこのスキャナは十分に価値がある製品だと感じました。PCレスでスキャンが出来る点も評価できます。値段は高いですが普及型の3Dスキャナとしては扱いやすいので、ある程度のサイズの物を取り込む際の相棒になると感じました。

次記事ではターンテーブルや、100均手動ターンテーブルは使えるか等検証してみます。大物のスキャンもチャレンジする予定です。スキャン結果などはTwitterで随時情報発信していきますので、今後とも宜しくお願いいたします。