高音質を身近に 1万以下で購入できる平面駆動型ドライバ搭載イヤホンのススメ CCA PLA13レビュー

2023年11月26日

一般的なイヤホンからのグレードアップにも。今回はダイナミック型、バランスドアーマチュアに続く第3の振動板、平面駆動型(プラナー)のイヤホンのレビューです。重量、コストが嵩み、能率も低めですが、このCCA PLA13は比較的音量も出しやすくバランスも良いため、無線化するなど含め幅広い用途で利用できました。最近は同じドライバを使用したKZ×HBB PR2も発売されており、購入しやすい価格で平面駆動型イヤホンを楽しめます。一般的なダイナミック型イヤホンからのグレードアップにもピッタリで、数千円の出費でがらりと違った音に会えるのでオススメです。コスパのよいリケーブルも見つけたのでよかったらぜひ。

平面駆動型スピーカーとは

平面駆動型スピーカーは一般的に使われるダイナミック型スピーカーの延長上にあるスピーカーです。一般的なダイナミック型スピーカーが磁力でボイスコイルを動かして振動板を震わせるのに対して、振動板に直接電極を貼り付け駆動させます。技術的には古くからあるものですが、スピーカーとしてはあまり普及していないと思います。どうしても構造が複雑で高価になったり嵩張りやすかったり、能率が低く駆動に必要な電力が多く必要などのデメリットが表に出やすいという理由、だと思います。頑丈に作ると結局歪みが出てしまったり、繊細な印象なんですよね。

一方、元々振動板が小さくて済むイヤホンやヘッドホンではそこまで扱いにくくはないですし、音量が出にくいデメリットは確かにあるものの、ダイナミック型と比較して低歪みで解像感が高くなるメリットは大きいです。感覚的には平面駆動型スピーカーはダイナミック型の延長上にあると考えてよいでしょう。最近は中華イヤホンを中心に採用例が散見され、価格も非常に安くなっています。国内で購入できる製品もあるのですが、今回は総合的に考えて過去にも購入し使っているCCA製を選んでみました。実際能率の低さが使い勝手に影響するのかも個人的には興味がありました。

CCA PLA13について

CCAは中国のメーカーで、当ブログでは以前、片側8BAというたぐい稀な構成のC16について触れています。このイヤホンも文句なしに良い出来で大変満足していました。関連するブログ記事もあるので良かったらぜひこちらもご覧ください。後半でもご紹介する優先イヤホンを無線化するアダプタもものすごくお勧めです。

せっかくいい音のワイヤレスイヤホンを買っても、電池の切れ目が縁の切れ目、なんて残念過ぎると思いませんか?だったら最初から振動板にしっかりお金をかけたイヤホンを買って、無線部分を後付けすれば長く使えますし、デジタルの規格が変わっても対応できる、そんな記事になってます。

そんないいもののCCA C16がどうして私の手元にないかというと・・・長女に取られたからです(笑)流石、私よりずっと若いだけあって良い耳を持っている長女、ちょっと貸したらそのまま奪われてしまいました。まあ、若いうちからいい音に触れるのは良いよね。。

ということで同じような物を買っても面白くないし、新しいものを買ってみよう、ということで白羽の矢が立ったのがこのPLA13になります。お値段は約8000円程度。無線イヤホンと異なり、純粋にアナログ機器としてのお値段なので安くはありませんが、拒否感も出にくい価格ではないかと思います。

Aliexpressで購入し3か月くらい色々聴いたので今回のレビューとなりました。

上はAliexpressのリンクになります。よかったら見てくださいね。

箱や付属品にはお金がかかっていないのでごくシンプルな外観です。ケーブルも最小限の物って感じなのは別にいいと思うのですが、色が本体色とちょっとミスマッチかも。一見LRがわからないのですが、2ピンのコネクタ部分側面に記載がありました。。なおコードはかなりチープな感じで、使っていません。イヤーピースは白でシンプルなシリコン製のものがSMLと3種類入っています。

一方本体は個人的には十分でした。筐体は基本プラ製のシースルー素材ですが、アクセントも付いていて、質がいいとは言えませんが、悪くはありません。再外層はアルミと記載されていますが、質感はプラっぽい。内部にうっすら平面駆動ドライバが見えます。ドライバは13.2mmと比較的大型です

なお、気になる能率ですが、スペック的には能率が100db/mwとなっています。私も詳しくないのですが、能率は同じ電力(エネルギー)でどの程度の音量がだせるかを示すもので数字が高いほうが能率が高い=音量が出る、というものです。調べたところ、3dbの変化で音量が倍になるということです。100db/mwという値はダイナミック型やBA型と比較しても低い値で、これらですと110db-120dbとかのものがあります。ちなみに前述のCCA C16だと105dBでした。やはり音量がとりずらいというデメリットはありますね。

最近出現。KZ×HBB PR2も良さそう。値段はやや安いが違いは?

なお、今回この記事を書くにあたって調べていたら、日本ではamazonでこのPLA13と同じドライバを使用したKZ製の平面駆動型イヤホンが非常に安く売られていることに気づきました。それがこのKZ PR2です。

私は持っていないのですが、レビューも好評のようですし、何より日本でそのまま購入できるのは素晴らしいメリットだと思います。右にリンクを貼らせていただきましたが良かったら見てみてください。音質の傾向などは分かりませんが、基本的にドライバが同じなので素性はそう大きく変わらないんじゃないかな・・・。

ただ、一つだけ注意点があります。チューニング等のカスタマイズを行った影響と考えられますがKZ PR2のイヤホン、能率が94db/mwなんですよね。スペック上は本記事のPLA13と6db/mwも異なっているんです。これ、同じ出力のアンプで音量が4倍変わるという結構大きな差なので、より鳴らしにくいはずです。後述のBluetooth経由無線化で音量が足りなくなるかも・・・という懸念がありますのでご承知おきください。もし情報お持ちであれば教えていただけると嬉しいです!

音質と傾向 暖色系高音質、BAとは異なる味わい

毎回思うんですが、ブログや動画でイヤホンをレビューするのって無理がありますよね(笑)。主観が多く入る音質に対して、文章で音を表現できるわけがありませんが、ご了承ください。なお、この音質の感想は後述するリケーブル後のものになります。

この数か月、色々聴いて感じたのはこのPLA13は今多くの方がお使いのダイナミック型イヤホンのアップグレード先として非常に薦めやすい商品であるということです。音に癖がない。まあ、悪く言えば特記すべき個性がないということにつながるのですが、非常に無難でフラットな音です。超自然。特定の領域が出たり凹んだりしていない感じがします。1ドライバならではの音のつながりと、平面駆動が生かされた解像感を感じる暖色系の音で、BAのような行き過ぎると乾きがちな音とはちょっと異なります。低音も適度に締まっていていい感じですし、量感も騒がしすぎない感じで私好みでした。

たとえばちょっと「ゆるきゃん」のふゆびよりなんかを聴いてみると、全体的な空気感と佐々木さんのボーカルが心地よく、またアコースティックギターの弦の響きなど、音の分離や解像感を普通の音源で、普通のスマホでアナログでつないでも十分に味わえると思います。また、ガルパンの行進曲などを聴いても、深みのある低音と埋もれない高音が非常にバランスよく聴こえ、量感も質感も違和感がありません。プライムビデオの音も非常に臨場感があってソースを選ばない感じ。強調しない素性の良さがここでも表れていると思います。

ただ詳細な音の表現等は正直私には無理で、それこそ「PLA13」「音質」とかで検索するとすごく色々な表現されている方の記事が出てきます。そちらの方がおすすめかも・・・

個人的には一般的なダイナミック型の上位互換って感じです。パッと聴いて分かる高音質。もし今までもっと低下価格帯のイヤホンを使っていらっしゃったら、膜が1、2枚はがれたような印象を受けると思います。ていうか、CCA C16の時も感じましたが、こいつら、本当に数千円の音なの?中国スゲーな、という感想です。この価格帯の中華イヤホンを味わったら、もうこれ以下には戻れなくなるんじゃないかな・・・。

音量についてはやはり出にくい印象があり、ボリュームはそこそこ上げる必要があります。また、元気に全域を鳴らそうとするとそこよりもう一段音を大きく出した方がより音のアタック感?がよくなる印象を受けています。これが能率の影響なのかはわかりません。

こうしてこのクラスの音を聴くと、個人的にはワイヤレスイヤホンはお金をあまりかけるべきではないと思います。バッテリー交換ができる機種もそうないですし、全部そのたび買い替えるのはコスパが悪いと思うんですよね。今流行りのSDGs的にもどうなんでしょう??というわけで、前述したBluetooth化する機器と接続してみます。

Bluetooth経由 でもぎりぎり使えました

我が家にある無線化機器は前述のブログ同様、TRN BT30です。出力が結構大きいのでこのイヤホンも鳴らせるんじゃないかと考えていたのですが、出音としてはギリギリ感はあるものの、ちゃんと使えました。音量そのものもアタック感も問題ないと思います。ボリュームを上げるので若干無音時のノイズはありますが使い勝手をスポイルするものではありません。

何よりやはりBluetoothの手軽さは魅力です。もちろん音質的には有線に劣る訳ですが、素性が良いイヤホンなので無線でも十分に楽しめます。そこらの完全ワイヤレスに音質で負けることは無いんじゃないかなぁ。出力を上げないといけないのでバッテリー持続時間はやや減少すると思いますが、十分だと思います。イヤホンとの外観上のマッチングもなかなか良いです。

ただ、ここで先ほどのKZ×HBB PR2がどうなのかは気になるところです。6dbの差が効いてくるんじゃないかと思うんですよね。もしかしたらこちらのイヤホンですとBT30で十分な音量を出せない可能性はあると思います。もし試された方がいらっしゃればぜひ教えてください。

バランス接続も使える有線ケーブルもお勧め、VR用途にもぜひ

前述の通り、私はリケーブルをして使っています。ケーブルで音質がどれだけ変わるか、まで正直こだわりはないのですが、見た目ってところもありますしいつかバランス接続の機器くらいは買ってみたいと思っているので丁度いい商品を探していました。

そこで見つけたのがお手軽なリケーブルで、各種ピンに対応したアダプタがセットになっている右の商品です。先ほどのBT30と同じTRNのもので、コスパは良いんじゃないかと思います。

なお、このイヤホンは0.75mmの2ピンですが、タイプとしては「QDC」という規格のものがベストマッチになります。このケーブルも先の純正と同様、LRが一見わかりにくいですが、そのほかは非常に良好です。編み線の質感も良いですし変なタッチノイズもなく、なによりこの1つで2.5,3.5,4.4mmのジャックに対応できるのがうれしいところ。すごーくこだわる方は選ばないのかもしれませんが、私にはこれで十分と感じました。

さて、私が使っている有線での接続シーンですが、基本は前述のShanling M0です。超小型ハイレゾ対応プレーヤーで個人的に気に入ってずっと使っています。壊れたら次どうしようかな・・・今は後継機のSHANLING M0 Proが候補でしょうか。非常に多機能で何よりコンパクトなのはとてもありがたいです。別売りの変換が必要ですがバランス接続も対応しているし。

もっと良いDAPってたくさんあると思うのですが、個人的にはプレーヤーよりスピーカーにお金をかけたほうがいいと思っているクチなので、あまり高価なDAPは私は今後も買わないと思います。M0については古いですがこちらの記事もぜひどうぞ!

他にはVRですかね。最近meta quest 3を購入してVRも遊んでいるのですが、それなりにちゃんと音は出るものの臨場感が欲しいシーンは多いです。ゲームだけでなくせっかくPrime video VRもすごく大画面で見られるので有線でイヤホンをつなぐと大きく体験が変化します。そのうち当ブログでも紹介すると思いますが、VR楽しいですよ。ただ、これで眼も耳もVR塞がるので外界で何か起こってももう気づけなくなりますが・・・

枯れた技術と思われがちな有線イヤホン。しかしながらメリットはあり、音の部分にお金をかけているので総じて音がよく、またワイヤレスイヤホンと違って長年にわたって楽しめるのがやはり良いところだと思います。このPLA13は非常にバランスがよく、私が好きな「素直な音が聴ける」イヤホンでした。再生機器も出来ればイコライザーなど一切加えず、音楽の作り手の意図するままを聴いて欲しいと思えるイヤホンです。

ワイヤレスイヤホンしか使ったことないな・・・という方に是非お勧めしたいですね。数千円で違う音の世界に飛び込んでみませんか??今回も最後までお読みいただきありがとうございました!