ONTOMO MOOK 2021 ONKYO OM-OF101 レビュー 3Dプリンターならではのエンクロージャーを作ろう

2021年10月30日

ちょっと今は入手しにくいみたいですが、ONTOMO MOOK これならできる特選スピーカーユニット 2021を購入し、せっかくなので3Dプリンターを用いてエンクロージャーを作りました。前面バッフルにユニットが固定されない形状とし、内部も局面構成にして吸音材ゼロのエンクロージャーにしてみました。バスレフ部分はダイソーの漏斗を使ったファンネルダクトバスレフという方式を見よう見まねで試した結果です。

これならできる特選スピーカーユニット 2021年版 オンキヨー編 について

経営不振により会社が傾いているONKYOが今年80周年のONTOMO MOOK(音楽の友社)に送り出したのがこのOM-OF101です。スピーカーとしてほかにリリースされていないバイオミメティクス振動板を採用した10㎝フルレンジスピーカーとして発売前から注目を集め、転売により値段が高騰している現状があります。詳細は公式ページをどうぞ

10cmのフルサイズスピーカーで、ぱっと見で振動板の異質さがわかります。個人的にはこの振動板のためにこのユニットを買ったようなものです。さすがにネオジウム磁石など高級素材は使われていませんが、共振が生じないように5角形にひねりが加わるなど工夫されたバイオミメティクス振動板を見ているとどんな音がするかワクワクしてしまいました。

元の値段は上記スピーカーがペアになっており、税込6930円です。間違えて転売ヤーから購入しないように注意してください。冊子と気持ちばかりの布製パッキン、取付用ネジがセットになっています。バスレフ向きのフルレンジスピーカーとなっており、エンクロージャーキットも別売りされているのですが、今回は3Dプリンターでないと作成できない形のエンクロージャーを作ってみることにしました。

エンクロージャーの設計

まずはじめに。私は正真正銘の素人です。音楽は好きですし、このブログを作る程度には色々興味がありいろいろ作っていますが、物作りを仕事にした事はありませんし、音楽関係の仕事をしたこともありません(笑)このスピーカーを作るに当たって一応色々調べてみて造りましたが、書いてあることも含めて適当で嘘が混じっている可能性があります。詳しい方がもしいらっしゃってアドバイスいただけるなら是非コメント欄で教えていただければと思います。

ユニットを固定し、スピーカーにするための箱がエンクロージャーです。一般には木製が多く、その方式も密閉型、バスレフ型、ドローン(パッシブラジエータ)型、ホーン型など色々あります。前回スピーカーを作製する際には元々利用していたNIROに準じた密閉型のエンクロージャーを作りましたが、今回はユニットに合わせてバスレフ型を作ることにしました。以前のスピーカー作製についてはこちらの記事も是非どうぞ!

設計はお馴染みのCADソフト、Fusion360で行います。スピーカーユニットの寸法と我が家のsnapmakerで作製可能なサイズで、スピーカーの性質を考え大きめにしました。3Dプリンターならではの構造としてスピーカーマウントを宙に浮かす方式としています。(下部参照)マウントする支柱も非対称にして、底面以外は全て曲面で構成し、定在波の抑制を試みています。図だとあっさりしていますが、設計はそれなりに大変でした。

前面のバッフルは浅い120度のホーン形状として3Dプリンターで同様に作製し、同じく作製したTPU製パッキンと共にネジ止めして密閉します。ネジは正面側から見えないように角度や位置を調整し、見た目にも配慮しています。なおユニット側もパッキンと少量のパテを用いて密閉しています。この部分は耳のほうを向きますが、ユニットと固定されていないためほとんど振動せず音が濁らないはず

限られたサイズでも低音が出るという「ファンネルダクトバスレフ」という方式のスピーカーにするため、底面には大きく穴を開け、支柱と干渉しない位置に100均(ダイソー)の漏斗をパテで固定しました。漏斗はエンクロージャー計算ソフトを目安に切って、共鳴周波数の調整を試みました。床からエンクロージャーをわずかに浮かすことで、底面がバスレフとして動作する・・はずです。

接続用の端子については前回のスピーカーと同様のパーツを使い、スピーカーを壁際に置いても端子が干渉しない位置にしました。底面設置のバスレフとの組み合わせで置き場所の自由度は高くできたのではないかと思います。

3Dプリンターでの造形

約250mmのサイズが印刷可能な我が家の3Dプリンター、snapmaker2.0に今回も作ってもらいました。ノズルはおなじみ、安定のテクダイヤkaikaノズルを使用しています。素材は3kgでお得に入手したReprapperのPLAフィラメントです。

サイズがかなり大きいこともあり、造形に時間がかかります。メインのエンクロージャーに約60時間、前面バッフルも10時間くらい?TPUのパッキンも2個で15時間くらいかかっていると思います。2個作るのに150時間以上は費やしていると思います。・・因みに、一度は失敗して材料と50時間程度が無駄になりました。失敗の原因は3Dプリントモジュールのケーブルが造形物に引っかかったことだと思います。造形が進むにつれてケーブルが弛んでいくために生じる現象です。故障の原因にもなると考えられ、時々ケーブルホルダー側に引っ張ってたるみをとった方が安全です。Snapmakerをお使いの方、ご注意ください

エンクロージャーの材料はPLAで、積層は0.3mmで作りました。3Dプリンターならではのインフィル(壁の中の充填方式)はジャイロイド構造です。強度が保てるほか、おそらく音響にも有利で、空気の層を挟むことで反響と共振を抑え、プラスチックのデメリットを相殺することができます。壁の厚みは基本10mmです。ユニット固定部分はあらかじめ穴を開けておきねじ止めが有利なようにしています。

パッキン部分のTPUはスピードを上げると失敗するのでゆっくり造形。インフィルは少なくして柔軟性を保ち、ネジ止めした際に有効なパッキンとして機能するようにしました。なお、SnapmakerでTPUを使用される方は吐出不良に悩まされる方がいると思います。よかったら過去のブログもご参照ください。

実際の音は?周波数も測定してみる

音出しをしつつ、ファンネルダクトの漏斗部分を調整して、いざ試聴です。このOMーOF101はフルレンジですが、エンクロージャーも相まってそこそこの音域まで綺麗に音が出るようになりました。ユニットが謳う「音楽の本質」を活かすべく音が痩せる吸音材は全く入れていませんが、変な癖もなさそうです。個人的にはトランペットとか弦楽器とか、生楽器系やボーカルがとても綺麗だと感じます。あまり音が多くごちゃごちゃすると、フルレンジの限界を感じます。心配していた低域も、そこそこです。量感はあまりありませんがスッキリした低音が出ます。不自然に増強された感じがなく、バスレフはユニットの低音をそっと下支えする感じ。でも単なる密閉よりもバスドラの感じも出ています。おかしな言い方ですがスピード感のあるバスレフです。

せっかくなので簡易周波数測定もしてみました。とはいうものの手元にあるまともなマイクはオーディオテクニカの小型マイクのみです。マイクの周波数帯が100−15kHzなので低音と高音はあまりあてになりませんが全体的な傾向は掴めるはず。手元のWindowsマシンとマイク、周囲に反響する壁がないとある職場で測定を実施。結果は下記の通りで、強い共振もなく、フラットな特性です。1kHz手前くらいにややdipがあるような印象ですが、これはユニットの特性で、雑誌の周波数測定でも似た傾向です。せっかくのファンネルダクトバスレフスピーカーなのに低音側がちゃんと評価できないのは残念ですが、音を出した感じだと60Hzくらいまではそれなりに出ていそう

満足できるコンパクトフルレンジ

ペアで7000円で購入できる手軽さを考えると、十分素敵な音で個人的には大変良いユニットだと思います。・・・実は家で鳴らしている時は子供達に「普段聴いているスピーカーの方が音がいい!」とディスられました。そう、子供たちが普段聞いているのはB&Wの707s2なのです。ちょっと較べる相手が悪すぎますよね・・・。耳がよく育ってくれて嬉しいですが、子供は正直で残酷です(笑)でも、先にお伝えしたように特に生楽器系の表現は生々しくてお世辞抜きに本当に素晴らしいです。

形状はかなり自由度が高いですし、ジャイロイドインフィルは空気の層をサンドイッチするという点で木材と構造も近いです。構造を工夫することで軽量でかつ強固なエンクロージャーが出来るため、応用範囲が大きいと思います。3Dプリンターで作るスピーカーエンクロージャー作り、プラスチックだからと思わず、試してみてはいかがでしょうか?新しい音の世界がまっているかもしれませんよ?音については主観の問題が大きいですしもちろん賛否あるのだと思いますが、個人的には楽しく作れたのでよかったと思っています。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!