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介護、医療ベッド用 小物入れ&杖ホルダー製作

2023年8月31日が締め切りの「3D プリント自助具デザインコンテスト 2023 」。はるかぜポポポ師匠も関わるこのコンテストにせっかくなので応募することにしました。自助具といっても厳密な自助具でなくても、便利になる品で良いとのこと。技術力がないのでなるべくシンプルなものにしました。

このコンテストについて

このコンテストは一般社団法人ICTリハビリテーション研究会が開催するコンテストで、ケア、介護領域で3Dプリンターを活用しよう!という趣旨で開催されることになったコンテストです。

今後も開催される可能性があるそうですが、商品で3Dプリンターが貰えるかもしれないという点で興味を持つ方もいらっしゃるかもしれませんね。ちなみに、私がこのコンテストの事を知ったのは3Dプリンターユーザーおなじみ、国産高速3DプリンターG-zero開発に携わるはるかぜポポポ師匠(※本人非公認、勝手に呼ばせていただいています)の右のツイートです。

応募要項などは下のリンクをご覧ください!

せっかくなので応募!

このコンテストの応募はまず「Fabble」というプラットフォームを用いてプロジェクトを公表する形をとります。このプラットフォームは慶応大学がMozillaと開発したwebサービスのようで、モノづくりの手順と記録を共有できることが特徴です。詳細はこちらをどうぞ。

ということで今回私が応募したページが下のものになります。リンクを貼らせていただきますが、内容はこの下のブログと同一です。このプラットフォームに興味がある方は一度ぜひ見てみてください。・・・ちなみに僕は今回使うまでこのプラットフォームの事、全く知りませんでした。皆さんご存じでしたか?
基本的にはプロジェクトをプライベートにしなければ作りかけでも全部公表していくスタイルで、とても見やすいと思います。

私の応募内容

ということでその応募内容です。皆さんすごいの作ったりされると思うので、技術力がない私はなるべくシンプルで役立つ、汎用性があるものを、と考えました。ということでしばらく前からたまたま制作していたものを出させていただくことにしました。それがこれです、ジャジャーン。

これが何かというと、3Dプリンターで製作する、介護用や病院、施設のベッドに設置する、小物入れと杖ホルダーです。

多くのベッド柵にはたいてい横2本のバーがあるので、そこに固定して使うTVリモコンと杖ホルダー。セミオーダーで柱の太さと間隔がわかれば自由に改変できるという、3Dプリンターならではの特徴を活かしたつもり。杖ホルダー部分は別パーツにしてTPUで作り接着してます。

・・・シンプルですいません。でもこれ、すごく便利で好評です。こういったベッド、杖や小物置く場所がなくて困る方多いんですよ。箱の大きさ変更や認知機能が低下していたり視力低下がある方には派手な色でも作れる等、カスタムできるのは強いです。

このプロダクトで遠くのもの無理に取ろうとしてベッドから転落したり、杖を取ろうと立ち上がって転倒したり・・・そういったリスクの軽減に役立つんじゃないかと思っています。

なお既製品だと布で止めるもの、100均のものをビニール紐で括り付け等方法はありますがスマートじゃないし、下手すると挟まったり引っかかるリスクもあります。杖ホルダーも高いわりに、目が悪いとうまくはめられなかったりしますしね。在宅だとレンタルされている方も多いですし、パパっと原状復帰できるものが一番扱いやすいです。

コンセプト

これを作るにあたって考えたのは下記の通りです。モノは簡単ですが、一応色々考えたつもり(笑)とくに3Dプリンター使い?としては造形が確実だったり限りなくサポート不要にしたくなるのは親心ですよね!

  • 汎用性 規格が異なる柵に対応可能(寸法調整が容易)
  • 安全性 固定と両立して無理な力がかかった際に外れる設計
  • 低コスト 樹脂の使用量が最小限になるシンプルな形状
  • 造形の容易性 3Dプリンターで作りやすい形状、最小限のサポート
  • 耐久性 上記を加味したうえで長持ちするよう、積層割れしにくい造形方向を意識

設計について

上記を満たすための設計は、毎度おなじみFusion360を使用しています。こういった後からカスタマイズできるのはヒストリー機能があるCADソフトならではです。最初のスケッチ段階の寸法を変更するだけで形状が変更され、簡単に様々な既製品に対応できるのはやはり強い。厳密にいえば最終的に結合する角度が少し変わるなど、若干の手直しは必要ですが・・・。

同様に小物入れのサイズも自由自在。本体は破損防止にやや肉厚にしていますが、図にあるような上から引っ掛けて横からはめ込む固定方法なので、内側から無理な力がかかると外れます。個人的にはこれは重要で、手や足が挟まりこんだ時の安全性を担保するために必要でした。

杖ホルダー部分はTPUで製作するので別パーツにして後から接着です。デュアルエクストルーダーはありますが、造形方向的に一体形成は難しいと考えました。見た目に手作り感があるのはご愛敬ということで・・・。

造形しやすい形状 工夫等

造形は横に寝かせて行います。杖ホルダー部分が上にくることでオーバーハングは最小限。ただこういう箱状のものを寝かせて作る際は天井をどうするかが問題になりがちです。あまり大きいと難しいですが、今回の30mmはブリッジで逃れられる範囲でもあります。難しい場合は中央にsnugのブリッジを噛ませるのがいいと思います。いずれにせよ平面な天井にすると、サポートはあまり要らなくなりますね。

サポートは除去する際にどうしても少し残りますが、内側なので見苦しくありません。個人的にはこの方法でよかったかなと思っています。なお、TPU部品は固くなりすぎないように壁やインフィルを控えめにするのがおすすめです。

なお、今回出した白の実物の写真は図面と左右反転して造形しています。ベッドへのつけ方が逆になっても左右反転だけで対応できるのは、3Dプリンターならではでうれしい点ですね。TPU部品は裏表ないので反転の必要はありません。

色々なところにある3Dプリンターにおける設計、造形の工夫についてもっと知りたい方ははるかぜポポポ師匠の下記のnoteがものすごく参考になると思います。様々な工夫、本当に素晴らしいです!いつもありがとうございます!

皆さんもぜひ応募されてみては?

ということで、凝った品でもなくこんなシンプルなものを応募するのもどうかと思いましたが、fabbleにもちょっと興味がわいたので楽しく応募できました。今回こういった形での公表になりますが、需要はあるんじゃないかと思います。実際にはコネクタ部分だけを先に郵送して問題なくはまるか確認してもらうなどもすると、本当に欲しい人にばっちり届けられるのではないかなぁ、となんとなく思っています。

自分の作ったこういうアイデア商品で転落事故が1件でも減ればうれしいですよね!

ということで、皆さんも何かアイデアがあったら応募を検討されてはいかがでしょうか?周囲で何か困っている方の問題解決につながるかもしれませんよ?一緒に盛り上げていきましょう!!

あ、一つ重要なことが。fabbleでページ作るだけでなく、忘れずに公式にあるGoogleフォームからちゃんと応募手続きしてくださいね。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!