高コスパツールチェンジャー Flashforge Creator5 Proレビュー よく出来た造りの意欲作 4ツール アクティブチャンバー付きで約14万!

2026年8月8日

はじめに

今回の記事はAPPLETREEさんより送って頂いたFlashforge Creator5 Proについてのコラボ企画となります。この場を借りてお礼申し上げます。内容に関する指導や忖度はなく、いつもの当ブログのようにご覧いただければ幸いです。

コンシューマー向け3Dプリンターでは老舗的メーカーの一つ、Flashforgeがついにツールチェンジャー機を出してきました、しかもお安く。それがCreator5シリーズです。元々Creatorシリーズはどちらかというと大きめの上位機種、というイメージだったのですが、ガラッと変えてきましたね。本機は筐体仕様等は豪華にしつつより一般ユーザー向けで、コスパも高める方向性で機種開発が行われた印象があります。

最近のFlashforgeの傾向かもしれませんが、以前レビューしたAD5Xのブログでも私は「コスパモンスター」として性能とある程度の割り切りをかなり高く評価していました。本機もそういった系譜を継承している印象です。AD5Xは最近カスタムファームウェアを入れてよりマニアックな方向になっていますが、よかったら下記ブログも参照下さい。

AD5Xとは価格帯も含めクラスが異なるため、本記事では、同じく所有している4ツールチェンジャー機のSnapmaker U1とも見比べながら、レビューさせていただきます。Snapmaker U1については下記記事も是非。Creator5シリーズが出る前時点でのツールチェンジャーの立ち位置等について記載しており、一度お読みいただければ嬉しいです。

なお、当ブログではAmazonのリンクを利用したアフィリエイト収入によって運営しております。良かったらリンクもご利用いただければと思います。最近気に入って使用頻度が増えたのはマット系のPETGです。テカテカしていなくてお気に入りです。当機種のトップカバーを皆さんご存じ麦茶さんが制作された前面を開ける仕様に変更する際にも使用しました。手元の磁石用にファイルを編集させていただきましたがめちゃ便利で感謝!!

麦茶さんのmodへのリンクはこちらになります。このプリンターを使うならぜひ印刷してください!

Creator 5 Proについて 価格帯比での高い基本性能が魅力

まずはこのCreator5 Pro、4ツールチェンジャー機でアクティブチャンバーまでついてこのお値段?という印象がやはりあります。現時点で14万円。ノズル温度は最高320度、最大65度のアクティブチャンバーが搭載されていることを考えると、ツールチェンジャー機にも関わらずシングルノズル機に近い価格帯になっています。サイズ感の近い3Dプリンターの覇権メーカー、BambuのP2Sが同価格帯になりますが、印刷機能としてはアクティブチャンバーは搭載されていません。コスパモンスターさで言えばQIDIが強いですが、未だツールチェンジャーはないですからね・・・。

ややサイズの大きいSnapmaker U1もツールチェンジャーではあるもののチャンバー機能は搭載されておらず、ABS以上を用いたマテリアルを利用される方に対して非常にアドバンテージを持った仕様になっています。しかもAPPLETREEによる国内の窓口がしっかりあり、日本語環境でのサポートを受けやすい点も美点です。基本機能についてはこちらをどうぞ。

項目Creator5 Pro
モーション方式CoreXY
ツール数4ツール
造形サイズ256 × 256 × 256mm Bambuプレートが小さめだが使用可能
ノズル径0.4mm オプションで0.25/0.6/0.8mm
最大ノズル温度320℃
最大ベッド温度120℃
最大チャンバー温度65℃
最大造形速度300mm/s
最大移動速度600mm/s
最大加速度30,000mm/s²
最大フローレート32mm³/s
自動補正機能振動補正、自動PAキャリブレーション、VFA抑制
循環管理給排気、HEPA 13+活性炭
フィラメント入出力基本手動(ダストボックスなし)
カメラあり
ネットワークUSB、2.4GHz/5GHz Wi-Fi
本体サイズ436 × 432 × 480mm、チューブ・ホルダーを除く
重量18kg
スペック表

ついにFlashforge機にも流量キャリブレーションが搭載されました。最新ファームではVFAも抑制されます。給排気の管理もなされておりPLA等の温度が上がりすぎると困る印刷時も庫内温度が上がりすぎないようコントロールが可能です。(日本の夏場のエアコンなし室内は他機種含め厳しい可能性があります)印刷機能についてはおおよそ隙がない性能だと思います。

最大印刷可能サイズは綺麗にBambu機に合わせてきました。実際はややベッドサイズにゆとりがある仕様ではありますが、元々Bambu機所有の方はビルドプレートも流用出来るようになっています。

アクティブチャンバー付きの高コスパ機としてはつい先日発売のQIDI PLUS5が印刷サイズが大きいのに同価格帯で素晴らしいですが、ツールチェンジャーは本機のみのアドバンテージです。(QIDIはノズルはかなり高温対応仕様になっています)。

横向きレイアウトx 小さなツール で省スペース 電源も横に!

Creator 5 Proは、4ツール機として見るとコンパクトなのですが、それを実現しているのが横向きレイアウトです。3Dプリンターと向かい合ったときに、一般的な構成から90度回転し向かって右側にABモーターと4ツールが並んで、一般的なプリンターと比べてX軸とY軸が入れ替わっています。Snapmaker U1もz軸を回転させた構造になっていましたが、Creator5 proはプリンターそのものを横向きにした感じです。

この4ツールのレイアウトは非常に興味深くて、フィラメントを片側に全て押しやることができるという利点があります。また、これに伴ってプリンターの電源も側面に設置されています。大きめのプリンターだと裏に電源があるのは地味に面倒なので電源タップを使用されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?Creator5proだと非常に楽ちんです。

標準的にはAD5Xと同様に側面に4ロールフィラメントを並べる形になりますが、我が家ではフィラメントドライヤーを置いて運用しています。使用しているのはCitu のフィラメントドライヤーです。こちらは以前当ブログでも紹介したものになりますのでよかったらぜひお読みください。

我が家のようにスペースが限られているとドライヤーに乗せた状態でのフィラメントのやり取りはちょっと面倒なのですが、省スペースという点ではかなり健闘していると思います。このドライヤー自体が前後方向に4つフィラメントを置ける形になっているため、位置関係的にCreator5 proとピッタリなんですよね・・・。個人的には「ほぼ純正」と言ってしまってよいのではないかというぴったり感だと思います。

どうやらFlashforgeからもフィラメントドライヤーが出るようで、そちらだとプリンター側からの制御も行えるなどより高度な制御が可能なようですが、値段等が不明です。(VDSという名前で、海外で情報が出ています。)

電源を含め、後ろにはみ出る部分が一切ないため奥行45cmの棚があればちゃんと設置できます。また、後方に回り込む必要性がありません。Bambu機を含め最近の箱型機種は後方からPoopを排出したりフィラメントをとりまわしたりする機材が多くあり、メンテナンスやトラブル時にプリンターの裏側に回り込んだりプリンターごと動かす必要性がありますが、それがないのは強みだと思います。

なお、後述しますがごみ捨てを考えると棚の手前に設置するのがお勧めです。

エクストルーダーモーターを共有することでツールを小型化

ツールチェンジャー機が高価になりやすい理由の一つは、ツールごとにエクストルーダーモーター、ホットエンド、各種ファンなどがあることで部品コストが単純に増えるからです。Snapmaker U1では完全にツール部分が独立しているためすべて4倍のコストがかかっています。そのうえであの価格なのは恐るべきことですし、例えば一つモーターが壊れても後の3つで替えが効き単純に寿命が4倍という部分はありますが、Creator5シリーズではエクストルーダーモーターは共有することでそれぞれのツールを小型化し、コストダウンに成功していると思います。

ツール側にあるのはノズル一式とギア部分、ヘッド側にあるのがエクストルーダーモーターとパーツファンという構成ですね。電源はヘッド、ツールにそれぞれついているのでケーブルは5本になりますが、ツールとヘッド間に電気的な接続はありません。メカ部分はかなりがっちりしており、モーターのトルクをしっかり受け止め都ツールをがっちり固定できるようになっています。

小型ツールといえばPrusaのINDXシリーズが最も小型です。INDXはツール側にはノズルしかなく、加熱もIHで行うなど徹底しています。エクストルーダーギア部分も含めヘッドに収まっているため限られたスペースに多くのツールを設置できる結果になっていると思います。先進的で素晴らしいのですが、値段もかなりお高いため直接的なライバルにはなりにくいと思います。8ツール、使ってみたいですけれど。多ツールは最近SOVOLからM1Dという意欲作が発表されましたし比較的低価格で手に入りそうではありますが、まだ実力は未知数です。

ちなみにノズル交換が比較的容易になっているのは当機種ならではの美点です。Snapmaker U1はどちらかというとコンベンショナルな方式でヒーターとサーミスタそれぞれ配線があり、交換時は面倒なのですが、Creator5シリーズは電子接点が用意されたホットエンドをネジ2本で止めています。ねじ方式ではありますが、ノズル交換が簡便なのは素晴らしいと感じました。ただし電子接点がついている分、ホットエンドは少なくとも現時点でちょっと高いです。最近のプリンターはノズルだけ交換できないので、ランニングコストには注意が必要ですね。

1.5GTベルトでリニアガイドレール仕様 防振脚 チャンバー付き

筐体の素性は色々見る限り、ちゃんとコストが掛かっています。ベルトも1.5GTが使用されておりしっかりしていますし、Y軸(通常のプリンターではX軸)はリニアガイドレールが使われています。チャンバーで高温になることが想定されているせいもあるのでしょうが、総じて造りが丈夫な印象です。底面を見ても、筐体には防振脚と思われる脚がついており周囲のものが揺れるのを防いでくれます。

前述のとおり、U1との差別化ポイントとして65度対応のアクティブチャンバーが搭載されています。PLAなどで温度が高くなりすぎないための給排気や補助ファン、一般的な機種と同様内蔵型なので効果のほどは不明ですが、フィルターもきちんと装備されています。ノズル温度もベッド温度もコンシューマー向けとしては問題ありませんし、ABS等のプリントでも安心感があります。冬場どの程度温度が達成できるかなどまだ不明な点はあるものの、素性の良さを感じます。

ヘッド側にプローブがついていて、メッシュレベリングはツールをつけないで行うのも興味深い点です。ツール間のキャリブレーションはSnapmakerと同様にベッド端にある円形のくぼみで行います。ベッド認識もこれによって行っており、ベッドなしで印刷してしまう等のミスもありません。ツールチェンジの音はSnapmaker U1比で静かで、比較的静音だと思います。・・・AD5Xは騒がしい子だったので差が大きいです。ツールチェンジ時間もSnapmaker U1と誤差の範囲ではないでしょうか。

コストとトレードオフされた部分、イマイチなところは?

ここまで非常に褒めてきましたが、当然トレードオフされた部分や今一つの部分もあります。

犠牲になった内、最も影響が大きいと思われる部分はフィラメントの取り回し部分です。まずはフィラメント交換部分。すべて手動です。イメージがわきにくいと思いますが、例えばフィラメントロードは、ツールヘッドまで自身でフィラメントを送り込んで、ツールのギア部分にレバーをちょっと押しつつ固定しないといけません。基本的にフィラメントロードを自身で行う必要があり、色等を変更したときはそのまま印刷すると色が混ざってしまうので手動でのパージをあらかじめ行っておく必要があります。

アンロードについても、レバーを強く押し込み(結構力が必要)カッターでフィラメントを切って、手で引き抜く必要があります。BambuやSnapmaker U1のようなスマートさはありません。また、専用のごみ箱やワイパーがないため、フィラメントのパージや流量補正時は出したフィラメントはそのまま底面に落ちていきます。掃除が必要です。自身で印刷するボックスもwikiで紹介されていますが、私は現時点でプレート上までフィラメントがついてきてしまうこともあり使っていません。

当初は捨てやすいように右手前にパージされる予定だったのですが、Creator5 proのチャンバーへの吸気部分が近くゴミが吸い込まれる可能性が指摘され掃除しにくい後ろに変更されました。これは設計ミスだと思います。所謂「prokoる」案件です。ツールの待機位置近傍も垂れた樹脂片がつきやすく、古い樹脂がくっついていないかチェックが必要だと思います。

他に気になる、印刷に影響する可能性があるのはパーツクーリングファンです。エクストルーダーモーターを共有する必要があるため、ヘッドの一番前方(向かって左側)にモーターを配置する必要がありました。多くの3Dプリンターでは全面にパーツクーリングファンの吸入口があるのですがそこがモーターでふさがれたため、Creator5 シリーズでは下方に設置されています。Bambu A1 miniも下面にあるのですが、A1 miniは吸入口が上面にあるのに対して、Creator5 では下面に吸入口があります。トラブルがなければ何ら問題はありませんが、もじゃったりした際にはファンの回転にもじゃったフィラメントが巻き込まれる可能性があり留意が必要です。

また、AIなどのモニタリング機能はありません。(上部とドアのオープン検知機能、詰まり防止機能はあります)

印刷に直接影響がない部分としては、カメラ位置や画質、ソフトウエア周りに課題があります。まずカメラ。アプリ経由でみる画質はAD5X時代と変化がなく、イマイチです。また画角内には大きく本体フレームが入り込んでおり今一つ映えない印象です。設置位置をもう少しプレートに近づけたりできたのではないかと思いました。

フレームが大きく入ってしまう
カメラの位置が惜しい

スライサー側もOrcaslicerベースのFlashstudioを使ってネットワーク経由でGcodeの転送が行えるのですが、現時点ではツールチェンジの回数などが表示できないなど細かい不具合が残っています。予約を含む一般販売が始まったところですので今後のソフトウエア周りの改善に期待したいところです。

制御周りはFlashforgeはこの機種も含め、ファームウエアがKlipperベースとはいえクローズドです。オープンでないため自身で色々弄れる余地があまりありません。私の手元の個体ではInput Shaperの補正が色々条件を変えてもイマイチで強めにゴーストが出ていました。つい先日のファームウエア、1.9.6である程度改善したので一安心です。なおこのファームではVFA予防の補正も追加されており、改善はメーカー任せではあるものの今後も楽しみです。

実際の印刷ですが、多色や3色印刷+サポート別素材など、マルチツールを活かした印刷が可能でツールチェンジなどでもトラブルはありません。ABS等も色々試していますが、アクティブチャンバーでの印刷は安心感があります。PETGなどでも反るときは反るので、冬場などには威力を発揮すると思います。

大分長くなってしまったためザラッと並べていますが総じて印刷性能そのものには大きな問題はなく、前述したつい先日のファームウエアアップデートにより印刷クオリティもSnapmaker U1に引けを取らないレベルになりました。

Snapmaker U1とのスペック比較

ということでSnapmaker U1のブログと本ブログを見ていただければおおよそのイメージはつくと思うのですが、一応比較の表をまとめてみます。

比較項目Creator5 ProSnapmaker U1
ツール数44
造形サイズ256mm角270mm角
チャンバー密閉、最大65℃のアクティブ加熱
フィルター付き
上面開放、カバーはオプション(未発売)
パッシブ式 50℃程度
駆動周り1.5GTベルト Y軸リニアガイドレール2GTベルト X軸カーボンロッド
フィラメント周り手動送り込み ローダーあり 自動
ホットエンド交換交換が簡便 やや高価交換は面倒 安価
poop処理機能なし回収ボックスあり
モニタリング基本的になしもじゃ検知等あり
ファームウエア非公開Klipper/Fluiddへのアクセスあり
オープン
国内サポートAPPLE TREEによるサポートありメーカー対応 代理店に課題
筐体サイズコンパクト設計 片側フィラメント奥行が大きい 両側フィラメント
価格約14万円程度900-1000ドル程度(14-16万円)
簡単な比較表

造形サイズもやや大きいですがフィラメント置き場を含め場所をとるSnapmaker U1に対して、チャンバー付き筐体をコンパクトにまとめたCreator5 pro。筐体部分にはしっかりコストをかけた一方でUX部分では特にフィラメント周りで犠牲を伴っている印象が伝わればと思います。個人的にはフィラメントは比較的頻回に入れ替えるので、やや面倒を感じています。ただホットエンド交換はCreator5 proのほうがやりやすいため一概には言えません。一般的な使い勝手として至れり尽くせり、Bambuっぽさを考えるとSnapmaker U1が良く、その点を妥協した分価格を抑えられたのがCreator5 Proという印象です。特に背面を一切触る必要がないのは美点だと思います。

それにしても、安い。65度対応アクティブチャンバーや給排気機構を標準装備した4ツールチェンジャーとしては非常に買いやすい値段であり、Creator5 proはABSやASAを安心して使うという意味では非常に良い選択肢になると思います。

また国内サポートという点ではAPPLETREEが代理店となって橋渡ししてくれる分、海外メーカーと直接やり取りすることになるSnapmakerより利点が大きいと思います。(私はあまり把握していなかったのですが3DMartジャパンというもともと中国の新しい代理店がSnapmaker U1を取り扱っているようです、が実力が未知数です)。最近はSnapmakerも国内発送されるようになるなど改善はしているようですが、両者の今後の競争は楽しみです。競合他社も参入してくると思われるこのジャンルが盛り上がると良いですね!

Full spectrumなど4色での表現手法も開発されており、ツールチェンジャー時代がどう変化していくか、興味深く見ていきたいと思います。

まとめ 高コスパなアクティブチャンバー付きツールチェンジャー

アクティブチャンバー搭載機カテゴリではツールチェンジャー機はまだ少なく、AD5Xと同じくコスパモンスターで本体の印刷性能的に妥協している部分がない点がやはり美点です。ABSやPC等の素材が問題なく扱える多ツール機の定番になれる実力の持ち主です。

Bambu機を使ってらっしゃる場合はフィラメント周りやセンサー等、一部妥協する点があるのは確かですが、X2D等2ツールでは足りないな、という方に対する良い選択肢ではないかと思いました。Bambuが手を出していない多ツール3Dプリンターは、今後同価格帯での4ツール程度の選択肢が増えていくと私は考えています。一方、昨今の情勢を考えるとあまり安価にはならないとも思います。これ以上のツール数だと20万程度が相場になるのではないでしょうか。特にストレージ、メモリ周りの高騰化は激しく、値上げが行われる可能性もあると思います。

商売を念頭に3Dプリンターを購入される方は別として、一般の方が3Dプリンターにかけられるお金、設置場所などを総合的に考えると、この製品の目の付け所、落としどころは良いと思います。20万、30万かけられる方ってそう多くないと思うんですよね・・・。多少の手動操作やゴミ処理等を許容できない方以外であれば広くお勧めできる一台だと思いました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!