プラレール用自作部品 3Dジョイントを3Dプリンターで作成 左右首振りのみでなく直線レールを高架対応の坂レールに変換可能
広く応用できて、子供の無茶振りコースレイアウトに対応できるジョイント。構想はあったのですがついに実現しました。ポイントは左右の首振りのみでなく、上下方向へも角度を振れること。直線レールに取り付けて高架に上がることができます。角度がギリギリで全ての動力車が上がれるかはわからないですが、新幹線は大丈夫でした。
プラレールにありがちな無茶振りレイアウトに応えたい
みんな大好きなプラレール。我が家の4歳児もとても好きなのですが、レイアウトで苦労することは多いです。好きに作っていくとレイアウトを閉じる時に矛盾が生じるんですよね・・・。「いや、その角度は無理でしょ」とか、「その長さのレールはそこは難しいのでは?」等々、みなさんも経験があるのではないでしょうか?
我が家では以前レールの数が足りない、木製レールとも組み合わせたい、ということでIKEAとプラレールの相互乗り入れアダプターを自作し使用していました。
我が家でもこの部品は定番で、プラレールとIKEAレールが入り乱れて楽しく遊ばれています。使えることがわかるとどんどん取り入れて使っていける子供の柔軟性は素晴らしいです。少し古いですが良かったらこちらの記事もぜひどうぞ!
最近どんどんレールを組み合わせていくのですが、前述の通りレイアウトとして矛盾を抱えることも増えました。また、高架関連は坂レールが我が家にあまりないことから、うまく高架を使った立体的なレイアウトがやりにくいんですよね。我が家での限界を感じたため、これらの問題を解決できる部品を作ることにしました。
プラレール3Dジョイントの構想
このブログでもよく3Dプリンター関連の記事を書いていますが、スキルによって3Dプリンターでできることはかなり変わります。お陰様で私も3Dプリンターやソフトにある程度慣れた(と思う)ため、ついに挑戦することにしました。今回のジョイントで目標としたものが下記になります。
- 脱線しない範囲での左右の首振りが出来る
- 電車が引っかからない範囲で上下の首振りもできる
- 部品点数と大きさは最小限にする
- できれば無理をしても壊れる前に外れる(戻せる)ようにする
- 3Dプリンターでサポート不要で造形できる
書くと簡単なのですが、考えていくと意外に難しかったです。ボールジョイントが基本ですが、単純な形で動きに制限がないと不安定になりそうです。また3Dプリンターはこういったジョイントを一体成形できるのも魅力なのですが、壊れた時リカバリーが効きません。結果として今回は部品を組み合わせて作ることにしました。緩いと不安定になりますし硬くて動かないのも困るので形状で制限をつけることにしました。
なお左右の首振りはプラレールの定番「まがレール」という素晴らしい商品があるのですが、長さが長いので痒いところに手が届きにくいというのと、高架部分には使えないという欠点があります。しかも我が家にはないんですよね・・・。アマゾンリンクを掲載しましたが、定価(660円 タカラトミーモールより)より高い店があるので出品元を確認してください。近所の玩具屋さんの方が安い可能性が高いです。
Fusion360での基本設計
設計はいつも利用させてもらっている定番ソフトのFusion360です。まずは安定した左右の首振りを実現すべく脱線しない範囲で曲がるようにします。本当は計算等カッコよくして最適値を求めるのかもしれませんが私の場合は幾つか試作して確認し修正して現在のものになっています。
また、上下にも振れるようにすることを考えるとまがレールのような機構には出来ません。また、ジョイント部分を含め、プラレールの厚みの範囲で実現しなければならないため、基本はボールジョイントを半分ちょっとレールに埋め込む形状とし、あとは周囲形状でリミットを設けるようにしています。
上下方向も動きすぎると列車が通過できないため、ボールジョイント近傍には突起を設け、ベース部分も動きを制限する形状にしています。これらも私の技術では微調整しながら行う必要がありました。ジョイント部分はぎりぎりで組み立てできるサイズに調整し、部品を印刷するときはサポート不要で造形できるようにしています。嵌め込むことを考えると材料はABSがベストですが、PLAでも組み上げられることを目指し調整しました。ただ、下にも記載していますが、裏面にも凹凸が必要になり、ボールジョイント接触面には一部穴が空いてしましました。最終的な組み立てや強度にはあまり影響しなそうなのでそのまま放置しています。スイマセン・・・。
わずかにでも歪んだ方がはめ込みやすいので、最終的にはボールジョイントパーツにスリットを入れています。樹脂の押し出し量が違っても部品の大きさが変わってしまうので、この辺りは3Dプリンター毎の調整が必要ではないかと思います。
実際の造形と動き 動画もぜひどうぞ
実際の造形ですが、まずはジョイント部分を数パターン作りながらクリアランスや動く範囲を確認し、形状を微調整しています。トライアンドエラーが早いのが3Dプリンターの強みだと本当に感じます。ある程度めどがついたら形状を作り実際にプラレールを走らせてみて確認して問題点を修正、というプロセスに時間がかかりましたが、自宅で完結できるってすごいことですよね。普通に使えて電車を支えられ、かつ捻ったら壊れないように外れる。全部作るのは意外と大変でした。
ちなみに地味に問題になったのは坂を上がるところです。プラレールには細かい凹凸がついており、同じく凹凸がついたゴム部品がついた電車が、上手に登坂できるようになっています。3Dプリンターでは凹凸がどうしても大きく厚くなるため、上手く登れるように形状を変更しました。それでもタイヤ径と登坂角度で登れない事象が発生したため、最終的には1mm程度厚みを増やして直線レール1本でぎりぎり高架に上がれるよう調整しました。ただ、レールとの噛み合わせで上がらないこともあるので、必要に応じて角度を緩めてください。カーブも最大で下図くらいが作れますがやはり脱線リスクがありますので無理ない使用をオススメします。
橋脚にちゃんと乗らないと、滑って登坂できなかったので最終的には底面にも橋脚に適応する溝をつけました。3Dプリンターで作成する都合上、造形難易度が上がるのであまり底面に溝は作りたくないのですが、背に腹は変えられません。溝を作る形としたため、ブリッジ部には負担がかからず、サポートは不要にできました。
橋脚に乗る場所がしっかり決まるのでジョイントパーツとしては扱いやすいと思います。セットするときはレールとジョイントをちゃんとはめておかないと登坂できない可能性があります。ぎりぎりのサイズではあるので、本音を言えば2本のレールで段階的に登らせた方が安定して登れます。平面での運用では大きな問題はないと思います。子供に使わせてみましたが楽しそうに遊んでくれて私も満足の出来になりました。実際の感じは動画もぜひご覧下さい。
壊れにくいように工夫 幼児の誤飲には注意
今回作成した3Dジョイントですが、無理な力がかかっても壊れにくくはなっています。無理な力がかかればどちらかのボールジョイント部で外れるはずです。角の部分は多少削れたりすると思いますが、機能性は損なわれにくいとは思っていますが、なにぶんものづくりの素人なので保証はできません(笑)つけるときは90度傾けてはめたのち、少し縮めるようにしつつ回せば入るはず・・・。
ただ、どうしてもボールジョイントパーツは小さいです。幼稚園に入る前くらいの幼児だと誤飲のリスクがあります。まあ、小さく、カドがないため飲み込んでもおそらく問題なくお尻から出てくると思いますが、何かあっても当方はリスクを負えないのでご注意ください。対象年齢3歳以上、プラレールと同じですね(笑)
需要があれば販売も twitter等もぜひご覧ください
さて、この部品1セットで使い方は色々、プラレールを使っている方にはわかっていただける痒いところに手が届く部品になったのではないかと感じています。以前Xiaomiの掃除機スタンドやJelly2用スマホケースなどでもリクエストを頂きましたが、欲しい!と思われる方が今回もいらっしゃれば、コメント欄やtwitterで教えてください。お声があれば販売も計画させていただこうと思っています。
でもいっそのこと、この発想ごとタカラトミーが買ってくれないかな・・・(笑)
最後になりますが、一つだけ。
3Dプリンター関連の記事が当ブログは多いですが、3Dプリンターは実に面白いです。難しいこともありますが、PCが使え、自分で設計して使いこなせば、自分や子供の夢を叶えられるドラえもんの道具のような楽しさがあります。これをお読みいただいた方が興味を持っていただければ幸いです。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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