低音重視の外使用向き キャラクターが明確な SOUNDPEATS Air5 Pro レビュー

選択肢が無限にあり、成熟したと言える完全ワイレスイヤホン。今回SOUNDPEATSさんとのメーカータイアップのブログ記事になります。レビューそのものは制限や忖度なくさせていただくことを条件にお受けしたこのイヤホン。音はかなり作られていますが、その分キャラがはっきりしていて好感が持てます。普通に良かったので外使用のイヤホンとして常用します。

SOUNDPEATSについて 昔QY8ユーザーでした

SOUNDPEATSはメーカーページによれば2010年に創業した中国のメーカーです。Bluetoothイヤホンに特化しており現在は完全ワイヤレスイヤホンメーカーとして比較的知名度は高いと思います。

私個人としては2016年頃にQY8というBluetoothイヤホンを購入して使っていました。当時はまだ左右はケーブルでつながっており、本体に直接microUSBを挿して充電する方式で当然ノイズキャンセリングなども搭載されていないころですし、Amazonで中国製イヤホンを買う人も今ほど多くなかった時期だったと思います。

つまり、SOUNDPEATSのイヤホンは9年ぶり!になりますし、ちょっと感慨深いところがあります。レビューのお話をいただきありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。ブログを書くにあたっては実際に数週間しっかり商品を聴き倒して、正直にレビューすることを条件にさせていただいています。

SOUNDPEATS Air5 Proについて

今回のAir5 Proは3月発売の最新機種で、1万を切る価格とワイヤレス充電以外ほぼ全部入り、というスペックが特徴になります。とはいえ、1万というお値段は有線であればかなりいいものが買えてしまいます。電子機器やバッテリー等にコストがかかってしまう分不利なんですよね。当ブログではオーディオ関連の記事もいくつもありますが、基本スタンスとしてはコストをかけてある程度長く使えるものか、コストはなるべくかけずに楽しむのが私のおすすめになります。そのバランスとしてこの製品の立ち位置を見てみましょう。

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ワイヤレスイヤホンはチップの性能である程度決まってしまう部分もあるのですが、この製品はキャラクターの立ち位置がかなり明確です。限りあるコストを野外使用の低音重視に振った製品だと感じる点が多々ありました。そんなレビューになりますのでお付き合いいただければ幸いです。

個人的にはあまりコーデック対応は重要視していませんが全対応で、ノイズキャンセリング、マルチポイント接続、低遅延モード、外音取り込みと押さえるべきポイントはすべて含まれています。ただし、LDAC対応はマルチポイントとの排他利用で、後述しますがAtpXも使えなくなります。個人的にはLDACは有効化せず、Snapdragon Sound対応機器でマルチポイント有効にするのがおススメの使い方です。

この価格帯らしくアプリ対応もきちんとしておりファームウエア更新にも対応しています。製品外観はこんな感じ。昔使用していたEARINのような高級感はないですが、悪くはないです。USB-C差込口にもちょっと加飾があります。強い特徴はありませんが、メーカーロゴなどを強調していない点は好感が持てます。

ドライバーは標準的なダイナミックドライバーです。マグネットはネオジムのN50でN52にはトルクで劣りますが、ポリウレタンとポリエーテルエーテルケトンの2材ハイブリッドとのこと。PEEKは3Dプリンターでもたびたび話題になる素材で、個人的にはちょっとうれしいところです。

チャンバーにはポートがあり、後述の低音重視セッティングの源になっていると思います。充電部分が棒の下部にあるのも良いと思います。運動時の汗等含め皮膚に直接あたりにくく、くぼみ等がないので接触部の手入れが簡単です。

ケースはちょっと落としやすい形状ですが、イヤホンは取り出しやすいと思います。マグネットでしっかりくっつき、社外品のイヤーピースでも大きな問題にはならないと思います。

お約束としてスペック表を簡単に載せておきます。ペアリングやアプリ操作等には大きな癖はなく、導入に際して問題が生じることは無いのでそのあたりは大胆に割愛させていただきます。

項目スペック
ドライバー10mm径ダイナミックドライバー (PU+PEEK)
チップQualcomm QCC3091
対応コーデックSBC, AAC, LC3, LDAC, aptX, aptX Adaptive, aptX Lossless
ハイレゾLDACとSnapdragon Sound(aptX Adaptive)で対応
ゲーム(低遅延モード)60ms
Bluetooth5.4
ノイズキャンセリング最大 -55dBとのこと
外音取り込み対応
バッテリーイヤホン単体: 最大約7.5時間 ケース込み: 最大約37時間
急速充電対応 (10分充電で2時間再生)
ワイヤレス充電非対応
マルチポイント対応 LDACと共存不可
低遅延モード対応 (60ms)
防水性能IPX5 (イヤホン本体)
アプリ対応あり
重量イヤホン単体: 約4.8g ケース込み: 約50g
ワイヤレス充電以外は全制覇といってもよいでしょう

なお、本体操作はタッチで行い、物理スイッチはケースにある1つだけになります。また、電源のOFFはケースに入れることで行うので、ケースがないと電源を入れたり切ったりすることが出来ません。装着用のセンサーはないので、イヤホンをはずしても再生の停止などが出来ない仕様になっていてこの2点は残念な点になります。

装着感は良好 楕円形イヤーピース

さてこの製品、付属のイヤーピースは楕円形です。製品のノズル部分も楕円形になっていますが、円形のサードパーティー製イヤーピースも使うことが出来ます。

個人的には楕円形の方が外耳道の形状には沿っていると思いますので歓迎で、長時間の着用でも耳が痛くなりにくいです。個人差があるので何とも言えませんがイヤーピースによってはマッチングに問題が生じる可能性がありますのでご注意ください。私は実はこのレビューを書いていて気に入ってしまったので、ちょっと質が良さそうなBOSE用のイヤーピースを奮発しました。サイズ違いや、違うサイズセット等バリエーションがあるのですが、私の耳にはこのMサイズのものが合いました。密着性がさらに向上してよい感じですが、レビュー用の視聴は純正イヤーピースで行っています。

本体形状としては耳辺りは良く、私の場合はスポット入れてから軸部分を前後に傾けてフィットを調整するかんじでしっかり密着出来ました。重さは感じません。

コーデックは LDAC or aptX+マルチポイントの排他利用

この製品は現存するほぼすべてのコーデックに対応しています。接続機器によって選択肢が多いのは良いことです。Android機ならSnapdragon系列ならatpX、Dimensity等であればLDACかAAC、Apple製品はAACになると思います。WindowsだとAACかaptXですね。デバイスを問わず最適なものを使える、という安心感はあると思います。私は使用していないのですが、LC3まで網羅されているのでバッテリーがダメになるまで末永く不便は感じずに使えると思います。

唯一の注意点として、おそらく内部のファームウエア容量やチップの限界でLDACとマルチポイントの併用が出来ない点が挙げられます。マルチポイントとは、2台の機器と同時に接続する機能です。タブレットで音楽を聴いていたら、スマホに電話がかかってきた、等への対応が可能になります。

つまりメディアテック系のSoC対応スマホだと、マルチポイントを使用するためにはコーデックはAACで妥協する必要があるということになります。個人的にはこういったデバイスにそこまでLDACに魅力を感じていない点とマルチポイント機能が譲れない、という2点で基本的にatpX(or AAC)で接続しています。

なおちょっと確認してみたのですが、LDACを有効にした場合atpXも使用できなくなるようです。下はLDACを有効にした状態でWindowsでコーデックを確認してみたものになります。一番下の行が選択されたものになりますが、選択肢としてはaptXがあるものの、実際にはAACが選択されます。また、Windowsでレジストリ変更を行いAACを外してみるとSBCで接続されてしまいました。(2枚目、最終行参照)

有料になりますがコーデックを容易に選択できるAltanative A2DP driverを導入したWIndows11でも確認しました。こちらでも同様に、マルチポイント無効(LDAC有効)時にはaptXはグレーアウトして選択できず、マルチポイントを有効にした状態でのみaptXの選択が可能でした。非常にマニアックな視点ではありますがそういう仕様であるということに留意は必要だと思います。

なお、マルチポイントとしては自動で切り替わるのは電話等がかかってきた場合になります。例えば1つ目のデバイスで音楽を再生している状態で2つ目のデバイスで音楽を再生しても自動で切り替わることはありません。2つ目のデバイスは数秒再生後に停止します。また、一旦音楽を停止した後に別デバイスで再生するとその時点で切り替わります。

ノイズキャンセリングと外音取り込み 野外使用を意識した設定

アクティブノイズキャンセリング(ANC)と外音取り込みは個人的には総じて優秀です。外での使用時の風切り音も良く抑えられていると思いますし、ANCの効果自体も十分です。一般的な製品と同様、高音域が残る点は共通ですが電車等のゴーっとした低音などはかなりキャンセルされます。イヤーピースのマッチングにもよるとは思いますがANCオンであれば小さい音量でも十分に音楽を楽しむことが出来ます。-55dBという値なのかはわかりませんが不満が残ることはないでしょう。アプリで自動(適応型)、室内、野外、野外交通と調整が出来ますがあまり細かく試していません。適応型でいいんじゃないかなと思います。

個人的に特徴的だと感じるのは外音取り込みです。外音取り込みってメーカーによって結構違う印象があって、「着けていないみたい」という自然さを前面に出した外音取り込みが良い、とされることも多い中、このイヤホンの外音取り込みは明らかに実音よりも強調されて、つまり実際よりも大きく聞こえます。

この商品の全体のレベルやANCの効き具合等を考えても、「自然な」外音取り込みにしようと思えば十分出来たはずで、これは野外仕様を狙って意識していると考えます。ボリュームが大きければもちろんダメですが、外使用でイヤホンを付けて音楽を流していても外の音を少しでも聞きやすくするように、たとえば後ろから来る車の接近に早期に気付けるようにこのセッティングにしたのでしょう。

なお、モードは標準の状態で左を長押し1.5秒で変更できますが、アプリなら直接の切り替えが可能です。

実用的な低遅延モード

低遅延モードはアプリで切り替える事になると思いますが実用的です。例えばWindowsでAmazon プライムビデオを見る際にも低遅延モードが有効になっていると口の動きとセリフのずれが気になりません。実用的です。

常時onにしておきたいところですが、これがonだとバッテリーに影響があるのかな、と思います。音質的にどう変わるのかは検証していませんが、こういう機能はゲームだったり動画視聴だったりに使用するものだと思いますので、細かい音質は気にならないのではないかと思います。

キャラ付けのはっきりした元気のいい、低音重視の音質

音質は一言でいえば低音重視の元気いっぱい、メリハリのあるサウンドです。明確に「作られた音」ではあるのでモニター系やフラットなイヤホンとはキャラクターが完全に違います。こうして作られた音は静かな環境でじっくり楽しむのには向かないと個人的には思うのですが、先のANCや外音取り込みと合わせて外出時等で視聴する際には聞きやすさも含めてメリットが大きいです。いずれにせよ中庸なものに囚われず、こういったキャラクターがしっかりしているのは好感が持てます。

得意な傾向がはっきりしていますので米津さんやAdoさん、tukiさんやMrs. GREEN APPLEさん等で視聴を行いました。WindowsではPrime Videoのフリーレン「断頭台のアウラ」も見てみました。やはり非常に合います。一方、「おっさん剣聖」はセリフの低音が元々強調されていてぼわっとしてしまいました。アニメとしてもいまいちでこれはやはり原作かマンガで読むものですね・・・。

中々悪くないので色々手持ちのもので聴いてみました。リファレンスとしてInterfaceのDIY PicoDAC経由で有線接続のCCA PLA13、Bluetooth接続として有線イヤホンをワイヤレス化するkzのAN01と1000円とお安いEDX liteの組み合わせ、3000円で買えるKz carol、本機を比較しました。良かったらこちらのブログもぜひどうぞ!

聞き比べるとやはり低音域が特徴です。PLA13をはじめ、EDX liteはもちろん、比較的低音重視と思っていたcarolよりも低音の量感が多いです。ベースラインなどはあまり音量を上げなくても聴きやすいですし、ポート設計もあってか低音も下品ではなくスピード感も損なわれていません。中高音は埋もれないように音が作られています。コストの限界もあるのでしょう、ダイナミック型としては標準的な音で分解能などは高くなくPLA13のようなきらびやかさはありません。もっとも他のBluetooth接続機種よりは明らかに優秀で音の部分にもコストがかけられていることが分かります。なお高音域は刺さるような感じはなく低音と比較するとおとなしいイメージです。

「断頭台のアウラ」はaptX接続、低遅延モードで試しましたが、迫力があり素晴らしいです。セリフの音ずれも気になりません。ソースが高品質であれば低音の強さが臨場感を増してくれます。出先で動画視聴なんかにも適していると思います。音場の広がりも悪くないですし映画等に非常に適していると思います。

アプリ周りの機能

専用アプリ「PeatsAudio」は色々機能がありますが、ログインが必要な仕様でした。イヤホンの設定やモード切替、タッチ操作カスタマイズ、EQなどがメインの機能になると思います。ちょっと惜しいのは、アプリを開いたときに下3枚目の「私のデバイス」が最初に出てしまうところです。出来れば4枚目の「Air5 Pro」が最初に出るようになってくれると嬉しいかなと思います。ここでは左右イヤホンとケースのバッテリー残量も表示されていて見やすいです。画面が切れていますがゲームモードのオンオフもここから変更できます。この画面が最初に出るようにアプリのアップデートで設定ができるようになると嬉しいですね。SOUNDPEATSの中の方、ぜひご検討お願いいたします。

そうそう、アプリ対応ということでちゃんとファームウエア更新機能があります。今のところファームウエアは降ってきていませんが、こういう機能は長く使う上ではあったほうが嬉しいですね。EQは基本的にあまり使用していません。(この機種に限らず、弄らず使うのが好きなだけです)

バッテリー持続時間について

バッテリーはイヤホン単体で約7.5時間となっていますが、これはおそらく一番いい条件での計測だと思います。私の良く使う環境、AtpX、マルチポイント、ANCオンという負荷がかなりかかると思われる条件では4.5時間くらいまで短縮される印象でした。ただ急速充電にも対応しており、空っぽの状態から10分の充電で約2時間再生できます。バッテリーが10%まで低下するとイヤホンでバッテリー切れ警告がなります。この警告は左右バラバラになるようです。左右の電池切れは若干の差がありますが大きな差はありませんでした。

ケースで4回くらい充電できると思えば、一日でなくなることはよほどないと思いますが、使い方次第で変わるのは確かです。自分の使い方、スタイルでの減り具合を確認しておくといいと思います。

全部入りから抜けている項目は?

さて、そんな感じでこの価格帯で全部入りとされる当機種ですが、抜けている項目もあります。個人的には大し手重要なポイントはありませんでしたが、一応確認はしておきましょう。

  • ワイヤレス充電非対応: 必要な人もいるのでしょうが、私は興味がない部分です(笑)
  • 装着検出機能なし: 着脱センサーは搭載されていないので音楽の自動停止はできません。
  • ケースなしでは電源ON/OFF不可: 必ずケースと一緒に持ち運ぶ必要があります。
  • マルチポイントとLDAC併用不可: 人によっては気になると思います。

どうでしょうか?私はケースが必要不可欠なのがやや面倒かな、くらいです。皆さんはいかがでしたでしょうか?個人的にはやはりSnapdragon系列Windowsと相性がいいと思いますね。ケースは小型で持ち運びやすいですが、ちょっと落としやすいです。

まとめ 個人的には外出用常用イヤホンに決定しました

というわけで、自信の製品ということだけあってほめる点が多いイヤホンです。メーカーから提供を受けているのでというわけではなく、Air5 Proのためにいいイヤーピース(BOSE用ですが)を自腹購入して外出常用イヤホンにしよう、と私が思えました。

イヤホンとスピーカーの世界って本当に果てがなくて、どの程度にコスパのバランスをとるか有線にするか無線にこだわるかだけでも選択肢が大きく変わってしまいます。デジタルの世界は特に日進月歩で、一番コストをかけたいスピーカー部にかけられる予算は限られます。私も高い製品を聴きまくっているわけではないのですが、納得できる音で正直ほっとしました。製品がいまいちだと困りますからね・・・(笑)こういう製品から、今度は有線イヤホンにも興味を持ってもらえると私としては嬉しいです。

それでは、今回も最後までお読みいただきありがとうございました!