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片手持ちで疲れ知らずの3Dスキャナー EINSTAR2 レビュー 赤外線 VCSELもブルーレーザーもこれ一台

今回は業務用から一般用まで製品ラインナップが多いSHINING3Dの、定評あるEINSTARシリーズのレビューです。自分で購入したVEGAも満足していますが、このEINSTAR2はSHINING3Dさんとのタイアップのブログになります。同社の3Dスキャナーは確かに安くないのですが、性能的に満足度が高いので「間違いのない」選択だと思っています。

はじめに

冒頭の通り、今回はSHINING3Dさんとタイアップとなる、機材提供いただいたEINSTAR2のレビューです。日進月歩で色々な製品が出てくる3Dスキャナーですが、コンシューマー向けとはいえ20万前後の機材です。その性能を楽しみつつ使い倒させていただいています。薄っぺらいレビューではないのでご安心ください。

元々当方はオールインワンタイプの3DスキャナーであるEINSTAR VEGAを購入し使用しているわけで、製品としてはかぶるところもある訳ですが、実際使ってみると使用感は両者でかなり異なります。EINSTAR2はとにかく小型で、PCが必要ではありますが逆にいちいち取りこまなくて良い、という使い勝手の良さもあり現在使用頻度が高いです(笑)。一方PCレス運用が可能なVEGAは現場でスキャンが出来るため対応範囲が広いです。

EINSTAR VEGAについてはぜひこちらの当ブログ記事もご覧ください。SHINING3DさんやEINSTARシリーズの位置づけ等についても触れております。オールインワンでPCレス、という魅力は強いですよ!お値段はEINSTAR2よりお高くて、約30万円。・・・2025年で私が購入した最も高価なモノの一つです(笑)。

今回はEINSTAR2の使い勝手の良さとスキャン結果、プライスレスな活用事例等ご紹介させていただこうと思います。機材提供を頂いているとはいえ、当ブログのコンセプトはそのまま、注意点なども含めて内容については忖度なく書かせていただいていますのでよろしくお願いいたします。

EINSTAR2について ブルーレーザー搭載で小物にも強い

まずはハードウエアについてです。2というからには元々EINSTARという前モデルがあります。こちらはIR VCSELの3Dスキャナーで今回の2のようなブルーレーザーは搭載されていません。VEGAのFASTモードでも採用されている方式で比較的広い面を一気に見るのに優れていると理解しています。このためEINSTARは小さいもののスキャンは解像度の面であまり得意ではありませんでした。ところで、VCSELて「ヴィクセル」と読むそうですよ。

今回「2」になるにあたって、この小物という弱点への解決策がパラレルブルーレーザースキャン方式の追加です。これにより圧倒的に小物に強くなりました。マーカーが必須ではあるのですが、後述の通り、FOV(一回にスキャナが見る範囲)が大きいので、マーカーを周囲に置いておけば本体に貼らない、ということが十分に可能です。

ちなみに今回は紹介しませんがEINSTAR Rockitではクロスレーザーでマーカーレスのスキャンが行えます。パラレルレーザーも搭載されていますが、そちらは7本と、EINSTAR2の17本と比べて少ないのでEINSTAR2が下位機種とは一概に言えません。広い面をマーカーレスでがばっとレーザースキャンする場合はオススメがRockitになると思いますが、私の用途ではEINSTAR2が良いかなと考えています。

ちなみにレーザーはClass2ということで直接見なければ大丈夫、というクラスになります。レーザーのクラス分けについては下記、キーエンスのページが役立つと思いますので参考にぜひ。いずれにせよレーザーは取り扱いに注意が必要ではあると思っています。

このスキャナーの良さはぱっと見でわかります。小さいんですよ、とても。私は面倒くさいので基本ターンテーブルなどを用いず、手持ちでスキャンするのですが、ずっと持っていると疲れるんですよね。VEGAは両手持ちなので疲れにくいのですが、色々な角度から見ようとすると主に腰が疲れます(笑)。EINSTAR2は余裕で片手持ち出来て、バッテリー込みで420gと軽量なので多少大きいもの(今回のストライダー等)のスキャンでもストレスが少ないです。

このコンパクトな筐体にIR VCSELとパラレルレーザーがおさまっているの、イイなと思います。バッテリーが内蔵出来て且つ脱着式なのも非常にポイントが高い。しかも最初から2本ついてくるんですよ、このバッテリー。電池もちも良好で普通にスキャン作業をしていてバッテリーが問題になるケースは少ないと思います。小さなことですが蓋部分もはめ込みと磁石でツメを使用していません。あ、写真には写っていませんがマーカーシールも入っていました。

amazonの商品リンクも貼らせていただきますのでよかったらご覧ください。

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大まかなスペック表も一応載せておきます。後述しますが、PC環境が非常に重要になります。WIFI接続のスペックがそういえば見つからないかも。。

項目スペック
スキャンモードブルーレーザー / 赤外線
光源17 Blue Laser Parallel Lines / IR VCSEL
解像度Laser HD: 0.05 ~ 10 mm / IR Rapid: 0.2 ~ 10 mm
スキャン速度Laser HD: 2,500,000 points/s / IR Rapid: 1,440,000 points/s
作業距離Laser HD: 100 ~ 600 mm / IR Rapid: 160 ~ 1400 mm
最大FOVLaser HD: 490 × 580 mm / IR Rapid: 1170 × 1385 mm
アラインメントモードGlobal Marker/Markers/Features/Texture/Hybrid
レーザーはGlobal Marker/Markersのみ
最小スキャンボリュームLaser HD: 10×10×10 mm / IR Rapid: 50×50×50 mm
カメラ解像度3D: 2MP×2 / Texture: 2.3 MP
出力フォーマットSTL, OBJ, PLY, 3MF, ASC
レーザークラスClass 2 前項参照ですが取扱いに注意は必要
屋外スキャン環境Laser HD: 110,000 Lux未満 / IR Rapid: 70,000 Lux未満
本体重量420g(バッテリー含む)
電源交換可能な5500mAhのバッテリー2本付 60W対応チャージャー
PC要件(推奨)グラフィックカード: NVIDIA GeForce RTX 3060以上
メモリ 32GB以上 推奨64GB
13世代Coreiデスクトップが目安
ゲーミングPCであれば概ねOK
PC要件が厳しい

ちなみに当方の環境としては14世代Corei7+RTX3060Ti、メモリ64GBと基本的にすべて満たした状態です。メモリが少ないとそもそもソフトウエアが起動できなかったりします。(メモリ16GBのノートPCでは起動できず)デスクトップPCはともかく、持ち運べるゲーミングノートを所有されている方はかなり限られるんじゃないかな・・・と思うのですが皆様いかがでしょうか?

スキャンの実際

スキャンの実際については動画の方が分かりやすいと思います。動画は動画用にスキャンしている様子がリアルタイムでわかりやすいようにしてありますので是非こちらをご覧くださいね!最初の3分くらい以外は基本的にスキャンや処理をしている動画になっています。

ブログでは動画以外のスキャン結果やその結果出来ることなどを中心に紹介させていただきます。

ちなみに現在、スキャンソフトはEINSTAR2シリーズ専用です。同じEINSTAR でもVEGAとは根本的にソフトが異なります。まあスキャナとしての性質が全く異なるので仕方ないのですが、一元管理できないのは残念です。同時に持っている方を想定したソフトウエア作りに今後期待したいところですね・・・。

ソフトウエア上はまずモード選択でVCSELかパラレルレーザーかを選択する方式です。基本的にはそれぞれ条件などを決めてからスキャンに入ります。まずはIR VCSELから。

トラッキングはマーカーや特徴、さらにテクスチャが選べます。テクスチャがトラッキングに出来るのはEINSTAR2をはじめとするSHINING3Dさんのスキャナの大きな特徴です。また、これらを組み合わせるハイブリッドに対応しています。これもあってこのEINSTAR2、トラッキング精度が非常に高いです。目標を見失うことが少なく、また見失っても戻るのが早いです。これは「ちゃんとスキャンできる」という点で非常に大切なことです。VEGAも特にIR VCSELはトラッキングが強いのですが、EINSTAR2も同様です。

VEGAと使い勝手が違うのは画面がないことです。私は基本的にターンテーブルを使わないハンドスキャンです。画面のみを見ながらスキャンって言うのは意外と難しいので基本はスキャン対象を見ながら、ちらちらモニタを見ることになります。ちょっと面倒ですがここでEINSTAR2の小ささが効いてきます。手元を地面すれすれにしたり、スキャナが見やすい角度に回転させたりといった動作がらくちんです。

後はやはり、スキャンが早い。がばっと広い範囲を撮れますし時間がかかりません。PCの性能にもよるとは思うのですが、ざざーっと撮れてしまいます。スキャンの後が大事なのでスキャン自体が早く終えられるのは非常に良いです。解像度は最大0.2mmとなっていますが、通常は0.5mmくらいで使うことが多いです。0.2mmにするなら、許される状況であればブルーレーザーがおススメかなと思います。0.5mmでもサイズがそこそこある一般的な物であれば十分対応できる範囲です。

レーザーモードは精度重視のモードですが、前提条件としてマシンスペックが要求されます。私は解像度0.2mm-0.5mmで使用することが多いですが、解像度に応じて加速度的にメモリ使用量と処理時間が増えます。3Dプリンター用途であれば0.2mmで十分だと思います。解像度を必要以上にあげると、逆に表面が荒れる結果になることもあります。例えばこの動画中にスキャンしたXboxコントローラーは0.5mmです。

また、前述の通りEINSTAR2のレーザーはパラレルレーザーで、マーカーが必要になります。ただマーカー、正直貼るの面倒なんですよ。基本使い捨てですし、意外とバカになりません。だからちょっと心配していたのですが、EINSTAR2はFOVが広いです。そこそこのサイズであればマーカーをスキャン対象の下や周囲に置くだけで問題なくスキャンが行えてしまいました。そもそもブルーレーザーでスキャンしたいものって小さめなものが多い(黒いものや反射するものもありますが)ですので、多くの用途ではマーカーを八付けたオブジェクトを周囲に置くだけで流用できると思います。これは半透明樹脂にはスプレーをしてスキャンしています。

色々やってみていますが、やはり圧倒的に黒に強いです。黒くてちょっとテカっているモノの代表としてミニッツのプロポをスキャンしてみたのですが、この通り滅茶苦茶キレイ・・・!VEGAでも撮れなくはなかったのですが、表現力が段違いです。

あまりに出来が良かったので、調子に乗って最近買った3DCADソフト、PlasticityでモデリングしてCAD化してしまいました(笑)

まあ、意味はないんですけれど、モチベーションがアップしてしまうくらい素敵にスキャンできるということで私がこの製品を高く評価していることを感じていただければ幸いです。

裏技 VRゴーグルで画面と対象物両方を見ながらスキャン!

一つネタ、というか裏技的なご紹介もしておきます。これは他人に見せられない?感じになりますが、前述の画面と対象物を同時に見ながらスキャンしたい場合の解決策がこちらになります!

そう、VRゴーグルをかけてMRとして、スキャン中のものを見ながら、その視野内にPC画面を納めればいいのです!無線通信のデータ帯域が懸念点になりますが、EINSTAR2はPCと無線でP2Pで直接接続しているようですし、VRゴーグルは有線LAN(+無線AP)でPCと接続されているので問題ありませんでした。

ゴーグルではこんな風に見えます。動画は16:9なので中心にディスプレイが見えていますが、実際の視野はずっと広いのでスキャン対象と画面をリアルタイムで見ながらスキャンが出来ます。外から見たら通報案件間違いなしです!(笑)ちなみにこの時、PCは2階にあり全て無線で接続です。素晴らしい!

VRで見るとこんな感じ スキャンしながらPCが見られます

ですがこれ、かなりやりやすいんですよ。私がVEGAに慣れているせい、というのもあるとは思うのですが、トラッキング含めスキャナの見えている景色が常に表示されているのは非常に安心感があります

まあこれ、たとえばスマホにPCをミラーリングして、ということももちろんできます。ただその場合だと両手塞がってしまうのでスキャナを持ち替えたりできないんですよね。VR内であれば両手フリーで画面見ながら作業が出来るので非常に有能です。怪しすぎますが(笑)ただ、公式でミラーリングも出来るとより便利な気はしますね

MetaQuestはめちゃ楽しい道具で、プリンターとは関連ありませんがとても楽しい製品です。良かったら当ブログ記事やamazonリンクもご覧いただければと思います。

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子供の思い出を永久保存 一目で分かる高品質スキャン

さて、実践編です。動画ではより簡便な子供の工作のスキャンをしていますが、ブログでは以前のものを紹介させていただきます。IR VCSELを利用してうちの子が卒業した三輪車とストライダーをスキャンし、印刷するまでをやってみました。この作業、EINSTAR VEGAでもできますし、実際両方でやってみたのですが、一発でスキャンする場合はローアングルのスキャンしやすさという点でEINSTAR2は非常に便利でした。VEGAのfastモードよりも結果はいい印象で、このサイズ感のものはEINSTAR2の方が強い感じです。

ちなみに最終的にはより精度を求めて、今回は3輪車とストライダーにマーカーを張り付けてスキャンしたものを最終的に使用しました。特徴とマーカーのハイブリッドスキャンです。はい、滅茶苦茶キレイ。一目でスキャナの実力が分かります。これ別に特殊な環境で撮ってるわけではなく普通の屋内です。

ローアングルもそのままできるのでサドルの下の空間やべダル部分、フレーム下部等、これだけ詳細なスキャンが出来ます。分割スキャンなしの一発勝負でこれ。おおよそ一般向けスキャナの実力としては非の打ち所がないと思いますがいかがでしょうか。

コレを3Dプリンターで印刷した結果がこちら。当然印刷はSnapmaker U1です!ただ、色は手作業。スライサーで塗りなおしました。これ結構大変なんですよ(笑)。特に文字のところ、この辺に将来、父の愛を感じてくれるかなぁ・・・。

印刷は勿論、Snapmaker U1です。EINSTAR2よりも安く買える4ツールチェンジャーとして、今後一般販売が始まる予定ですが、強さをいかんなく発揮してくれました。実はこの2つ、実物は既に友人にあげてしまいましたので、手元にはこの完璧な1/5サイズのミニチュアが残りました。勿論データは残っているので、そのうち何個でも印刷できるのも強みです。

なお3Dスキャンの方法としてこういった大きめのものはフォトグラメトリやLiDERのスキャン選択肢に入ってきます。当ブログでもぐるっと動画を撮るだけでメッシュを作れるKIRI ENGINEを紹介しています。

ただ、解像度的な問題ではやはり3Dスキャナーが有利です。もっともこのサイズだとKIRI ENGINEもかなり優秀で、動画からこれを作るのは本当にスゴイのですが、これでも1/5サイズで印刷することまで考えてスキャンする場合3Dスキャナーでちゃんと手をかけたほうがやはりキレイです。反射するところは特にKIRI ENGINE弱いんですよね・・あと、当然小さいものが分からないのと、全体的な縮尺、というか寸法要素がほぼなくなります。テクスチャというか、全体をがばっとスキャンする場合はKIRI ENGINEめちゃ強いのでこちらもぜひ。

弱点は環境整備を含めた価格

べた褒めになりましたが、こんな感じで性能的には正直何も言うことはありません。ということで弱点は環境を含めたコストになります。これはもう仕方のないことですが、より正確にしっかりスキャンするためにはコストがかかります。前項でお話したようなKIRI ENGINEをはじめ、フォトグラメトリやLiDERなど、立体物をデジタル化する選択肢はここ数年で一気に増えました。現状ですと3Dスキャナの精度は圧倒的で、3Dのモデルやミニチュアを作ろうとした場合には3Dスキャナがあるとワンランク上の物が作れるメリットはあります。

一方でスキャナ本体と、処理を行うPCを含めた環境整備にかかるコストは馬鹿になりません。3DCGやゲームを元々やってらっしゃる方は本体だけになりますが、それでもこのEINSTAR2、20万くらいします。円安の影響もあり庶民が気軽に購入する価格ではないです。ここ数か月でメモリの価格も爆上がりしており、これからしばらくはPCやグラボには冬の時代が来ると思います。欲しくてもそもそも買えないみたいな。

ただ3Dスキャナが要求するマシンスペックは各社似たようなもので、EINSTAR2だけが突出しているわけではありません。また、VEGAのようなオールインワンタイプであっても、後処理等でPCは必要ですし、スペックはそれなりに要求されるためこれはもう、3Dスキャナーという商品そのものの問題です。

3Dプリンターで部品を作るなど、品質、精度が要求されリバースエンジニアリングに耐えられる3Dスキャナーにするのか、ライトに軽く残すことを目的に代替手段に頼るのか等、考え方次第かなと思います。

個人的には3Dスキャナ、3Dプリンターとは当然めちゃ相性が良いのでせっかくならよいものをお勧めしたいところです。小さなものでなければ無印EINSTARとかを中古でゲット、というのも手のような気もしますね(笑)。

軽い、速い、正確 扱いやすくお勧めです

今回も大ボリュームでお届けしましたが、3Dスキャナーの魅力やEINSTAR2の位置づけなど、皆さんに伝われば幸いです。現在作っているFitbitのアダプタもこのEINSTAR2で制作していますが、コレは別のブログにさせて頂く予定です。色々なものを3Dプリンターで作る際に非常に役に立つ相棒として、SHININGの3Dスキャナーは非常に良い選択肢だと思います。

普段VEGAを使っている者としても、EINSTAR2の軽さ、速さは非常に重宝していて、どうせ後処理をPCでやるんだからさっと撮るならEINSTAR2で、となりがちです。それくらいに勝手が良いのが本機の美点です。モノづくりに、プライスレスな趣味や日々の生活に、コスト面の課題はあれど素直にお勧めできる商品だと思いました。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!