EIBOS フィラメントドライヤー Polyphemus & 吸引式フィラメント保存袋 EURUS レビュー 回るスプールと80度までの高温対応でよく乾く
今回はEIBOSさんとのコラボで、最大3kgスプール対応のPolyphemusと、乾燥後のフィラメントを保存するUSB吸引機付きフィラメント保存袋、EURUSのレビューとなります。温風が一か所に当たらないのが面白く、循環式ではなく強制排気される仕組みなのでシリカゲルそのものの乾燥にも向いていると思います。
はじめに
今回はEIBOSさんからPolyphemusならびにEURUSを提供いただいているタイアップブログになります。EIBOSさんにこの場を借りてお礼申し上げます。
とはいえ2か月程度しっかりと使用期間を経てこの記事を書いており、また当記事に限りませんが、お話を頂いた時点でブログに書く内容についても基本的に指示は受けず自由に書かせていただくことを条件にしていますのでよろしくお願いいたします。私が面白さを感じない商品のレビューは最初から受けないことにしています。記事書けないと困るので(笑)
さて、フィラメントの乾燥についてです。神経質にならなくてもいい、という話もあるのですが実際吸湿して印刷が悪くなることもままあります。勿論材料にもよりますが基本的に印刷条件がシビアなほど問題が生じやすいと私は思っています。例えば我が家でずっと使っているSnapmaker2.0は基本的に60-80mm/s程度と低速です。温度もあまり高くせず印刷しており、樹脂がゆっくり加熱されるせいかその辺に放置したフィラメントでもあまり困りません。たとえTPUであっても、です。
一方で昨今の高速機では問題が生じやすい気がします。一気に過熱して印刷するからかなぁ、と何となく思っています。今の季節はまあ大丈夫ですが、やはり夏場は湿気った感がありますし、温度が高めだとプチプチと含まれた水分が気化する際に気泡になり印刷が荒れます。フィラメントが糸引いてしまう原因にもなりますね。
ちなみにナイロンなんかは最たるもので基本的に湿気っていて下記記事のモノなど乾燥が前提だったりします。一晩で吸湿しますので乾燥しながら使用しないといけません。
冬場は日本も乾燥しているのであまり神経質になる必要はないのですが、ナイロンやTPU air、PEBAなどを中心に必要ですし、シリカゲルそのものの乾燥にも使えてバッグで保管までできるこの製品セットには万能感があってよいと思いました。
EIBOS社について
EIBOSは、2020年に中国・深圳で設立されています。ちなみに「Excellent Ideas Based On Structure」の略でEIBOSです。企業ロゴが人っぽくデザインされているのは今回初めて知りました。(反時計回りに90度回転するとEIBOSになる)
同年にKickstarterで「CYCLOPES」を発表したのが始まりとのことです。
最近はBambu用のAMSに取り付けるTETRASが有名かなと思います。
他にはレジンの後処理用の機材や小型軽量なアルテミスエクストルーダーがホームページに記載されていてちょっと興味があります。105gと軽量です。メーカー公式ページは下記になりますので一度見てみてください。
Polyphemusについて
今回提供いただいたPolyphemusはマイナーチェンジ後の最高80度対応のものになります。ヒーター等がパワーアップした結果とのことで、80度という温度は乾燥には不要だと思いますが、この温度だとPLAのアニール処理に使えるのではないかと思います。フィラメントサイズまでのPLA造形品なら印刷後80度でアニール処理すれば耐熱性等樹脂の特性向上が行えるかもしれません。先日出たpolymakerの耐熱PLA等に向いていそうです。
本体は組み立て式です。よくある製品とちょっと違って、ベースの本体に透明な蓋を上からかぶせる形です。上面には持ち手がりますが蓋を外すためのものです。上面には排気口があり、乾燥時は手動で開けておくことになります。ディスプレイはシンプルで操作に困ることは無いと思います。
あまり気にする方はいないかもしれませんがスペック表も記載しておきます。別売りですがアタッチメントをつけることで3kgのスプールを利用することも出来ます。3kgスプール対応のものは意外と少ないのでお勧めです。
| 項目 | 仕様 |
| 対応フィラメントスプールサイズ | 1kgスプール2本、アタッチメント利用で3kgスプール可 |
| 加熱温度範囲 | 最大80℃ |
| 加熱方式 | PTCヒーター、スプールの自動回転機構付き |
| 除湿方式 | 強制吸気 受動排気 |
| 本体材料 | V-0 難燃素材 |
| フィラメントプリセット | 9種類の材料プリセット、3つのカスタムスロット |
| フィラメント穴 | 上3 前3 後ろ2 |
| モーター寿命 | 1500時間 交換可能 |
| その他 | 自動湿度制御機能など |
加熱可能温度が高い点が一つと、強制吸気で循環させない点が興味深いところです。循環しないので冬場等寒い室内では温度が上がりにくい傾向にありますが、湿気った空気が排出されるのは良いところと言えます。モーター寿命とかちゃんと書いてあって好感が持てます。
難燃素材については当記事、難燃ABSフィラメントの記事も参照ください。V-0は自己消化性がある樹脂で、この難燃ABSと同等の素材ということになると思います。
公式のホームページはこちらです。ただ、現時点ではPSEがないと思います。代理店作ってちゃんとやったほうがいいかなと思っていて、EIBOSさんにはお伝え済みです。
Polyphemusの面白いところ なんといってもスプール回転機構
フィラメントドライヤーは完成した商品なので正直独自性を出しにくいと思うのですけれど、Polyphemusは色々面白いところがあって、最たるものがスプールを回す機構です。乾燥中にスプール側をコロコロと回すことで温風が噴き出す下方に熱が集中しないようにPolyphemus側にモーターが付いています。特に熱に弱いフィラメントでは大事かなと思います。スプールの変形も防ぐことにもつながります。パネルの向かって右のボタンを押すと回り始めます。一方向ではなくある程度回ったら反転して回ります。
ちなみに摩擦の関係でうまく回すためにはある程度のフィラメントの残量が必要な印象です。残りが少ないと軽いためうまく回せない感じです。ただこの場合、フィラメントは熱源から離れるのでそもそも回す必要がないと思います。また、プリンターで使いながら印刷する際は当然必要ありませんね。
フィラメントを引き出す際には逆に抵抗になるのですが実際使っていてあまり気にはなりませんでした。フィラメント全体でむらなく加熱、乾燥が出来る点は興味深いと思います。ちなみに気になって中をあけてみましたがこんな感じでパーツ点数は少なかったです。部品交換はしやすそう。
フィラメントの出し口は豊富 夏場は乾燥材を置きたい
この製品、フィラメントの出し口が色々あります。目立つのは上面ですが、前後にもあって、こっちを利用する場合はそのままふたを外せます。一般的なフィラメントドライヤーって基本的にプリンターからアンロードしないとスプールをフィラメントドライヤーから外せないのですが、この商品はそれが出来ます。地味に便利です。
そうそう、先にも触れましたがフィラメントドライヤーは基本的に循環方式を採用しているところが多いと思います。熱した空気を再度熱源に戻して温度を稼ぎつつ、フィラメントから出た水分を含んだ空気をシリカゲルで除湿しながら行うイメージかなと思います。
Polyphemusは強制給気で下面から温めた空気を容器内に送り込んで、上部から排出させています。基本的にはフードドライヤーに似た方式です。特に今の季節は外気の湿度が低いので除湿剤がなくてもこの方法は乾燥が早く、内部のシリカゲルも含めて非常によく除湿される印象です。ただ夏場は特に日本は外部の湿度が高いので温度を上げて相対湿度を下げても絶対湿度が高いままになってしまいます。梅雨時期に検証しないとわかりませんが確実に効率が落ちるので、温風吹き出し部近傍にシリカゲルを置いておきたいですね。箱内部がチャンバーになる構造なので上手に使うと乾燥効率が高められると思います。音が比較的静かなのもよいところです。
プリセットは豊富ですし、カスタムのもの(M1-3)を使用することで最大80度の高温対応が可能です。また、私は使わないのですがずっと電源を入れて湿度制御を行うモードもあります。全部入りだと思います。
設定温度と時間について 全体的に控えめ
Polyphemusの実利用についてですが、基本的には電源を入れてフィラメントを選ぶだけです。設定は下記の通りになっています。全体的に乾燥タイマーは短句点ABSやPETGの標準乾燥時間、2時間なんですよね。私はあまり乾燥にこだわらないほうで、特に今の冬場なんかはABSやPLA等、放置したフィラメントをそのまま使うこともよくあるのでこの乾燥時間でもよいかな、とは思います。80度版はMスロットで80度設定が行えます。
ただHeating levelは外気温によって左右されます。冬場の寒い室内ではこの設定でPLAを乾燥させても50度まで到達できません。循環方式ではないので周囲が寒ければ上部のベントを少し閉じ気味にしたり、Heating levelを少し上げたほうがいいです。ただ、47度くらいで平衡状態になったとしても、内部の除湿は行えていました。必要に応じて手動で調整するのがいいと思います。
USB陰圧吸引機付き EURUSで乾燥後のフィラメント保管を
セットでご紹介するEURUSは、乾燥させたフィラメントを最適な状態で保存するための真空パックのシステムです。USB接続の吸引機と専用バッグのセットで、フィラメントを入れてからバッグを閉じ、USB吸引機で真空パック化します。もちろんバッグだけの追加購入もできます。
公式によればバッグはPA+PE製です。しっかりした厚手の素材で、2重ジッパー部分も頑丈な感じがかなりします。吸引のスピードも遅くなく、かなりしっかり真空パックが作れる印象で、やわらかい紙スプールだとゆがみそうなくらいです。
真空ポンプ接続部分はちょうどスプール穴部分になっていて吸引によって密着します。私は気にならなかったのですが、ポンプ接続部分が出っ張ることによって平置き時の障害になったり、またもともとのフィラメント箱に入らないといった声をXで耳にしました。
確かになぁと試しにやってみるとスプール穴径がBambu互換くらいあれば最初から穴の内側にこの真空ポンプ接続部を押し込んでおくことで平たく密閉することが可能で、フィラメント元箱にもちゃんと収まりました。シンプルで非常に良いのと、機材提供いただいてから2か月間シール後放置したフィラメントがこちらです。少なくとも空気の流入はほぼシャットアウトされており、真空パック状態が保たれています。
素材がアルミではない為湿気の流入を完全に防ぐのは難しく、長期保管ならアルミがいいとは思いますがシリカゲルを入れて保存しておけばかなりの期間(半年くらい?)はいい状態が保てそうな気がします。夏までこの状態で放置して印刷してみます。
購入のハードル(公式ストアのみ、価格)はあれど個性が魅力
ということで、フィラメントドライヤーと保管袋、USB吸引機の子のセットはなかなかに個性があり魅力的だと思います。商品群として魅力的ではあるのですが、現時点での課題は日本における販売網です。
Snapmaker U1もそうですが、日本での販売を大々的にやろうとすると日本の代理店がほしいところです。海外購入だと言語やアフターサービスの不安や割高になりやすい送料も負担です。円安の影響も大きいと思います。アリエクから普段普通にモノを買っている私達からするとそう気になりませんが、3Dプリンター界隈のすそ野が広がった結果、相対的に心理的なハードルが高くなってしまっていると思います。Bambuはそこスゴク上手にやっていますよね。実際のものも良いし。
Polyphemusは本体はしっかりしていますが競合他社も多く、回転機構に魅力を感じない場合は他のメーカーにシェアを取られてしまうリスクが高いです。元々そこまで複雑なものではないわけですし、魅力を上手に、長期間にわたって伝えられる体制は必要だと思いました。なお、長期的な耐久性は不明ですが我が家では何の問題もなく使えていて夏場どうなるか楽しみです。透明で回っているフィラメントが見える見た目もイイですよね。スプールが回っている部分も含めておしゃれ感があると思いますし、個人的にはデザインが好きです。
なおバッグは消耗品と考えてある程度の期間で再購入が必要になります。消耗品が長期的に入手できるかといった企業姿勢やブランドの維持も重要だと思います。予備バッグは2026年時点で10バッグ3000円と悪くない値段だと思います。夏になったら結果を追記させていただきます。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!
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