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HHKB Studio 1年使ったのでレビュー 柔軟なカスタマイズ能力で便利に使えています コストはかかるが費用対効果も高い

2025年7月11日

HHKB Studio (US)を1年以上使用した今、ついにレビューを書きました(笑)。何万円もするキーボードなんてありえない、という見方もあるとは思いますが、柔軟に運用ができるため現在は仕事を中心とした相棒になりました。万人に勧めるものではもちろんないですし重量もあり持ち運びに不便ですが、よいものです。

HHKB Studioとは

HHKB Studioは、PFUが開発・販売する「Happy Hacking Keyboard(HHKB)」シリーズのモデルです。HHKBの歴史は長く、1996年に初代モデルが発売されてから30年近くが経過しています。富士通関連会社であったPFUと和田英一先生という方がかかわっています。詳細はITメディアさんの記事が詳しいです。HHKB Studioができるまでの詳細が書かれています。

もともとHHKBの最大の特徴は、合理的なキー配列とコンパクトなボディにあり、従来のHHKBシリーズは「静電容量無接点方式」が採用されうち心地のよさと耐久性で知られていましたが、HHKB Studioはコンセプトが異なる別物です。今までの良さは継承しつつも完全な別物として、オールインワンでこれ1つですべての作業を完結しよう、というコンセプトで作られており、プログラマーなどではない私のような色々な作業を行う方向きの製品になっています。よく論争になる、Ctrlキーもイイ感じに使いやすい点は他のHHKBと同様です。Capslock、使わないからなぁ。

HHKB Studioと他のHHKBキーボードは別のもの

今回私が購入したHHKB Studioは前述のとおり、今までのHHKBとは全く異なる商品です。どちらが良い悪いという話ではなく、おそらく購入者層も含め異なると思います。大きな違いは次の4点。

  • Studioはメカニカルキーボード
    • 他のHHKBは静電容量無接点なので根本的に違います。私は他のキーボードもFILCOのものを使っていたりしたのでメカニカルキーボードはもともと好きです。重量がかさむ原因にもなっていますが、自由度やキー交換ができる点は良いところです。Cherry MX互換ですし、3Dデータが公開されているため自作もしやすくなっています。・・・まだ活かし切れていませんが(笑)
  • カスタマイズ性がさらに向上
    • ファンクションキーによるコンビネーション入力のレイヤーが拡張され、「標準」「Fn1」「Fn2」「Fn3」の4レイヤーが設定可能です。また複数同時押しのショートカットも1キーへ割り当てが可能です。そしてカスタマイズしたプロファイルは本体側に保存されるため、機種間を移動しても問題がないようになっています。
  • ポインティングスティックによるマウス機能とジェスチャーパッドの搭載
    • ここも他のHHKBシリーズとは根本的に異なる点です。キーボードの本質である文字入力に特化した他のHHKBシリーズと異なり、HHKB Studioはマウス機能やスクロール機能などを含んだオールインワン仕様です。テンキーはないコンパクト設計ですが、複数のファンクションキーを搭載した柔軟なカスタマイズがしかも複数パターン登録可能で、持ち運んでも有線でも、MacでもWindowsでも使用感を近づけて使用できます。
  • 重量と携帯性の悪化
    • ここは明らかに他のシリーズより劣ります。正直積極的に持ち歩くのは面倒ですし重いです。HHKB Professional比で本体重量で300gくらい重く、さらに単3電池4本分(Professionalは2本)の重量が加算されるので容易に持ち運べません。

USキーボードと日本語キーボード仕様の違い

HHKB Studioも、ほかのHHKBシリーズと同様、英語配列(US配列)と日本語配列の2種類があります。HHKB Studioは日本語のほうが人気がある、という話も聞きますが実際はわかりません。私はせっかくなので、より元々のコンセプトに近い英語配列のものを購入しました。

元々英語キーボードは使ったことがありましたし、スペースバーの広さやEnterキーの使いやすさは英語キーボードのほうが使い勝手が良いと思っています。かな入力でなければ不要なキーもありますし、カッコが並んでいるところとかコロンやセミコロンなんかも使いやすいですよね。

ただ日本語キーボードに使い慣れている方は別に日本語でもいいと思います。単純にキー数が多いのでカスタマイズ時に割り振れるキー数が多い、という点では日本語のほうが有利です。

外観など

大分使っているのがわかる写真ですが、購入時のものがなかったのですみません!さすが高級な?日本製品、全体にパッケージからしっかりしています。中身もしっかりしていて、代わりに重いです。説明書きも今どき製品としてはかなりちゃんとしたものが入っています。

キーボードは入力しやすいよう段差や傾きがついたデザインですが、厚みがあるので慣れないと手関節が痛くなったりする可能性はあります。裏側には傾き調節の足台があり2段階で調整が可能です。キーは全体にマットな質感でかっこいいです。結構使っていますがテカりもきにならないです。(キーの洗浄などはしていません。)

中央にThinkpadのトラックポイントのような感じのポインティングスティックがあります。下にはマウスボタン替わりの3ボタンがあり、側面と手前には新規搭載のジェスチャーパッドがあります。有効に使えればかなり面白いと思うのですがトラックポイントに触れているとジェスチャーパッドが反応しないなど癖があります。使い勝手や好みが分かれるポイントです。

電池は4本と結構必要です。電池寿命が製品寿命にならないよう乾電池式となっています!私は電池式が好きです(笑)。ふたの内側は忘れやすいペアリング方法の記載などもあります。電池室には大まかな設定を行うディップスイッチがあり、例えばもともと省電力設定で30分操作がないと電源が切れる仕様なのですが、ディップスイッチで無効化するなどの設定ができます。なお、USBで有線接続する際は電池の有無も気にする必要はありません

なお、持ち運びの際は3Dプリンターで分割して作ったキーの保護カバーを使っています。本体とあたる部分はTPUで作りました。やはりキーボード、キーを大事にしたいですよね!

その打鍵感としてはコトコトした感じの静かながらもメカニカルキーボードな主張ははっきりある感じです。ホットスワップ対応なのでキーも必要があれば変更できます。家のメインであるFiLCO黒軸キーボードと比較すると静かさがよくわかります。

HHKB Studio スペック概要

一応簡単なスペックを表にしました。amazonリンクも貼らせていただきます。よかったらぜひ一度見てみてください!

項目仕様
製品名HHKB Studio
発売日2023年10月25日
価格(税込)44000円 公式リファービッシュ品があれば37500円
キー配列日本語配列 / 英語配列
キー数日本語配列: 72キー (メインキー: 69, マウスキー: 3)英語配列: 63キー (メインキー: 60, マウスキー: 3)
キースイッチリニアタイプ静音メカニカルスイッチ
押下圧45g
キーストローク3.6mm
ホットスワップCherry MX互換
接続方法Bluetooth (最大4台ペアリング) / USB Type-C (有線)
電源無線接続時: 単三形乾電池 x 4本 / 有線接続時: USBコネクターからの給電
動作時間約3カ月 (アルカリ乾電池使用時目安)
サイズ (W×D×H)308mm × 132mm × 41mm
重量 (電池含まず)日本語配列: 約830g / 英語配列: 約840g
機能キーポインティングスティック 、マウスキー、ジェスチャーパッド
カスタマイズキーマップ変更ツール (プロファイル/レイヤー設定)
キートップ3Dデータ公開 あり
カラー墨 (ブラック) / 雪 (ホワイト)
主なスペック

なお、興味深い点としてキートップデータが公開されている点が挙げられます。有効活用は現在できていませんが、下のようにキートップを自分で作ることができます。自分独自のショートカット(これはテンキー替わりをもくろみました)などを付け替えて楽しむことができるのは面白いです。やってみようと思いつつ、1年経って未だ出来ていない・・・。現状で困らなくなってしまったのが原因としては大きいですね(笑)

下のものは本体を0.4mmノズルで、文字を0.2mmノズルを使用して、キーキャップを傾けて印刷したものです。積層は0.1mm。悪くないのですがどうしても積層が目立ちます。もっと立てればいいのですが、裏面の問題が出たり底面側に来る文字に問題が出たりと難しいです。キャップを作ってIRレーザーで印字するのがおそらくベストだと思いますが、ちゃんとつかうなら丁寧なやすり掛けをして使ったほうがいいんじゃないかな、と思います。

私のカスタマイズについて

さて、誰の役にも立たないと思いますが、現時点での私のカスタマイズです。私はFn3は使用しておらず、主にFn2での運用とカスタマイズを中心に行っています。

純正のキーマップ変更ツールではUSBでキーボードを接続することで本体の情報読み取りと変更、ファームウエアのアップデートなどを行うことが出来ます。本来は蓋を開けなければ見えないDIPスイッチの設定も見えて素晴らしいです。

標準状態のキー入力はほとんどいじっていませんが、Winキーとaltの入れ替えを行っているのと、対側に私が頻用するF7、F10を置いています。これに慣れてしまっているので他のキーボードを使用した際の無変換やカタカナ変換に戸惑うことがデメリットでしょうか。

またジェスチャーパッドはスクロールを左側に、矢印は右側に変更しています。ただ、矢印は後述のFn2に割り当てているためあまり使用していません。

この左手スクロールは結構快適で非常に使いやすいです。スクロール方向はデフォルトと反対方向です。Fn2を押しながらポインティングデバイスを動かしてもスクロールできるのですが、使用頻度はジェスチャーパッドがほとんどです。小指でスクロールすることもあれば示指でやることもあります。

順番がずれますが、このFn2が私のメインのカスタマイズです。ファンクションキーは下部中央の真ん中ボタンに割り振っています。これでブラウザなどの進む、戻る(左右クリックボタン)や、Excel入力のためのF2キー、その右にセルのプルダウンが並んでいます。仕事上使うことが多いのでこうなりました。

また、見ての通りテンキーは元々の789を利用した入力に変更しています。矢印キーも上が2つある変則配置ですがここに配置しています。本当に全部カスタマイズできるので、自分の好みを作っていく過程も含めて楽しめると思います。

Fn1はほぼ変更していません。スピード変更が出来るようになっていますが、ほぼ使用したことはありませんね・・・。ただ、デフォルトではFn1を使いながらキー前面に記載されているFキーやVolume、Homeを押す仕様なのでそこはいじらないようにしました。ただ全体的に使用頻度が低いキー群です。

1年経った現状 完全になじみました

ということで1年経ったわけですが、現在はすっかり手になじんで仕事時はずっとこれを使っています。もったいない点としてはやはり持ち運びが億劫なので、家に持ち帰って使うことがあまりないんですよね・・・。

一番入力するのは仕事とおそらくこのブログなので活用したいのですが、重いし意外とかさばるから職場に置いていきがちです。(この文章はちゃんとHHKB Studio使って書いています。)

マウス使用頻度も明らかに低下しました。一般的な作業でマウスを使う機会はほぼなくなっています。私はThinkpadユーザーでは元々ないので(レッツノート派?です)ポインティングデバイスは初めて使用しましたが最初こそ慣れるまでかかったものの今ではなくてはならないものになっています。Thinkpadがちょっと欲しくなりました。もう手をキーボードからわざわざ離してマウスまでもっていくのが面倒です。

他の部分についても、当初は新しい配列や機能に慣れるまで余計な力が入っていたせいかちょっと違和感や手首が凝ってしまう等の症状がありましたが、現在は全く違和感がなく自然な感じでタイピング出来ています。

ジェスチャーパッドはスクロール割り当てを左手にすることでかなり使いやすくなりました。左側面はかなり使用頻度が高いです。左下面はタスク切り替えですが、使用頻度は低いです。また、右半分のジェスチャーパッド(矢印割り当て)は現状有効活用できていません。まあ、ある機能を全部使わなければいけないわけではないですからね・・・!

慣れは必要であったが見合った費用対効果 長く使えば高くない?

ということで、今回はHHKB Studioについてでした。44,000円という高額な投資ですが、入力装置はPC作業で最も使用頻度の高いデバイスです。この投資がストレスの軽減と作業効率の向上につながるならば、その費用対効果は相応に高いと思います。充電式ではなく有線でも使用できるため、今後もかなり長期にわたってPCを買い替えても買い増しても使い続けられる、という点も大事かなと思います。メカニカルスイッチの耐久性は高いと思われますし、壊れても一つだけ取り換えることも可能です。

一方で絶対的なコストで考えると、とても万人に薦めるものではないとも思います。リソースは有限ですからね・・・。物書きさんやテキスト入力が多い方限定にはなると思います。柔軟なカスタマイズ性はやはりファンが増える要因になっていると思います。極端な話、他人のHHKBシリーズは使えないですから(笑)。

唯一考える点があるとすればテンキーを別に追加するかどうか、でしょうか。私はFn2で数字を割り振っていますが経理の仕事等で考えるとテンキーはやはり必要になるのではないかと思います。私はExcelは使いますが、ちょっとイレギュラーな使い方なこともあって困っていません。

HHKBシリーズは元々誕生した経緯も含めかなり特化したキーボードのシリーズですし、Studioで1デバイスで完結できるとはいっても、ニッチなデバイスであることは否定できません。ただ、欲しいと考える方は当ブログにはそれなりにいらっしゃると思うのでこのレビューがどなたかの何らかのお役に立てば幸いです。私は大好きですし、これからもずっと使っていきます!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!