電気自動車の実際 8年目の日産リーフをレビュー サクラやeKクロスEVのコスパ 向いている人は?
8年前に購入した我が家のリーフ。住宅用電源としても利用しています。当初は5年くらいで駄目になると思いましたが、8年経って半分以上は容量が残っています。これをどう見るか・・・で評価が分かれそうです。最近発売された日産と三菱の軽自動車EV サクラやeKクロスEVの新車時バッテリー容量は初代リーフと似通っていますので、検討されている方の参考になれば幸いです。
電気自動車(EV)のコスパはどう? 当時の我が家での試算
今回(2022年)EVが注目されているのはガソリンが高騰する中で補助金が増額され、そこに軽自動車枠で日本独自の比較的安価なEVが出現したことにあると思います。ただ燃料の高騰化が続く火力発電を中心に、割高かつ不安定な太陽光発電が日本の電力供給を不安定にしている背景があり、現時点でのEVは少なくとも地球規模で環境に優しいとは言えないと思います。でも個人レベルで考えれば気になるのはEVの実際のコスパと長期利用の影響、ではないでしょうか。スマホと異なり数年でポンポン買い替えるものではないですからね。
さて、我が家は8年前に私が「面白そうだから」という理由で日産リーフを購入したので、実際コスパがどうだったのかをみてみましょう。当時の日産リーフのバッテリー容量は24kWhで、今回発売されたサクラやeKクロスEVとかなり近いです。ちなみに当時も補助金が53万円ありました。愛知県独自のものもあわせてお金的な条件をみてみると下記のようになります。比較対象として右にサクラで今回得られそうな優遇条件を書いておきます。
8年前 リーフ購入時
- 車両価格約330万(X、ナビ付)
- 国の補助金53万円
- 取得税ゼロ
- 5年間重量税ゼロ(愛知県)8.7万分
- 5年間自動車税ゼロ(愛知県)約15万分
- オイル交換不要
サクラやeKクロスEV
- 車両価格約240万(X、ナビなし)
- 国の補助金55万円
- 環境性能割の税金ゼロ
- 5年間重量税ゼロ 61500円
- 5年間自動車税ゼロ(愛知県)約5.4万分
- オイル交換不要
並べてみると分かりますが8年前も現在もかなりの優遇措置です。私は当時色々試算して5年ちゃんと乗れれば概ね元が取れる計算になりました。今回補助金が増額された結果、軽EVは元の価格が安いため相対的な割引率が高くなり、売れるのも分かります。…今後補助金がなくなったらどうなるのかというのも面白いところですし、今後も楽しくみていきたいと思います。EVの補助金公式ページもありますのでご確認ください。
またランニングコストである電費についても、電気代が高くなった2022年でも電気自動車が有利になります。電気代が1kWhあたり30円、レギュラーが150円/Lで設定しても5kWh分です。5kWhで30km以上は流石に走りますから換算しても30km/L以下になることはないと思います。
電気自動車の楽なところ、イマイチなところ
次に電気自動車のメリットデメリットについてです。私(と妻)が感じているところを下の表にまとめてみました。圧倒的に楽なのは快適性と走りの部分、イマイチなところはバッテリー容量関連に集中していることがわかります。
楽なところ
- スマホでエアコンがつけられる
- 坂や立体駐車場などトルクがあり楽ちん
- ちょい乗りでも電費が落ちにくい
- ガソリンスタンドに行かなくていい
イマイチなところ
- 遠出できない(充電が面倒)
- バッテリーが劣化する
- 冬場にバッテリーがどんどん減る
- 冬は充電が遅くなる
とくにデメリットが目立ちやすいのは冬場です。エンジンがないのでクルマが温まらず、暖房で電気をどんどん使います。思っていたよりずっと航続距離が落ちるので数年でバッテリーが劣化してくるとボディブローのように効いてくると思います。販売店がきちんと説明しているか個人的には疑問で、冬になってどんな話がユーザーから出てくるか、ちょっと心配です。暖房をどの程度使うかで変わりますが個人的には冬の航続距離はスペックの7割以下だと思ったほうがいいです。
楽なところは日常的な使い勝手の良さです。試乗すればわかると思いますが実にストレスなく走ります。またサクラやeKだとオプションになりますが、乗る前エアコンは最高です。嫁さんはもうこの機能がない車には乗りたくないと申しております(笑)
ちょっと田舎でガソリンスタンドが遠い場合など、行動半径が小さい場合には電気自動車は非常に有効です。分かりやすいところでは離島とかだとEV一択になる可能性もありますね。電気ならどこにも通ってますから。
我が家のリーフは8年で容量は6-7割に減少
電気自動車で最も気になることの一つにはバッテリーの劣化が挙げられると思います。実際我が家のリーフを見てみると、約8年で容量はかなり減少しました。元々12セグメントあった電池容量は現在9セグメント。もうすぐ8セグメントになります。ただこれって、100%を12分割したんじゃなくて、恣意的な分け方がなされていることが知られています。大体最初の1メモリが15%劣化した時に初めて減るんですよね…これちゃんと周知しないと事実誤認を招く気がするんですがいまだに改善されていません。
また、1枚目は寒い季節のころのものですが、バッテリーが劣化していると電力に対する抵抗が大きくなるため回生もしにくくなります。メーター上部の丸が並んでいるところを見てもらうと左2つの丸が1重ですよね。50%充電の状態でも回生量が減ってしまうので航続距離も伸びなくなります。なお、一番右側のメモリがセグメントで、9セグメントであることが分かります。
ということで、セグメント表示だと視覚的に分かりにくいですがリーフではちょっとした装置で実際に近いデータを取り出すことができます。比較的最近の私の車のデータが2番目の画像になります。
右上の現在のSOHは約68%です。バッテリー容量24kWhの内、実際使えない領域などもあり元々満充電で20kWh程度だったので数字上は14kWh程度の容量になるはず。ただ家で充電量みている限りは90%充電でも11kWhくらいなんですが・・・。
ちなみに昨年のものと比較すると4%減少していました。我が家のリーフは走行距離が少ないですが、下でご紹介する自宅への給電を行っているのでバッテリーとしてはものすごく酷使しています。それでも市中のリーフと劣化度合いがそこまで変わらないのでバッテリー容量の減少は時間経過が占める割合が大きいような気がします。年4%の劣化、妥当なところではないでしょうか?
ということで、私個人の体感としては容量は半分くらいだと感じています。8年で半分。スマホを8年も使ったらバッテリー完全にダメになっていると思うので優秀な方かもしれませんね。
容量保証はあてになる?サクラやeKクロスEVはどうか
2022年現在、サクラやeKのバッテリー容量保証は8年16万キロです。バッテリー保証の値は66%(8セグメント)ですので条件としてはちょうど今の私のリーフの状態になります。バッテリーの進化はしているかもしれませんが、実際問題として体感で半分くらいの容量にならないと保証は受けられないと思ってください。
バッテリー交換については未知数です。私のリーフでは70-80万円で交換する施策があったのですが、交換したいと思う7年目くらいには新品への交換サービスはもうやっていませんでした。中古バッテリーへの交換は今でも出来るかもしれませんが、経年で劣化するバッテリーに費用をかけるのもどうかと思います。ユーザーが増え要望が増えていれば交換サービスが長く行われる可能性はありますが、あまり期待しないほうがいいと個人的には思います。
従って容量が7割くらいになっても困らないバッテリー容量のEVを最初から選ぶべきというのが私個人の考えです。費用と直結するので難しいですが、ゆとりは大事ですね・・・。
最大のリスクは売却
ご存知の方も多いと思いますが、最大のリスクは売却です。今後のEV市場がどうなるか、世界の情勢がどうなるかにもよってかなり異なりますが、中古車として売却することを考えるとコスパの悪さが際立ちます。数年でかなり買い叩かれることを覚悟した方がいいです。少なくとも数年の使用で売却を検討される方には現状お勧めできないと思います。
特にサクラやeKクロスEVは今回の施策で台数が出ると思います。現在そんなに台数がないリーフも悲惨とも言える買取価格になりますので、数年後中古車市場に大量にちょっとバッテリーが劣化したEVが供給されても見向きもされない可能性が高いです。中古スマホを考えても、高く売却できるのはブランド力のあるiPhoneだけですよね。おそらくEVもそうなると私は思います。
なので個人的には同じスマホを長く使える人が、現状EVを買って良い人になるかと思います。私のようにガジェット感覚で「面白そうだから」で購入するのであればとても良い選択肢だと思いますね。因みに下の通り、バッテリー劣化に伴い今回リーフに買い換えましたが、色を付けてもらって下取りは30万くらいでした。
8年経っているしまあこんなもんだと思います。10年落ちプリウスと同等くらいでしょうか。ちなみによく言われる「買取店」だと買い取ってくれないケースもあるみたいです。ご注意ください。
ほとんどの外車EVは給電不可能 国産車の一部も
私がリーフを面白半分で買った理由にVtoHがありました。これは夜間の安い電気で車を充電し、昼間の家の電気を車の電池で賄うシステムです。災害時のリスク分散にもなるし、面白そうだったので自宅につけました。給電機能は今でも重要視されていてEV補助金にもかかわってくるファクターです。国からすればオフピークも考えると妥当なところですよね。
当然次の車でも利用しようと思っていたのですが・・・ほとんどの外車は外部への給電機能がないんですよ。日本車でもマツダやレクサスは100Vは取り出せてもVtoHには対応していなかったりします。VtoH機能有無については機器を販売しているニチコンのページがいいと思います。ただ、機器そのものが私が購入した時よりさらに高額になっており趣味と面白さがわかる方にお勧めするものかなと思います。
充電は家が基本 急速充電しながらの遠出はお勧めしない
充電についてはどうでしょうか。我が家は自宅充電ですし、外で急速充電したことは少なくともここ数年ありません。マンション等の方はサクラ等購入後は近隣の設備を使用されると思いますが、費用はそれなりにかかります。自宅充電で運用すれば電気代が高くなった今でもガソリンよりかなり安くなるでしょう。
個人的には遠出は時間にゆとりのある方だけにお勧めします。休憩をのんびり楽しんでゆっくり目的地に行くのであればよいですが、途中の充電で待ち時間が発生したりバッテリー温度が上がって思ったより充電できなかったりとトラブルがあり得ます。急速充電しながらの遠出は正直私はお勧めしません。EVだけの時代はそう簡単に来ないと私が思う最大の理由はこれですね。今後のバッテリーと充電技術の進歩に期待しましょう。
なのでやはり向いているのはセカンドカー利用です。遠出出来る車が1台あれば、非常に使い勝手がよくなります。近場専用であれば航続距離が短い不満も概ね解消するはずです。ただ郊外の2台目需要としてはやはり価格がネックになります。先にお話ししたバッテリー劣化の問題がどうなっているか分かりませんが、サクラやeK EVが安く中古に出回ってから検討する、というのも悪くないかもしれません。我が家も名古屋なのでもう一台車があります。外車の割にお買い得だったプジョー5008です。5人家族に最適な車ですので方向性が全然違いますが、色々な興味のある方はこちらもご覧ください。
コスパ重視で60kWhリーフに買い替えます
さて、リスクベネフィットを中心に記載しましたが、EVという選択のコスパはライフスタイル次第だと私は思います。少なくともサクラやeKEVは用途限定チョイノリ専用として考えれば現行の補助金ではかなり安いのでおススメ出来ます。ただカタログスペック航続距離の180kmを期待するとヘタすると今年の冬、そうでなくても長い目で見てほぼ確実に痛い目を見ます。やはり100kmは走らないユーザーにお勧めですね。郊外の家のセカンドカー等の用途としても最良かとおもいます。また、お勧め装備のダントツは乗る前エアコンです。ただ、ナビ付けると値段が上がるのが悩ましい・・・
私が8年前リーフを買うときは、5−6年も経てば自動車の選択肢としてもっとEVの種類が増えていると思っていました。結果的には日本車のEVは非常に限られています。先進性のあるテスラとか乗ってみたかったのですが残念ながら給電機能が搭載されたEVも少なく、今回結局はリーフe+へ買い替えることにしました。いっそ中古のe+にしようと思ってたんですが補助金のお陰で実質の差額が少ないんですよ・・・。
コンサバだしインパネ周りのダサさ等如何ともしがたい点もあるのですが、妻の希望もあり最先端のEVはまたの機会で。普段嫁さんが乗るので走行距離的には宝の持ち腐れになりますが、走れる大容量蓄電池として60kWhで実質350万程度で購入出来るコスパの高さは素晴らしいです。10年経って半分以下になったとしても今までのリーフ新車よりバッテリーが残る計算になります。個人的には長期間乗るなら、劣化を考えると多少高くてもバッテリーは多いほうが満足できると思います。
長文最後までありがとうございました!一応電気自動車のベテラン?なので何か質問あればいつでもコメントくださいね。今後ともよろしくお願いいたします。
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