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Fusion使っている人向けFreeCAD ver1.0 入門 実利用編 Part Design中心にアラーモの台座を作ってみる

今回は実践編として私が作ってメルカリでちょくちょく販売している、任天堂アラーモの台座製作を題材にFreeCAD実践編を紹介してみたいと思います。ちょいちょいPart Designワークベンチ以外のものも取り入れていきましょう(笑)

まず初めに 一連のブログもぜひ

Fusionユーザー向けのFreeCADブログも回数を重ねてきており、ご覧いただいている方も多いようです。いつもありがとうございます。この記事から入られた方は前回含め過去記事もぜひご覧ください。

今回は実利用という観点で、前回レビューしたAlarmoの台座を作ってみるブログになります。Part Design中心になりますが、便利な機能等もちょくちょくご紹介できればと思います。よろしくお願いいたします。

商用利用を気にする必要がないのは利点

FreeCADはご存じ自由なので、Fusionと異なり「商用利用」に関して気にするところがないのは良い点です。私は実際にビジネスでは使ってはおらず、ちょっと作ったものをメルカリで販売するくらいなのでおそらくFusionの無料ライセンス「個人向け」に該当すると思っていますが、聞く方によっては売ったら規約違反、という噂もあります。本国のページでは年間収益が1000ドル未満と案内されているので私は絶対大丈夫ですが、そもそも売る目的だとダメ、という話もありちょっとよくわかりません。

私が今メルカリに出しているこのアラーモ台座含め、FreeCADで作っていればソフトウエアライセンス的には心配無用なのでこれからはこういったものはFreeCADで作ろうと考えています。まかり間違ってヒット商品が出来たら困りますし(笑)

メッシュ読み込み 回転と移動は面倒だが機能は良い

今回は3Dスキャナからメッシュを読み込んで利用します。ご存じの通りCADではメッシュをそのままの形で利用することはできません。Fusionにもメッシュツールがありますが、FreeCADの場合はメッシュワークベンチというものがあり利用できます。ただ、このメッシュワークベンチは正直使い勝手はいまいちで、私はあまり使っていません。メッシュの段階で何かしたかったらBlender使うのがいいと思います。

ただFreeCAD自体は結構メッシュ関連は充実しています。右のツイートもその一つで、STLやobj等をPartワークベンチでコピーする際に形状の高精度化を行うと平面をきれいにしてくれたりします。この辺りはまた別の機会に。Surfaceワークベンチでメッシュの上にカーブを描くことが出来るのも特徴で後述します。

ということで今回は下絵替わりの利用になりますので必要なのは位置合わせだけです。とくに対称のものを作成する際にはスキャン結果のメッシュを中央に持っていかなければいけませんが、この作業は手動で行う必要があります。Fusionはかなり直感的に操作が出来るのですが、そこはFreeCAD、なかなか面倒です。最新ベータで移動機能の充実が行われているようなので今後にも期待ですね!

今回の具体的な方法としてはメッシュをクリックして配置を選び、実際に数字を動かしていくかんじです。回転は分かりやすいようにオイラー角を選んでおくといいでしょう。中心は重心を使用にチェックしておくと扱いやすいはずです。

移動量含め絶対値だとものすごく面倒なので増分変更を適用はクリックしておいて適宜適用していけば思い通りの位置に持ってこれます。特に3Dスキャンからの左右対称モデリングについてはこの位置決めが精度を決めてしまうため、時間はちゃんとかけたほうがいいところです。

配置で位置調整

今回は3Dスキャンの結果をこんな感じで置きました。本当は前後逆なんですが、何となくこうなりましたね。こういう形状には3Dスキャンは便利です。移動はもう、ちまちまやるしかないと思います。

スキャンを参考にしてアラーモ外観をなんとなく作成開始

台座を作るにあたってはまずアラーモ本体を大体作ってからそれに合わせてくりぬくことで作成しました。この辺りの手法はFusionとそう差はなく、Part designワークベンチで行っている限り大きな問題にはならないと思います。新規ボディとしてスケッチで円弧を描いて、中心がわかるようにしておきます。中心位置を元に断面を作ってレボリューションでソリッドを作成。アラーモは造形自体は単純にできているので・・・。

今回の台座は下部前方の突起を利用するのでそのあたりもモデリングして、USB-Cケーブルが出る部分も後から削れるようにソリッドにしておきました。こういう形状、大変ではないのですが、ノギスで作ろうとすると多分結構面倒だと思うんですよね。台座なんかは特に出来上がりが実物とマッチしないといけないので試作品が増えがちです。3Dスキャンでその手順を簡略化できるのは良いことです。

黒い台座部分 サーフェスワークベンチを使ってみる

ちょっと面倒なのがこの足部分で、形状は単純なのですがこの開き具合のこの形状が必要になります。考え方としてはいくつかあって別で寸法をとってソリッドを作ってミラーリングしつつ角度を実物にすり合わせるのが一般的ではないかと思います。形状が単純なので。今回はそれだと勉強にならないのでデータムプレーンを使って直接この形状を作ってみることにします。

使用するのはサーフェスワークベンチです。サーフェスワークベンチではメッシュの上に直接カーブを描くことが出来ます。・・・そう、この機能、多分Fusionにはないと思うんですよ。出来るカーブはメッシュによってはかなり歪になってしまうこともあるのですが、このカーブを元にして他のワークベンチできれいなカーブを引き直す等、とにかくメッシュ形状に沿ったカーブを描けるのは良いと思います。(より高機能なツールはPlasticityならあります)

ということでメッシュ状の曲線を描いてから、Part designワークベンチに戻り、新しいボディを作成してこのカーブに交差する平面をデータムプレーンで作りましょう。その断面からソリッドを作成してあげればOKです。(必要に応じて微調整は必要になるとは思います)ただ、ここでこのボディをミラーするのが微妙で、Part designワークベンチのミラーはあくまで基本ソリッド1つなんですよね。今のバージョンでは出来ないことは無いですが警告が出ます。位置の微妙な修正を行う場合にはミラー後の形状が見られた方がいいのでここではPartワークベンチでソリッドのミラーを作っています。また、ドラフトワークベンチという基本2D用のツールでも鏡面コピーが出来ます。ドラフトワークベンチは意外と便利ツールが内包されていたりしますし、文字の掘り込み等に必須のツールなのですが、何せとっつきにくく私はメインでは使用していません。2D図面書けないし。。

Partワークベンチでのブーリアンは結果が見やすくて好み

以前もブログで描きましたが、FreeCADにはPartワークベンチとPart Designワークベンチの2つがあって、機能が異なったり重なっているため初心者へのハードルが上がってしまっています。Fusionユーザーが挫折しがちなのもこの辺が関連していて1つの目的に対して他の手段があったりして困るんですよね。ユーザー側としては筋道が一本な方が嬉しい。そういう意味でFusionはとても素晴らしいと思います。

ということで前回ブログでお伝えした通り基本はPart Designでやっていくのがおススメで、他のワークベンチを使用したソリッドはクローンやベースフィーチャーなどを利用してPart designワークベンチで利用することにわたしはしています。今回もミラーリングされた2つのポチを基本ボディとのブーリアンで合成しています。また、この後の台座のサイズの修正に伴い、途中でUSBケーブルの穴あけを広げたので最終的には下の写真のようになりました。変な顔ではありません(笑)。

次は台座部分をつくって、この形状をブーリアンで引き算すれば概ねの形が出来上がりです。単純な直方体にフィレットを付けた状態でブーリアンで本体をくりぬいています。私はこの段階でサンプルを印刷して現物合わせをしています。概ね問題なく出来ましたが、こういった微調整がさっとできるのは3Dプリンターの強みですね!

そうそう、ブーリアンについてですが、FreeCADのPart Designではブーリアンを行うとブーリアンに利用した側の形状がデフォルトの状態では表示されなくなります。この仕様については前述の河合継ぎ手ブログの最後の方でお話ししたものになります。

寸法調整等で結果とツール両方を見ながら修正したい場合は、Partワークベンチの方でソリッド2つのブーリアンを行えば両方の表示を見ながら修正が出来ます。Fusionでもブーリアン時に元形状を残すことが出来ますが、感覚としてはそれと同様ですね。ただこの場合は、そこからPart Designに直接ソリッドを戻せないので、ソリッドをクローンとしてPart Designに持ってくる等の作法が必要になりますのでご注意ください。

インチネジの穴はPart designのホールで作れます

さて、ご存じの方も多いと思われる三脚穴ですが、三脚穴はインチねじで、よく使う小さめのものが1/4インチねじです。FreeCADではこうしたねじ系統のモデルやアセンブリ等にFastenersワークベンチをよく使うのですが、これにはインチねじないんですよね。まあインチねじなんて三脚穴くらいしか私は知らないので(笑)困ることがなかったのですが、インチねじは実はFusionでもそのままだと作れなかったりします。

FreeCADではPart designワークベンチのホール機能で穴あけと同時にねじ穴が作れるのですが、その際にUTS粗面プロファイルを選び1/4インチねじを作ることができます。詳細設定でモデルを作るようにして3Dプリント用のカスタムクリアランスを設定すればOKです。Fastenersワークベンチではミリねじ中心に様々な形状が作れてすごいワークベンチですので、こちらもぜひお試しください。これは使ってみればわかると思いますので!

完成 アルカスイス互換にしました!メルカリで時々販売中

最後にアルカスイス互換の溝を掘りました。台座の高さも調整を行っています。個人的にはなかなかシンプルでよいものができたんじゃないかなと思っています。全体像はこんな感じ。

バリエーションを持たせる場合は元形状からクローンで新規ボディを作ることで派生を作っておくことができます。特定のバージョンを保持しておく場合などにも便利な機能なのでぜひ色々使ってみてくださいね。ということで台座完成です!アラーモに取り付けた状態の写真を置いておきますが、こんな感じになりました。アラーモ側に変更を加えていないのが特徴かなぁ。もし、アラーモお持ちで興味がある方はメルカリで覗いてみてくださいね!

ということで今回は実利用編ということでアラーモ台座の紹介をさせていただきました。Part designワークベンチを上手に使えば、Fusionユーザーも手間暇をそこまでかけずに色々作れるんじゃないかなと思います。

使い道が限定されない、FreeなCAD。あなたの手の内に入れておくツールの一つとしてぜひご検討くださいね!今回も最後までお読みいただきありがとうございました。